インドのサッカーリーグのまとめ
インドのサッカーリーグについてまとめてみました。
◆公式サイト
◇ISL
https://www.indiansuperleague.com
◇Iリーグ
https://i-league.org
◆連盟
アジアサッカー連盟(AFC)
◆1部リーグ名称
インディアン・スーパーリーグ(Indian Super League/इंडियन सुपर लीग)
※通称ISL
Iリーグ(I-League/आई-लीग)
◆所属チーム数
11(ISL)
13(Iリーグ)
◆試合形式
◇ISL
2回戦総当たりのレギュラーシーズンを行う。そこでの上位4チームがノックアウト方式のプレーオフに進出する。プレーオフでは準決勝はホーム&アウェー、決勝は一発勝負で行う。
※試合数20〜23
◇Iリーグ
スプリット制。1回戦総当たり戦のリーグ戦のフェーズ1を実施。フェーズ1終了後に上位7チーム、下位6チームの2グループに分け、1回戦総当たり戦のリーグ戦のフェーズ2を行う。
※試合数17または18
◆開催期間
11月中旬〜(ISL)
12月下旬〜(Iリーグ)
◆移籍期間
2021-2022年シーズンは6/9〜8/31と1/1〜1/31
◆順位決定方法
◇ISL
勝ち点→直接対決での勝ち点→直接対決での得失点差→直接対決での総得点→得失点差→総得点→フェアプレーランキング→抽選
◇Iリーグ
勝ち点→直接対決での勝ち点→直接対決での得失点差→直接対決での総得点→得失点差→総得点→抽選
◆ACL枠
1(ISLのレギュラーシーズン1位のチームがグループステージに参戦)
※Iリーグでの優勝チームはAFCカップのグループステージに参戦。ISLのプレーオフの優勝チームにもAFCカップ参戦の可能性あり(レギュラーシーズンとプレーオフの優勝チームが同じ場合は、レギュラーシーズン2位のチームがこの枠に入る)
◆2部リーグ
◇ISL
なし
◇Iリーグ(Iリーグ・セカンド・ディビジョン/I-League 2nd Division/आई-लीग 2डी डिवीजन)
州別のリーグを勝ち抜いた10チームが参戦するIリーグの予選大会。Iリーグ同様のスプリット制を敷いている。
◆昇降格枠
◇ISL
なし
◇Iリーグ
1(Iリーグの13位のチームとIリーグ・セカンド・ディビジョンの1位のチームが自動昇降格)
◆それ以外の大会
◇インド・スーパーカップ(Super Cup of India/सुपरकप)
ISLとIリーグのチームが参戦する一発勝負のトーナメント方式の大会。
◇デュランド・カップ(Durand Cup/डूरंड कप)
ISL、Iリーグ、Iリーグ・セカンド・ディビジョンと軍隊チームの計16チームが参戦する大会。4つのグループに分けて2回戦総当たり方式のグループステージを実施した後、各グループの上位2チームが一発勝負のノックアウトステージに進出する。2021年シーズンは9月上旬から10月上旬にかけて実施。
◆平均入場者数
不明
◆チーム名
◇ISL
ATKモフン・バガンFC(ATK Mohun Bagan FC/मोहन बागान ए. सी.)
ベンガルールFC(Bengaluru FC/बेंगलुरु एफसी)
チェンナイインFC(Chennaiyin FC/चेन्नइयिन एफसी)
FCゴア(FC Goa/एफसी गोवा)
ハイデラバードFC(Hyderabad FC/हैदराबाद एफसी)
ジャムシェードプルFC(Jamshedpur FC/जमशेदपुर एफसी)
ケーララ・ブラスターズFC(Kerala Blasters FC/केरल ब्लास्टर्स एफसी)
ムンバイ・シティFC(Mumbai City FC/मुंबई सिटी एफसी)
ノースイースト・ユナイテッドFC(NorthEast United FC/नॉर्थईस्ट यूनाइटेड एफसी)
オディシャFC(Odisha FC/दिल्ली डाइनेमोज़ एफ़सी)
SCイースト・ベンガル(SC East Bengal/ईस्ट बंगाल एफ.सी.)
◇Iリーグ
アイゾールFC(Aizawl FC/आइजोल एफसी)
チャーチル・ブラザーズFCゴア(Churchill Brothers FC Goa/चर्चिल ब्रदर्स एफसी गोवा)
ゴクラム・ケーララFC(Gokulam Kerala FC/गोकुलम केरल एफसी)
インディアン・アローズ(Indian Arrows/भारतीय तीर)
ケンクレFC(Kenkre FC/केनक्रे एफसी)
モハメダンSC(Mohammedan SC/मुसलमान एफ.सी.)
NEROCA FC(NEROCA FC/NEROCA एफसी)
ラージャスターン・ユナイテッドFC(Rajasthan United FC/एयू राजस्थान एफसी)
レアル・カシミールFC(Real Kashmir FC/असली कश्मीर एफसी)
ラウンドグラス・パンジャーブFC(RoundGlass Punjab FC/राउंडग्लास पंजाब एफसी)
スリーニディ・デカンFC(Sreenidi Deccan FC/श्रीनिधि डेक्कन एफसी)
スデヴァ・デリーFC(Sudeva Delhi FC/संदेश दिल्ली एफसी)
TRAU FC(TRAU FC/TRAU एफसी)
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◆最近の概要
世界中を震撼させた新型コロナウイルスは南アジアを代表するこの国のサッカー界の調子を狂わせた。
2つの国内リーグのうち特にIリーグの方でコロナ禍の影響が顕著だった。10月頃に開幕し3月頃に閉幕するというのがインドの国内リーグの基本パターンであり、ISLでは2019-2020年シーズンではパンデミックになるギリギリのタイミングである3月中旬に全日程を終えたため延期や打ち切りをしなくて済んだ。翌2020-2021年シーズンは開幕こそ12月中旬という遅い時期だったが、例年通り3月中旬に閉幕した。一方でIリーグでは2019-2020年シーズンまでスプリット制ではなく単純な1シーズン制を敷いていたが、このシーズンでは閉幕がパンデミックに間に合わず全20試合中15〜17試合消化した3月中旬に中断し、その後打ち切りが決まった。翌2020-2021年シーズンのIリーグの開幕はISLより更に遅い1月上旬になった。短期間で全日程を終えるために現在の形のスプリット制にして試合数を削減させて3月下旬の閉幕に漕ぎ着けた。インドではカップ戦は国内リーグのない時期に開催するため、パンデミックの真っ只中である2020年シーズンではインド・スーパーカップもデュランド・カップも共に中止を余儀なくされた。
インドには元々1996年に国内リーグとして発足したナショナル・フットボール・リーグが有った。それが2007年にプロ化したしたのがIリーグである。そして2026年のワールドカップにインド代表を出場させられる為にIリーグと別に2013年に発足したのがISLである。つまりインドの国内リーグは日本のプロ野球と同じ様に「2つの1部リーグ」が併存するという、世界的に非常に珍しい形態だ。FIFAは原則1国1リーグ制を定めていて現在の形態は異常事態と言えるのだが、ISLが商業的に成功を収めた事で力のある外国人選手がISLのクラブに加入する様になった。両リーグを1つのリーグに統合するとほとんどの1部リーグがISL勢で埋まり、Iリーグ勢は2部リーグに追いやられるのは目に見えている。だからIリーグ勢が反発し、現在でも統合に至っていない。2019年シーズンのインド・スーパーカップではIリーグ勢7チームが全インドサッカー連盟(AIFF)によるISL勢との不公平な待遇への抗議のため参戦拒否していて、両リーグ間の溝は深い。
現在のIリーグはイハティにある25,000人収容のナイハティ・スタジアム、カリャニにある20,000人収容のカリャニ・スタジアムとコルカタのマイダンにある20,000人収容のモフン・バガン・グラウンドの3ヶ所で公式戦を行うセントラル方式を採っている。ただし所属クラブの本拠地がその3ヶ所の近辺にしかないという事ではもちろん無く、遠く離れた所に本拠地を置くクラブも存在する。中にはレアル・カシミールFCの様に過激派によるテロ頻発地帯がすぐ近くにある北部の国境付近のカルカッタ州にも本拠地を置くクラブもある。一方でISL所属クラブのホームスタジアムの収容人数は一様に10,000人を超えている。全般的にISLのスタジアムの方が多くの観客を収容できる。ISL開催スタジアムで最も多くの観客を入れられる場所はコルカタにある85,000人収容のソルトレイク・スタジアムであり、ATKモフン・バガンFC、SCイースト・ベンガルがホームスタジアムとして利用している。そしてISLではホーム&アウェー制を採用していて、特定の大都市に集中せずに場所を分散して公式戦を開催している。
両リーグの経済格差は選手層にも表れる。ISLの方が外国人選手の人数が多い。内訳はISLもIリーグもスペイン人、ブラジル人が多い。アジア枠の中では豪州人がISLの、レバノン人がIリーグの多くを占めている。2022年シーズンのACLには2020-2021年シーズンのISL優勝クラブであるムンバイ・シティFCが出場する。このクラブはブラジル人を初めとしてセネガル人、モロッコ人、豪州人、スペイン人が在籍する多国籍軍だ。中でもスペイン人のイゴル・アングロは今シーズンここまでISL10試合中8ゴールを挙げていて、ACLでも台風の眼になり得る。インド勢はアジアの中では西地区に分類されるため東地区である日本勢とはACLでは決勝まで進まないと対戦する事はないが、勝ち上がった場合に注意が必要な存在になる可能性がある。
インドはカースト制度で有名な国であり、カーストの低い人たちは1日100円未満で生活しなければいけない極貧の生活を強いられている。カースト制度はヒンドゥー教の定める職業の世襲制度であるが、経典に載っていない新しい職業についてはカースト制の枠から外れる。だからこそIT産業の様な新しい領域で活躍するインド人が増えている。同じ様に比較的新しい職業であるプロサッカー選手としてもインド人の可能性は開かれている。
新年に入りオミクロン株の流行を受けて、都市部では生活必需品の買い出し以外の不要不急の外出は禁止になった。「都市部集中開催」という方式が仇となり、Iリーグはコロナ禍で6週間の中断を強いられている。
なんとか様々な障害を克服してプレーで周りの人達に活気を与える様に願う。
◆最終更新日時
2022/1/10
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