カンボジアのサッカーリーグのまとめ
カンボジアのサッカーリーグについてまとめてみました。
◆公式サイト
なし
◆連盟
アジアサッカー連盟(AFC)
◆1部リーグ名称
カンボジア・プレミアリーグ(Cambodian Premier League/លីគកំពូលកម្ពុជា)
◆所属チーム数
8
◆試合形式
リーグ戦(1ステージ制/ホーム&アウェー3回戦総当たり)
※試合数21
◆開催期間
3月上旬〜
◆移籍期間
2022年シーズンは1/9〜2/25と6/24〜7/22
◆順位決定方法
勝ち点→得失点差→得点数
◆ACL枠
0
※カンボジア・プレミアリーグ優勝チームはAFCカップにプレーオフステージから参戦
◆2部リーグ(カンボジアリーグ2/Cambodian League 2/កម្ពុជាលីគទី២)
12チームが所属。ホーム&アウェー2回戦総当たり。
◆昇降格枠
1(カンボジア・プレミアリーグの8位のチームとカンボジアリーグ2の1位のチームが自動昇降格)
◆それ以外の大会
◇フン・セン・カップ(Hun Sen Cup/ពានសម្ដេច ហ៊ុន សែន)
カンボジアのクラブチームが参加するトーナメント方式の大会。2021年シーズンは11月に集中的に開催された。
◇カンボジアスーパーカップ(Cambodian Super Cup/ពានកំពូល ជើងឯកកម្ពុជា)
カンボジア・プレミアリーグとフン・セン・カップの優勝チーム同士が対戦する一発勝負の大会。カンボジア・プレミアリーグの開幕直前に開催する。
◆平均入場者数
不明
◆チーム名
アンコールタイガーFC(Angkor Tiger FC/អង្គរថាយហ៊្គរ F.C.)
ボーウング・ケットFC(Boeung Ket Angkor FC/បឹងកេត F.C.)
キリヴォン・ソク・セン・チェイFC(Kirivong Sok Sen Chey F.C./គិរីវង់ សុខសែនជ័យ F.C.)
ナガワールドFC(Nagaworld FC/ណាហ្គាវើល F.C.)
プノンペン・クラウンFC(Phnom Penh Crown FC/ភ្នំពេញក្រោន F.C.)
プリヤ・カーン・リーチ・スヴァイリエンFC(Preah Khan Reach Svay Rieng FC/ព្រះខ័នរាជ ស្វាយរៀង F.C.)
CAFAFC(National Defense Ministry FC/សមាគមន៍ កម្ពុជាអាមី F.C.)
ビサカFC(Visakha FC/វិសាខា F.C.)
◆最近の概要
新型コロナウイルスは東南アジアの一角を占めるこの国のサッカー界をも影響を与えていた。
2020年シーズンのカンボジア・プレミアリーグは今と違って1回戦総当たり戦のレギュラーシーズンを終えた後に上位グループと下位グループに分けて引き続きグループ内で1回戦総当たり戦を行うスプリット制を敷いていた。2月中旬に開幕したこのシーズンはパンデミックが原因で6試合程度消化した3月中旬の時点で中断した。その後7月上旬にリーグは再開し10月下旬に全日程が閉幕した。カップ戦のフン・セン・カップは中断期間が終わってから本格的に始まったので、こちらも年内に全日程を終える事ができた。
カンボジア・プレミアリーグを実施するスタジアムの中で最も多くのサポーターを入れられるのは首都プノンペンにある収容人員20,000人のカンボジア王国軍競技場であり、軍隊チームのCAFAFCのホームスタジアムである。ここまで入れられるこのスタジアムが例外であり、たとえ1部リーグであっても大半のスタジアムの収容人員は5,000人以下という小規模なものばかりだ。このリーグのクラブの半分(ボーウング・ケットFC、プノンペン・クラウンFC、CAFAFC、ビサカFC)がホームスタジアムをプノンペンに構えている。そんな状態でしかも1部リーグのチーム数が8つしかない事を考えても「カンボジア全土に公式戦を行えるレベルのスタジアムが揃っている」とはとても言えない。この国ではサッカーに限らず様々な分野で未成熟な部分が目立つが、これは過去の圧政の結果である。1970年代から1990年代に掛けて教育を禁止した結果、45歳以上の国民の5人に1人「しか」文字を読めない。若者と中年や老人の受けて来た教育の量の差が激しいが、これは中年や老人が若かった時に「文字を読めないと話にならない仕事をする人たち」を粛清したからだろう。これは貧富の極端な差に直結する。そして知識人を根こそぎ消した過去が今、様々な形で再建の足枷になってしまっている。例えば法律家が極端に少なく、いても人生経験が浅いため外国人の力を借りないと法律を作れなかったりとか、法律がなく相場もないため、料金が交渉制の乗り物が多いとかである。一事が万事この調子ではサッカー活動にも困難がつきまとう。
猫ひろしがカンボジア国籍を取得して選手としてマラソンの大会に出場したり、本田圭佑がカンボジア代表の実質的監督を務めたりと日本人と並々ならぬ縁のある国だが、カンボジア・プレミアリーグのクラブに所属している外国人選手で最も人数が多いのも日本人(10人)である。元湘南ベルマーレの前田尚輝(アンコールタイガーFC)や元水戸ホーリーホックの木暮郁哉(ナガワールドFC)、元FC琉球の水野輝(プリヤ・カーン・リーチ・スヴァイリエンFC)の様にJリーガー経験者も鎬を削っている。他にも成田壮(アンコールタイガーFC)、大瀬貴己、小林大介(ともにプノンペン・クラウンFC)、小田原貴(プリヤ・カーン・リーチ・スヴァイリエンFC)、西原拓夢、木下伶耶、菊地佑太(以上CAFAFC)がこのリーグに在籍している。彼らの中には日本の大学を卒業した者が多い。日本人の次にこのリーグで多い選手はブラジル人だ。日本人選手とブラジル人選手でこのリーグの全外国人選手の半分ほどを占めている。
2022年シーズンから1ステージ制に移行したカンボジア・プレミアリーグだが、前年の2021年シーズンではプノンペン・クラウンFCが優勝した。特定の絶対王者が不在で優勝チームがころころ変わるのがこのリーグの特徴である。Jリーグと同様の特徴を持つカンボジア1部リーグではあるが、集客には苦戦している。1試合での入場者数がシーズン最高でも5,000人台で、下手すれば100人を切る時もある。これにはカンボジアの治安の悪さも関係していると思われる。過去に内戦を経験したこの国では、その時に国内に持ち込まれた銃火器を用いて民間人が強盗事件などを度々起こしてきた。日本の外務省はカンボジア全土に「危険レベル1(十分注意)」を敷いている。サッカーに熱を注ぐ前に解決しなければいけない課題がこの国にはある。
この国の人たちが困難を克服して明るくサッカーを続けるのを願う。
◆最終更新日時
2022/4/7
◆こちらの記事もオススメ
タイのサッカーリーグのまとめ
ベトナムのサッカーリーグのまとめ
日本のサッカーリーグのまとめ