アメリカのサッカーリーグのまとめ
アメリカのサッカーリーグについてまとめてみました。
◆公式サイト
https://www.mlssoccer.com
◆連盟
北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)
◆1部リーグ名称
メジャーリーグサッカー(Major League Soccer)
※通称MLS
◆所属チーム数
28
◆試合形式
レギュラーシーズンではウェスタン・カンファレンスとイースタン・カンファレンスの2グループに分かれてリーグ戦を実施。同グループ内の全てのチームとホーム&アウェー方式で対戦する事に加え、異なるグループとの対戦も8試合組まれている。各グループ戦績上位7チームがMLSカップとしてのプレーオフに進出。2位vs7位、3位vs6位、4位vs5位のチーム同士が1回戦で対戦し、1位のチームは4位vs5位の勝者のチームと対戦する。各グループを制したチーム同士がMLSカップとして中立地で対戦する。プレーオフは全て一発勝負。
※試合数34〜38
◆開催期間
2月下旬〜11月上旬
◆移籍期間
2022年シーズンは2/10〜5/4と7/7〜8/4
◆順位決定方法
勝ち点→勝利数→得失点差→得点数→ディシプリナリー・ポイント(反則の種類をポイント換算したもの)→アウェーでの得失点差→アウェーでの総得点→ホームでの総得点→ホームでの得失点差→コイントス(関与するチームが2つの場合)又は抽選(関与するチームが3つ以上の場合)
◆CONCACAFチャンピオンズリーグ枠
4(MLSカップの優勝チーム、MLSでのレギュラーシーズンでの両カンファレンスを合算した順位が各カンファレンスで最も高い各1チームおよびUSオープンカップの優勝チームが参戦する)
◆2部リーグ
なし
◆昇降格枠
なし
◆それ以外の大会
◇USオープンカップ(U.S. Open Cup)
米国勢のプロ・アマチュアチームのうち103クラブが参加する一発勝負のトーナメント方式の大会。MLS勢は3回戦(ラウンド56)または4回戦(ラウンド32)から参戦する。3月下旬から9月中旬にかけて実施。
◇カナディアン・チャンピオンシップ(Canadian Championship/Championnat canadien de soccer)
カナダ勢のMLS所属チーム、カナダ・プレミアリーグ及びカナダの地域リーグの優勝チームの計13チームが参戦するホーム&アウェー方式のトートバッグ方式の大会。MLS勢は準々決勝から参戦する。5月上旬から7月にかけて実施。
◇カンペオーネス・カップ(Campeones Cup/Campeones Cup)
MLSの優勝チームとメキシコのカンペオン・デ・カンペオーネスの優勝チームが闘う一発勝負の闘い。
◇リーグズ・カップ(Leagues Cup/Leagues Cup)
MLS所属チームとメキシコのリーガMX所属チームから各4クラブずつ参戦する一発勝負のトーナメント方式の大会。
◇MLSオールスターゲーム(Major League Soccer All-Star Game)
ファン投票や監督などからの選抜で組まれたMLSのオールスターチームと海外のクラブが対戦する一発勝負のエキシビジョンマッチ。
◆平均入場者数
14,082人(2021年シーズン)
◆チーム名
アトランタ・ユナイテッドFC(Atlanta United FC)ーイースタン・カンファレンスに所属
オースティンFC(Austin FC)ーウェスタン・カンファレンスに所属
シャーロットFC(Charlotte FC)ーイースタン・カンファレンスに所属
シカゴ・ファイアーFC(Chicago Fire FC)ーイースタン・カンファレンスに所属
FCシンシナティ(FC Cincinnati)ーイースタン・カンファレンスに所属
コロラド・ラピッズ(Colorado Rapids)ーウェスタン・カンファレンスに所属
コロンバス・クルー(Columbus Crew)ーイースタン・カンファレンスに所属
FCダラス(FC Dallas)ーウェスタン・カンファレンスに所属
D.C.ユナイテッド(D.C. United)ーイースタン・カンファレンスに所属
ヒューストン・ダイナモ(Houston Dynamo FC)ーウェスタン・カンファレンスに所属
ロサンゼルス・ギャラクシー(LA Galaxy)ーウェスタン・カンファレンスに所属
ロサンゼルスFC(Los Angeles FC)ーウェスタン・カンファレンスに所属
ミネソタ・ユナイテッドFC(Minnesota United FC)ーウェスタン・カンファレンスに所属
インテル・マイアミCF(Inter Miami CF)ーイースタン・カンファレンスに所属
CFモントリオール(CF Montreal/Club de Foot Montréal)ーイースタン・カンファレンスに所属
ナッシュビルSC(Nashville SC)ーウェスタン・カンファレンスに所属
ニューイングランド・レボリューション(New England Revolution)ーイースタン・カンファレンスに所属
ニューヨーク・シティFC(New York City FC)ーイースタン・カンファレンスに所属
ニューヨーク・レッドブルズ(New York Red Bulls)ーイースタン・カンファレンスに所属
オーランド・シティSC(Orlando City SC) ーイースタン・カンファレンスに所属
フィラデルフィア・ユニオン(Philadelphia Union)ーイースタン・カンファレンスに所属
ポートランド・ティンバーズ(Portland Timbers)ーウェスタン・カンファレンスに所属
レアル・ソルトレイク(Real Salt Lake)ーウェスタン・カンファレンスに所属
サンノゼ・アースクエイクス(San Jose Earthquakes)ーウェスタン・カンファレンスに所属
シアトル・サウンダーズFC(Seattle Sounders FC)ーウェスタン・カンファレンスに所属
スポルティング・カンザスシティ(Sporting Kansas City)ーウェスタン・カンファレンスに所属
トロントFC(Toronto FC/Toronto FC)ーイースタン・カンファレンスに所属
バンクーバー・ホワイトキャップス(Vancouver Whitecaps FC/Whitecaps de Vancouver)ーウェスタン・カンファレンスに所属
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◆最近の概要
世界中を震撼させた新型コロナウイルスは世界屈指のスポーツ大国の在り方をも揺るがした。
2月下旬に開幕した2020年シーズンのMLSはパンデミックのために3月上旬にいきなり中断に追い込まれた。その後USオープンカップも中断になり、カンペオーネス・カップ、リーグズ・カップは中止が決まってしまった。そんな中7月上旬にMLSイズ・バック・トーナメント(MLS is Back Tournament)という8月中旬で終わる短期の大会を開催した。このコロナ仕様の大会方式は24チームを6つのグループに分けてグループステージを実施し、戦績上位のチームがノックアウトステージに進出するというもので、全試合が無観客で行われた。その直後にMLSは再開したが、当然ながら州ごとにコロナの規制がまちまちで12月中旬の最終節までスタジアムにサポーターを入れられなかったクラブも存在した。この時期のコロナ規制は基本的に厳しいもので、どんなに規制を緩めた場所でもスタジアムの上限人数を収容人員の25%にするのが限界だった。このシーズンの1試合当たりの平均観客動員数は11,052人にまで落ち込んだ(前年2019年シーズンは21,265人)。MLS再開直後に開催されたテニスの全米オープンが全試合無観客開催だった事を考えれば、この時期の厳格なコロナ規制は致し方ない措置と言える。翌2021年シーズンのMLSは例年通り2月下旬または3月上旬に開幕しようとしていたが、コロナ禍のため4月中旬にずれ込んだ。そのため11月中旬での閉幕の予定が12月中旬に後ろ倒しになった。なお2020年シーズンのUSオープンカップは1試合も実施できないまま結局中止になった。翌2021年シーズンの同大会は規模縮小して開催しようとしたが、コロナ禍と財源的な問題で2年連続の中止の憂き目に遭った。このため2021年シーズンのCONCACAFチャンピオンズリーグのUSオープンカップ優勝枠には2019年シーズンでのUSオープンカップ優勝チームであるアトランタ・ユナイテッドFCが入り、2022年シーズンのCONCACAFチャンピオンズリーグの同じ枠には2021年シーズンのMLSの東西両グループでの順位での次点チームであるシアトル・サウンダーズFCが組み込まれた。
MLSは他の国のリーグではあまり見られない独特なローカルルールが数多く見られる。例えば昇降格制度を設けず28チームもの大所帯を全て同一ディビジョンのチームとして扱っている。アメリカはかなりの学歴社会である。学歴には親の経済力が色濃く反映されるので「いくつものディビジョンがある」激しい貧富の差を解消しづらい。実質的に「昇降格制度に乏しい」国なので、スポーツの大会だけは昇降格制度がなくても経済力のないチームが経済力のあるチームを倒す機会を与えようとしているのかもしれない。ドラフト制やサラリーキャップ制の様なローカルルールもおそらく同様の発想から出てきたものだと思われる。これは野球のメジャーリーグでも採用されている方式である。ドラフト制については選手の希望を無視する制度だという批判もあるが、アメリカの様な社会で導入する事には一理ある。これらの制度は年俸の高騰でかつての様にサッカーの大会が消滅するのを防ぐ狙いもある。その他のアメリカ独自の現象としてはMLSオールスターゲームの開催がある。これは日本のプロ野球やかつてのJリーグのオールスターゲームの様な東西対抗戦ではなく、全28チームを引っくるめたオールスターチームが外国のチームと闘うものである。外国のチームとしてはコロナ禍だった2021年シーズンにはメキシコ勢のリーガMXオールスターチームが、コロナ上陸以前にはアトレティコ・マドリード、ユヴェントスFC、レアル・マドリードといった欧州のメガクラブが選ばれてきた。 MLSを開催するスタジアムはどれも収容人員が18,000人以上である。これはJリーグ以上に厳しい水準だ。18,000人もサポーターを入れられるスタジアムがない国で実施している国内リーグが世界中にある事を考えると、世界的にみてMLSの基準は恐ろしく高い。これらを支えているのはもちろんアメリカの企業の高い経済力である。MLSを実施するスタジアムで最も収容人数が多いのは71,000人収容のメルセデス・ベンツ・スタジアムだ。アトランタ・ユナイテッドFCのホームスタジアムとして使われているこのスタジアムの収容人数は総合競技場としての数字であり、MLSの様なサッカーの試合の際には通常は42,500人にまで席数が少なくなる。このクラスに迫るスタジアムがMLSには沢山ある。そしてカナダから越境参加しているクラブが3つ(CFモントリオール 、トロントFC 、バンクーバー・ホワイトキャップス)も有る。これもMLSを語る上で見逃せないポイントである。
MLSを開催するスタジアムはどれも収容人員が18,000人以上である。これはJリーグ以上に厳しい水準だ。18,000人もサポーターを入れられるスタジアムがない国で実施している国内リーグが世界中にある事を考えると、世界的にみてMLSの基準は恐ろしく高い。これらを支えているのはもちろんアメリカの企業の高い経済力である。MLSを実施するスタジアムで最も収容人数が多いのは71,000人収容のメルセデス・ベンツ・スタジアムだ。アトランタ・ユナイテッドFCのホームスタジアムとして使われているこのスタジアムの収容人数は総合競技場としての数字であり、MLSの様なサッカーの試合の際には通常は42,500人にまで席数が少なくなる。このクラスに迫るスタジアムがMLSには沢山ある。
国家としてのアメリカ同様、MLSも人種のるつぼである。どのクラブにも世界中から大勢の外国人が選手契約している。自国籍選手はむしろ少なく、イングランドプレミアリーグやラ・リーガの様な状況になっている。国籍別にみるとアルゼンチン人とブラジル人が共に30人以上と群を抜いている。欧州の国籍を持つ選手が多いのもMLSの特徴でイングランド人やフランス人、ドイツ人やスペイン人はそれぞれ10人以上がMLSに在籍している。MLSにいる80を超える国と地域の選手の中には元京都サンガF.C.でありFCシンシナティ所属の日本人選手である久保裕也も入っている。彼は1つのチームに3人しか許されていない特別指定選手制度の選手である。この制度の選手にはサラリーキャップによる給与の上限が適用されない。
2021年シーズンのCONCACAFチャンピオンズリーグではMLS勢でメキシコ勢の壁を越えられたチームは1つも無かった(最高戦績はフィラデルフィア・ユニオンの準決勝進出)。2022年シーズンのCONCACAFチャンピオンズリーグでは2021年シーズンのMLSカップを制したニューヨーク・シティFCとメキシコ勢のクラブ・レオンを倒したシアトル・サウンダーズFCが準決勝に残っている。準決勝は実は2チームずつある米国勢とメキシコ勢の同国勢対決だ。MLSのチームが2000年シーズン以来の北中米カリブ海の王者に輝く日が来るのか興味深い。
今までは米国の4大スポーツと言えばアメリカンフットボール、野球、バスケットボール、アイスホッケーだったが、2026年にワールドカップをカナダやメキシコと共催する事もあり、アイスホッケーを抜いて4大スポーツの一角に食い込もうとするほどサッカーの人気が急速に上昇している。このアメリカ式の方法論でどこまでサッカー界が盛り上がるのか注目している。
◆最終更新日時
2022/3/27
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