ジョージアのサッカーリーグのまとめ

ジョージアのサッカーリーグについてまとめてみました。

◆公式サイト
https://erovnuliliga.ge/ge

◆連盟
欧州サッカー連盟(UEFA)

◆1部リーグ名称
エロヴヌリ・リーガ(Erovnuli Liga/ეროვნული ლიგა)

◆所属チーム数
10

◆試合形式
リーグ戦(1ステージ制/ホーム&アウェー4回戦総当たり)
※試合数36

◆開催期間
2月下旬〜12月上旬

◆移籍期間
2022年シーズンは1/8〜3/31と6/20〜7/20

◆順位決定方法
勝ち点→直接対決での勝ち点→直接対決での得失点差→直接対決での得点数→直接対決でのアウェーゴール数(当該チームが2チームの場合のみ適用)→得失点差→得点数

◆チャンピオンズリーグ枠
0.0625(エロヴヌリ・リーガ優勝チームが予選1回戦に参戦)
※サカルトヴェロス・タシ優勝チームとエロヴヌリ・リーガ準優勝、3位のチームはヨーロッパカンファレンスリーグの予選1回戦に参戦

◆2部リーグ(エロヴヌリ・リーガ2/Erovnuli Liga 2/ეროვნული ლიგა 2)
10チームが所属。ホーム&アウェー4回戦総当たり。

◆昇降格枠
2±1(エロヴヌリ・リーガの10位のチームとエロヴヌリ・リーガ2の1位のチームが自動昇降格。エロヴヌリ・リーガの9位のチームとエロヴヌリ・リーガ2の2位のチームが、そしてエロヴヌリ・リーガの8位のチームとエロヴヌリ・リーガ2の3位のチームがそれぞれ対戦する昇降格プレーオフの勝者も来シーズンのエロヴヌリ・リーガ所属チームとなる)

◆それ以外の大会
◇サカルトヴェロス・タシ(Georgian Cup/საქართველოს საფეხბურთო თასი)
ジョージアのクラブチームが参加する一発勝負のトーナメントの大会。2021年シーズンは3月下旬から12月上旬にかけて実施した。
◇サカルトヴェロス・スペルタシ(Georgian Super Cup/საქართველოს საფეხბურთო სუპერთასი)
エロヴヌリ・リーガとサカルトヴェロス・タシの優勝チーム同士が対戦する一発勝負の大会。エロヴヌリ・リーガの開幕直前に開催する。

◆平均入場者数
不明

◆チーム名
FCディラ・ゴリ(FC Dila Gori/დილა გორი)
FCディナモ・バトゥミ(FC Dinamo Batumi/დინამო ბათუმი)
FCディナモ・トビリシ(FC Dinamo Tbilisi/დინამო თბილისი)
FCガグラ(FC Gagra/გაგრა)
FCロコモティヴィ・トビリシ(FC Locomotive Tbilisi/ლოკომოტივი თბილისი)
FCサブルタロ(FC Saburtalo Tbilisi/საბურთალო)
FCサムグラリ・チャルトゥボ(FC Samgurali Tsqaltubo/სამგურალი წყალტუბო)
FCシオニ・ボルニシ(FC Sioni Bolnisi/სიონი ბოლნისი)
FCテラヴィ(FC Telavi/თელავი)
FCトルペド・クタイシ(FC Torpedo Kutaisi/ტორპედო ქუთაისი)

◆最近の概要
世界中を駆け巡る新型コロナウイルスは黒海沿岸のワイン発祥の地の1つであるこの国のサッカー界をも見逃さなかった。
新型コロナウイルスが大流行した年である2020年シーズンのエロヴヌリ・リーガは2月下旬から始まり12月上旬に終わった。開幕と閉幕の時期こそ例年通りではあったが、パンデミックのために開幕直後の第2節が終わった3月上旬から6月下旬まで中断を強いられていた。中断期間が長期に及んだため、そのシーズンの1部リーグの試合数を18試合に半減させて対応した。それ以降はサッカーの大会に関しては概ね大きな混乱がなく実施されている。
ジョージアは複雑な歴史を持つ国である。黒海とカスピ海に挟まれた場所に位置するため、交通の要として利用価値の高い場所である。そして地形が山がちであり、起伏に富んでいる。これは流入した様々な民族が場所ごとに分かれて住み着く事を意味している。こうして出来た多民族国家はしばしば内戦を引き起こしてきた。歴史的にジョージア一帯は大袈裟でなく「戦争の巣」と言える場所である。元ソ連という事情もあり、独立後に陥った内戦ではロシアの介入を招いたものもある。内戦の結果としてアブハジアと南オセチアの様に外部勢力に実効支配されていてジョージアの統治が及ばない地域(国?)がある。特に南オセチアは2008年にロシアと戦争になった南オセチア紛争の舞台となった。南オセチアをロシアが国家として一方的に承認したため、ジョージアはロシアとの国交を断絶するに至った。国交断絶状態は現在も続いている。アブハジアと南オセチアの両地域に立ち入る際は政府の許可を得なければならない。ロシアからの両地域への立入りは違法とみなし、ジョージア国内法による処罰の対象になる。両地域では現地占領部隊による現地住民や入域者への拘束、襲撃などが複数発生していて、治安が危険な状態にある。日本の外務省からはこれらの地域にレベル3の渡航中止勧告が出ている。当然ながらこれらの地域にエロヴヌリ・リーガに参戦するクラブはない。
以上の事情があってエロヴヌリ・リーガに関しては「全国各地にスタジアムが散らばっている」とは言えない。このリーグに加盟しているクラブの4割(FCディナモ・トビリシ、FCガグラ、FCロコモティヴィ・トビリシ、FCサブルタロ)が首都トビリシにホームスタジアムを構えている。特にFCディナモ・トビリシは国内で人気のあるクラブで、このリーグを開催するスタジアムで最も収容人数の多い54,549人収容のボリス・パイチャーゼ・スタジアムをホームスタジアムとしている。なお他のスタジアムは収容人数の面では中小の規模のものが多い。ジョージアには温暖な地域が多いという事情があり、1991年のソ連からの独立を機に国内リーグがそれまでの春秋制から秋冬制に移行し、欧州のスケジュールに合わせた。ただし中央部のゴリや東部のテラヴィやボルニシの様に冬になると平均最低気温が氷点下になる地域も局地的に存在する。こういう場所にもエロヴヌリ・リーガの舞台で闘うスタジアムを本拠地とするクラブがある。そのせいか2016年シーズンからリーグ戦の開催時期を春秋制に戻した。
エロヴヌリ・リーガ加盟クラブに所属している外国人選手で最も多いのはブラジル人(6人)である。これ自体は多くの国でも見られる現象だが、次に多いのはウクライナ人(4人)になっている。これは「ロシアに戦争を吹っかけられてきた」という共通の事情が有るからだろう。元々ソ連の一部だったにも関わらずロシア人選手が1人しか在籍していない事もジョージアの複雑な歴史を炙り出しにしている。なお他の外国人選手はナイジェリア人やガーナ人などのアフリカ勢やセルビア人やクロアチア人などの旧ユーゴスラビア勢が目立つ。度重なる内戦で経済が疲弊しているのか、外国人選手のいないクラブも複数存在する。
2021年シーズンのジョージアの大会ではFCディナモ・バトゥミが待望のエロヴヌリ・リーガ初優勝を果たした。その一方でカップ戦になるサカルトヴェロス・タシでは首都のクラブであるFCサブルタロがタイトルを獲った。ちなみにこの大会の決勝の主審はポーランド人が担当した。なお2020年シーズンのエロヴヌリ・リーガ優勝チームとしてFCディナモ・トビリシが2021-2022年シーズンのUEFAチャンピオンズリーグに挑戦したが、予選2回戦で敗退した。
ジョージアはサッカーが盛んな国である。サッカーがこの国の平和に役立つ事を願っている。

◆最終更新日時
2022/3/23

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