欧州のサッカーでも真似してはいけない部分がある

2018年5月15日、ポルトガルリーグのスポルティングのサポーター約50名が、襲撃事件を起こした。

「対戦相手の旗を燃やした」とか「対戦相手のサポーターと殴り合いになった」とかではない。

スポルティングのサポーターが、スポルティングの練習場を襲撃し、スポルティングの監督や選手に次々と暴行を働いた。

なぜ、こんな事に?

事件が起きた日は、国内カップ戦の決勝の5日前だった。
国内リーグでは3位で終わり、UEFAチャンピオンズリーグへの出場権を失っていた。
この時点で、スポルティングが今季獲得したタイトルはリーグカップのみだった。

優勝争いに絡み続けてきたクラブのこの戦績を受け入れがたい気持ちは分かる。
だからといって、練習場を襲撃してチームに暴行を働いていいという理由にはならない。
何が有っても、こんな事をしてはいけない。

自分の応援するチームの選手に暴行を働いた時点で、サポーターではない。

チームを支えてねえじゃねえか。
それどころか、チームの支えを壊しているじゃねえか。

こんなのを真似してはいけない。
たとえ「欧州がサッカーの本場だ」と思っていてもだ。
たとえ多くのサッカー選手が欧州サッカーに憧れていてもだ。

暴行を働いた「サポーター」は、クラブを強くする為の正義だと信じて働いた。
その結果5日後のカップ戦決勝を落とし、オフには監督のジェズスと主力中の主力選手9人がスポルティングを離れた。
中には自ら契約解除を申し出た選手も複数いた。

常識で考えると、「サポーター」のこの「正義」がチームのサポートになんかなる訳がない。
だが「俺たちが正しい」と疑わず、良かれと思っている者は、そうは考えない。
思い込みは恐ろしい。

全34節中6節を消化した現時点でのポルトガルリーグでのスポルティングの順位は4位。
チャンピオンズリーグへの挑戦が可能なのは2位まで。
3位だった昨シーズンより、むしろ順位が下がっている。

「正義」で状況は悪化している。
この流れでは、スポルティングは国際舞台から消えてなくなっていくだろう。

さて、暴行のターゲットにされた哀れな元監督のジェズスは、なんとアルヒラルの監督に就任していた。

去年のACL決勝で浦和レッズと壮絶な闘いを繰り広げた、あのクラブだ。

実際にその決勝を観にサウジアラビアのホテルのテレビを観ていて思った。

サウジアラビアのテレビでも、欧州サッカーを中継する事はする。
だがその欧州サッカーの割合は非常に少なく、大部分がサウジプロフェッショナルリーグというサウジアラビアの国内リーグだ。
あの環境でポルトガルリーグを放映する事など、考えづらい。

サウジアラビアにいる限り、ポルトガルでの出来事を忘れられる。

ジェズスはこれまで18年間、色んなクラブで監督をしてきた。
その18年間もの監督生活の間、欧州どころかポルトガルすらも出て監督業に就くことはなかった。

生粋のポルトガル人が、こんな決断をするなんて。

スポルティングの暴漢(もはや「サポーター」とは呼べない)は、本当に罪な事をした。

さて、実際にアルヒラルと闘うレッズを見ていて思った。

アルヒラルサポーターは大変熱い。
砂漠のど真ん中にある大きなスタジアムを覆い尽くすほど熱い。

そして残念ながら、対戦相手の選手への人種差別的行為を厭わないほど熱い。

そういうサポーターに、ジェズスは耐えられるのか?

今は国内リーグ1位を走ってこそいる。
その座から滑り落ちた時、サポーターはどういう行動を採るか?
その時、ジェズスは耐えられるのか?

欧州サッカーだからといって、何でもかんでも真似しないように願う。



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