カメルーンのサッカーリーグのまとめ
カメルーンのサッカーリーグについてまとめてみました。
◆公式サイト
なし
◆連盟
アフリカサッカー連盟(CAF)
◆1部リーグ名称
エリート・ワン(Elite One/Elite One)
◆所属チーム数
25
◆試合形式
2つのグループに分かれて2回戦総当たり方式のレギュラーシーズンを行う。各グループの上位2チームずつがノックアウトステージに進出。ノックアウトステージでは全試合が一発勝負。
※試合数22〜26
◆開催期間
3月中旬~7月
◆移籍期間
2022年シーズンは前年8/1〜前年10/23と1/2〜1/31
◆順位決定方法
勝ち点→得失点差→得点数
◆CAFチャンピオンズリーグ枠
0.25(エリート・ワンの優勝チームは予選1回戦に参戦)
※エリート・ワンの準優勝チームはCAFコンフェデレーションカップ予選1回戦に参戦
◆2部リーグ(エリート・ツー/Elite Two/Elite Two)
12チームが所属。エリート・ワンと同様の方式で大会を進める。
◆昇降格枠
昇格枠は4、降格枠は5(エリート・ワンの各グループの下位2チームずつとエリート・ツーの各グループの1位と2位のチームが自動昇降格。エリート・ワンの各グループの最下位から3番目のチーム同士が残留プレーオフを行い、その敗者も降格)
◆それ以外の大会
◇カメルーン・カップ(Cameroonian Cup/Coupe du Cameroun de football)
カメルーンのクラブチームが参戦するトーナメント方式のカップ戦。大会方式の詳細は不明。
◇カメルーン・スーパーカップ(Super Coupe Roger Milla/Supercoupe du Cameroun de football)
エリート・ワンとカメルーン・カップの優勝チーム同士が闘う一発勝負の大会。
◆平均入場者数
不明
◆チーム名
APEJESアカデミー(APEJES Academy/APEJES de Mfou)-グループAに所属
ASフォルテュナ(AS Fortuna/AS Fortuna)-グループAに所属
アヴィオン・アカデミー(Avion Academy/Avion Academy)-グループBに所属
バンブトFC(Bamboutos FC/Bamboutos Football Club de Mbouda)-グループBに所属
キャノン・ヤウンデ(Canon Yaounde/Canon Yaoundé)-グループAに所属
コロンブ・スポルティヴ・デュ・ジャエロボ(Colombe Sportive du Dja et Lobo/Colombe Sportive du Dja et Lobo)-グループAに所属
コットン・スポルトFCドゥ・ガルア(Coton Sport FC de Garoua/Coton Sport Football Club de Garoua)-グループBに所属
ジコFCドゥ・バンジュン(Djiko FC de Bandjoun/Djiko FC de Bandjoun)-グループAに所属
ドラゴン・クラブ(Dragon Club/Dragon Club de Yaoundé)-グループBに所属
エディング・スポルトFC(Eding Sport FC/Eding Sport Football Club de la Lékié)-グループBに所属
フォヴ・アジュル・エリートFC(Fauve Azur Elite FC/Fauve Azur Elite FC)-グループAに所属
フォヴ・クラブ(Fovu Club/Fovu Baham)-グループBに所属
レ・アストルFC(Les Astres FC/Les Astres Football Club)-グループAに所属
ニュー・スターFC(New Star de Douala/New Stars Football Club)-グループBに所属
OFTAドゥ・クリビ(OFTA de Kribi/OFTA de Kribi)-グループBに所属
パンテール・スポルティヴ・デュ・ンデFC(Panthère Sportive du Ndé FC/Panthère sportive du Ndé)-グループAに所属
PWDバメンダ(PWD Bamenda/PWD Social Club Bamenda)-グループBに所属
RCバフーサム(RC Bafoussam/Racing Club Bafoussam)-グループAに所属
ルネッサンスFCドゥ・ングム(Renaissance FC de Ngoumou/Renaissance FC de Ngoumou)-グループBに所属
スタッド・ルナール・ドゥ・ムロング(Stade Renard de Melong/Stade Renard de Melong)-グループAに所属
トンネル・カララ・クラブ・ドゥ・ヤウンデ(Tonnerre Yaounde/Tonnerre Kalara Club de Yaoundé)-グループAに所属
UMSドゥ・ルム(UMS de Loum/Union des mouvements sportifs de Loum)-グループBに所属
ユニオン・ドゥアラ(Union Douala/Union sportive de Douala)-グループAに所属
ヤフットFC(Yafoot FC/YAFOOT FC)-グループBに所属
YOSA(Young Sports Academy/Young Sports Academy Bamenda)-グループAに所属
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◆最近の概要
世界中を駆け巡った新型コロナウイルスはアフリカ大陸の交差点のこの地のサッカー界にも甚大な影響をもたらした。
少し前までエリート・ワンは2019年シーズンを除いて基本的にグループ分けをせずに1部リーグの全18チームをひとまとめにして2回戦総当たり方式の全34試合のリーグ戦で順位が決まる単純な1シーズン制(要するに日本のJ1と同じ大会方式)を敷いていた。2019-2020年シーズンもその方式で10月中旬に幕を開けた。だがパンデミックのために第29節を1試合だけ行った3月中旬をもって中断を強いられた。それから1試合も行われないまま5月中旬にそのシーズンの打ち切りが決まってしまった。PWDバメンダの優勝は認められたものの降格チームは発生せず、翌2020-2021年シーズンのカメルーン1部リーグは21チームという大所帯になったため、2つのグループに分けて別々にリーグ戦を行い、戦績上位のチームがノックアウトステージに進出するという現方式が採用された。
カメルーンはあらゆる意味で混沌とした国である。それはサッカー界も同様だ。2020-2021年シーズンのエリート・ワンは当初2020年の9月下旬に開幕しようとしていた。だがFECAFOOT(カメルーンサッカー連盟)とLFPC(カメルーンプロサッカーリーグ)との争いが続いて大会をスムーズに開催する事ができない。結局サッカー界の内紛はカメルーンの大統領まで巻き込んだ泥試合となり、開幕が2021年2月下旬にまで大幅に遅れた。このシーズンが全て終わったのは9月下旬だが、翌2021-2022年シーズンのCAFチャンピオンズリーグ出場チームを決めるに当たり、CAFが設定した期限までにエリート・ワンの全試合を消化する事が出来なかった。このために8月8日時点で首位に立っていたフォヴ・クラブが参戦する事になった(ちなみに2020-2021年シーズンのエリート・ワンで実際に優勝したチームはコットン・スポルトFCドゥ・ガルアである)。そして2020-2021年シーズンもエリート・ワンでは降格チームが発生せず、その結果として2022年シーズンの1部リーグに所属しているのが25チームという脅威的な数になっている。このシーズンにしても移籍ウィンドーの期間から察するに、本来は2021-2022年シーズンとして行うつもりだったのだろう。そして例によって内紛に巻き込まれて開幕が遅れたのだろう。
カメルーンでは局所的にイスラム過激派組織や隣国の中央アフリカの武装集団などが住民の殺害や誘拐、金品や家畜の強盗を繰り返している地域が散在している。そして道路が舗装されているのは南西部にある首都ヤウンデや南西端の大西洋に面したカメルーン最大の都市のドゥアラの幹線道路ぐらいであり、こういった都市以外の大部分の地域で電力不足に陥っている。そして路上で賄賂を要求する警官が多い。つまり都市から都市への陸路での移動は大変な困難と危険を伴う。必然的にエリート・ワンの公式戦を実施するスタジアムはヤウンデとドゥアラ、そしてその近郊といった国の南西部に集中する。このリーグを実施するのに最も多くのサポーターを入れられるスタジアムはヤウンデにある38,509人収容のスタッド・アマド・アイジョでありキャノン・ヤウンデ、ルネッサンスFCドゥ・ングム、トンネル・カララ・クラブ・ドゥ・ヤウンデの3クラブのホームスタジアムとして使われている。この様に複数のチームが1つのスタジアムを本拠地とする例が多い。そうでないスタジアムの多くの収容人数が5,000人を割っている。1部リーグとはいえほとんどのスタジアムの座席が個席化されていない。
石油とココア頼りの収益構造のカメルーンの経済は苦しい。電力不足という事情もあってかネットで知る事のできる選手事情やチーム事情は限られたものになるが、その辺りが明らかになっているクラブの中には在籍選手が全員自国籍のチームもある。一方で外国籍選手を豊富に揃えているクラブもあるがアフリカ人しかこのリーグには見当たらない。国籍別にみるとチャド人、トーゴ人、ナイジェリア人といった近隣の国の選手が目立つ。カメルーンは基本的に治安が悪く、その辺りを理解している選手しかこのリーグを選ばない。懐事情の厳しさが際立つリーグである。
これまでCAFチャンピオンズリーグには色んなチームが挑戦してきたが、最近のカメルーン勢は予選での初戦敗退が続いている。一方でカメルーンはガンバ大阪でもプレーしたパトリック・エムボマを始めとしてサミュエル・エトー、アレクサンドル・ソング、カルロス・カメニといった名選手を数多く輩出してきた。ただし彼らがトップチームの一員としてカメルーンのクラブでプレーした経験は皆無で、ユース時代を含めても人数は多くない。カメルーンのリーグの課題は山積みだ。
どうにかしてサッカーで夢を見られる社会である様に願う。
◆最終更新日時
2022/4/19
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