ニュージーランドのサッカーリーグのまとめ
ニュージーランドのサッカーリーグについてまとめてみました。
◆公式サイト
https://www.nzfootball.co.nz
◆連盟
オセアニアサッカー連盟(OFC)
◆1部リーグ名称
ニュージーランド・ナショナルリーグ(New Zealand National League)
◆所属チーム数
32(北部リーグは12、中部リーグと南部リーグは10)
◆試合形式
北部リーグ(Northern League)、中部リーグ(Central League)、南部リーグ(Southern League)の3つの地域別に予選リーグとして2回戦総当たり方式のリーグ戦での地域リーグを行い、戦績上位の4チーム(南部リーグは2チーム)がチャンピオンシップフェーズとして1回戦総当たり方式のリーグ戦に進み、1位と2位のチームがグランドファイナルを実施して優勝チームを決める。
※試合数18〜33
◆開催期間
3月下旬〜9月上旬
◆移籍期間
2022年シーズンは前年7/27〜前年10/18と1/14〜2/10
◆順位決定方法
勝ち点→得失点差→総得点→総失点の少なさ→直接対決戦績→規律の記録→コイントス
◆OFCチャンピオンズリーグ枠
1.0(ニュージーランド・ナショナルリーグでのグランドチャンピオンとチャンピオンシップフェーズでの1位のチームがナショナルプレーオフに参戦)
◆2部リーグ
北部リーグの下部リーグとしてNRFLディビジョン1(NRFL Division 1)が、中部リーグの下部リーグとしてキャピタル・プレミア(Capital Premier)とセントラルフェデレーションリーグ(Central Federation League)が、南部リーグの下部リーグとしてフットボール・サウス・プレミアリーグ(Football South Premier League)とメインランド・プレミアリーグ(Mainland Premier League)が存在する。各大会の大会方式は不明。
◆昇降格枠
降格枠は4(北部リーグの11位、12位のチームと中部リーグ、南部リーグの10位のチームが自動降格)
◆それ以外の大会
◇チャタムカップ(Chatham Cup)
ニュージーランドのクラブチームが参戦する一発勝負のトーナメント方式の大会。ニュージーランド・ナショナルリーグ勢は1回戦(ラウンド105)または2回戦(ラウンド64)より参戦する。2021年シーズンは5月中旬から9月上旬にかけて開催された。
◇チャリティーカップ(Charity Cup)
ニュージーランド・ナショナルリーグとチャタムカップの優勝チーム同士が闘う一発勝負の大会。
◆平均入場者数
不明
◆チーム名
オークランド・シティFC(Auckland City FC)-北部リーグに所属
オークランド・ユナイテッドFC(Auckland United FC)-北部リーグに所属
ベイ・オリンピック(Bay Olympic)-北部リーグに所属
バーケンヘッド・ユナイテッドAFC(Birkenhead United AFC)-北部リーグに所属
カシミヤ・テクニカル(Cashmere Technical)-南部リーグに所属
クライストチャーチ・ユナイテッド(Christchurch United)-南部リーグに所属
コースタル・スピリットFC(Coastal Spirit FC)-南部リーグに所属
ダニーデン・シティ・ロイヤルズ(Dunedin City Royals)-南部リーグに所属
イースタン・サバーブスAFC(Eastern Suburbs AFC)-北部リーグに所属
フェリーミード・ベイズ(Ferrymead Bays)-南部リーグに所属
グリーンアイランドFC(Green Island FC)-南部リーグに所属
ハミルトン・ワンダラーズAFC(Hamilton Wanderers AFC)-北部リーグに所属
ハヴロックノース・ワンダラーズAFC(Havelock North Wanderers AFC)-中部リーグに所属
マヌカウ・ユナイテッドFC(Manukau United FC)-北部リーグに所属
メルヴィル・ユナイテッドAFC(Melville United AFC)-北部リーグに所属
ミラマール・レンジャーズAFC(Miramar Rangers AFC)-中部リーグに所属
モズギールAFC(Mosgiel AFC)-南部リーグに所属
ネーピア・シティ・ローヴァーズFC(Napier City Rovers FC)-中部リーグに所属
ネルソン・サバーブズFC(Nelson Suburbs FC)-南部リーグに所属
ノマズ・ユナイテッド(Nomads United)-南部リーグに所属
ノースショア・ユナイテッドAFC(North Shore United AFC)-北部リーグに所属
ノース・ウェリントンAFC(North Wellington AFC)-中部リーグに所属
ピートンFC(Petone FC)-中部リーグに所属
セルィン・ユナイテッドFC(Selwyn United FC)-南部リーグに所属
タカプナAFC(Takapuna AFC)-北部リーグに所属
ワイヘケ・ユナイテッドAFC(Waiheke United AFC)-北部リーグに所属
ウォーターサイド・カロリ(Waterside Karori)-中部リーグに所属
ウェリントン・オリンピックAFC(Wellington Olympic AFC)-中部リーグに所属
ウェリントン・フェニックスFCリザーブズ(Wellington Phoenix FC Reserves)-中部リーグに所属
ウェリントン・ユナイテッド(Wellington United)-中部リーグに所属
ウェスタン・スプリングズAFC(Western Springs AFC)-北部リーグに所属
ウェスタン・サバーブズFC(Western Suburbs FC)-中部リーグに所属
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◆最近の概要
新型コロナウイルスの煽りをここまで深刻に受けてしまった国も珍しい。
パンデミックが到来した2019-2020年シーズンのニュージーランドの国内リーグは前身のニュージーランド・フットボールチャンピオンシップ(New Zealand Football Championship)として実施されていた。10チームが参加する大会で、2回戦総当たり戦のレギュラーシーズンでの上位4チームと上位2チームはそれぞれ一発勝負のトーナメント方式のファイナルシリーズとOFCチャンピオンズリーグのグループステージに進出するものだった。このシーズンは3月中旬の公式戦を最後にパンデミックの襲来でレギュラーシーズンの残り2節が実施されないまま打ち切られた。ファイナルシリーズは無かったのでオークランド・シティFCは優勝チームとして、チーム・ウェリントンFC(Team Wellington FC)は準優勝チームとして認められたが、この2チームが大陸別選手権に進出する事はなかった。OFCチャンピオンズリーグがコロナ禍で中止になったからである。そしてニュージーランド政府は国内リーグが打ち切りになった2020年3月をもって海外からの入国を全面禁止にする厳格なコロナ対策を実施した。翌2020-2021年シーズンは合併したチームが出た関係で参加チームが8チームに減り、11月中旬に開幕を迎えた。そして翌年3月下旬のファイナルシリーズのグランドファイナルでレギュラーシーズン1位のオークランド・シティFCをチーム・ウェリントンFCが破ってこのシーズンの優勝チームになった。そしてこの試合を最後にこのクラブは解散する事になった。この時期のニュージーランド国内ではこうして国内リーグが行われてはいたが、決してコロナ禍が収まった訳ではなく2シーズン続けてオークランド・シティFCは優勝チームとしたにも関わらずOFCチャンピオンズリーグは中止になり、この大会への出場が叶っていない。これまで国内リーグとして行われてきたニュージーランド・フットボールチャンピオンシップには参加チームが少ないにも関わらず降格制度がなかった。他のチームにも国内リーグに参戦する機会を与えるために3つの地域別に予選リーグを実施し、戦績上位のチームが全国リーグに進出する現在の大会方式のニュージーランド・ナショナルリーグが2021年シーズンから実施された。総勢30チームの大所帯になった新リーグは3月下旬に幕を開けた。この年の4月に豪州とのトラベルバブル協定が発動して豪州との往来に関してだけは許される様になったものの、それ以外の人の行き来を一切認めない世界的にも稀なゼロコロナ政策はニュージーランドでは(そして協定国の豪州でも)継続されていた。その過激な政策がついにサッカー界に影を落とす事になる。オークランドでのアラートレベルが最も深刻なレベル4(集会の禁止を含むロックダウン)になった事を受け、3〜4試合を残して9月中旬に北部リーグが中止になった。このロックダウンが長期化したため、10月上旬にチャンピオンシップフェーズの大会方式をコロナ仕様に変更することにした。参加予定だった全チームをオークランドハブと南部ハブに分け、それぞれのハブの中で1回戦総当たり戦を実施しそれぞれの1位のチーム同士で優勝決定戦を行う方式にした。だがその後もオークランドでのアートレベルはレベル4のままだったのでオークランドハブは実施出来ず、結局は南部ハブがそのままサウスセントラルシリーズとして全国リーグの扱いを受ける事になった。このシリーズを制したミラマール・レンジャーズAFCがニュージーランド・ナショナルリーグの初代王者になったが、OFCはサウスセントラルシリーズがOFCチャンピオンズリーグへの出場チームの選考大会としての基準を満たしていないとして、ミラマール・レンジャーズAFCと準優勝チームのウェリントン・オリンピックAFCは2022-2023年シーズンのOFCチャンピオンズリーグに出場できそうにない。
ニュージーランドは2つの大きな島とその他の無数の小さな島から構成されている。面積こそ小さいが平野部の多い北島に同国の4分の3の人口が集中していて、この島にあるチームが北部リーグと中部リーグに参戦する。この島の北部にあるニュージーランド最大の都市オークランドとその近郊のチームが北部リーグで、南部にある首都ウェリントンとその近郊のチームが中部リーグで鎬を削っている。そして山がちで冬には0℃近くまで下がる比較的気候の厳しい南島のチームが南部リーグに参戦している。日本より少し狭い程度の、島国にしては広大な面積を持つニュージーランドではあるが、スタジアムは収容人数の面で小規模な所ばかりであり、10,000人を入れられるスタジアムは皆無である。最も多くの客を入れられるスタジアムでも6,000人収容のウェリントン・ユナイテッドの本拠地である多目的競技場のニュータウンパークスタジアムとなる。大半のスタジアムの収容人数は1,000人であり、これより多くの人を入れられるスタジアムはこの国では大箱の部類に入る。
長期に渡り厳格なコロナ対策をしていたニュージーランドではあるが、国の経済は豊かである。ニュージーランド・ナショナルリーグはプロリーグと呼べるものではなく現時点での在籍選手が不明なクラブがほとんどだが、これまでイングランド人を始めとしてガーナ人、クック諸島人、スペイン人、アルゼンチン人、ジャマイカ人など世界中から選手が参戦していた。日本人選手でもボールを追っている選手はいる。望月信明がこれまでマヌカウ・ユナイテッドFCに所属していたし、現時点でも中島健太がウェスタン・スプリングズAFCの選手として在籍している。
ニュージーランド特有の事情として、ウェリントン・フェニックスFCのトップチームがAリーグ・メンの構成チームとして豪州に越境参戦している関係で、リザーブチームがニュージーランドの国内リーグで闘っている。このリザーブチームだけは中部リーグの順位に関係なくチャンピオンシップフェーズの出場が確約されている。そして当然ながらこのフェーズで優勝してもOFCチャンピオンズリーグには出場できない。
これまでオークランド・シティFCはクラブワールドカップの常連として開幕戦などを盛り上げてきたが、2021年シーズンではそういう訳に行かなかった。このシーズンのクラブワールドカップは本来は6〜7月に中国で開催予定だったが、東京オリンピックがこの時期に延期になった事と中国でのコロナ禍が国内リーグに深刻な影響を及ぼしていた為、一旦は2021年の年末に日本で行う事になった。だがご存じの通り日本でも極端なゼロコロナ政策を敷いていた為に国際大会を開催できる筈もなく、2022年の2月にUAEで2021年シーズンの世界規模の国際大会がようやく開催された。OFCチャンピオンズリーグが1試合も開催出来なかった状況ではあったが、2016年から2020年にかけてのOFCでのランキングを元にオークランド・シティFCはUAEでのこの世界大会への参戦資格が与えられてはいた。だがニュージーランド政府が厳格な国境封鎖を解かなかったため12月下旬にオークランド・シティFCは参加資格を返上した。結局このオセアニア王者枠にタヒチ・ディビジョン・フェデレールのチームであるASピレーが入り、クラブワールドカップに参戦した。
ニュージーランドで最も盛んな競技はラグビーである。ラグビーリーグでは2021年はサッカーリーグと同様にオークランドのチームがシーズン中に大会からの撤退を余儀なくされてしまったが、国内大会であるため大会そのものは概ね最後まで進行してはいた。ただ国際大会に関しては厳格すぎるコロナ禍の影響は深刻である。外国人選手に来てもらわないと始まらない個人競技のテニスでは2020年からずっとATP(男子の世界規模の大会の組織)やWTA(女子の世界規模の大会の組織)の大会を開催できずにいた。この様に理不尽なまでに厳しいゼロコロナ政策はサッカー界のみならず多方面にダメージを与えていた。ただし豪州と歩調を合わせる様にニュージーランドも2022年3月から段階的に国境再開する様になっている。コロナとの共存を選んだ事で、それまで止まっていた歯車がようやく回り始めた。
今年こそはサッカー界を始めとしたこの国のスポーツの無病息災を願っている。
◆最終更新日時
2022/4/28
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