エジプトのサッカーリーグのまとめ

エジプトのサッカーリーグについてまとめてみました。

◆公式サイト
http://www.efa.eg

◆連盟
アフリカサッカー連盟(CAF)

◆1部リーグ名称
エジプト・プレミアリーグ(Egyptian Premier League/الدوري المصري الممتاز)

◆所属チーム数
18

◆試合形式
リーグ戦(1ステージ制/ホーム&アウェー2回戦総当たり)
※試合数34

◆開催期間
10月下旬~8月

◆移籍期間
不明

◆順位決定方法
勝ち点→直接対決での勝ち点→直接対決での得失点差→直接対決での総得点→直接対決でのアウェーゴール数→得失点差→総得点
※直接対決戦績は当該チーム同士の対戦が全て終わった場合にのみ考慮する

◆CAFチャンピオンズリーグ枠
0.5(エジプト・プレミアリーグの優勝チーム、準優勝チームは予選1回戦に参戦)
※エジプト・プレミアリーグの3位のチームとエジプト・カップの優勝チームはCAFコンフェデレーションカップ予選1回戦に参戦

◆2部リーグ(エジプト・セカンド・ディビジョン/Egyptian Second Division/الدوري المصري القسم الثاني)
48チームが所属。3グループに分かれて2回戦総当たり方式のリーグ戦を実施。

◆昇降格枠
3(エジプト・プレミアリーグの16位〜18位のチームが自動降格。エジプト・セカンド・ディビジョンの各グループの1位のチームが自動昇格)

◆それ以外の大会
◇エジプト・カップ(Egypt Cup/كأس مصر)
エジプト・プレミアリーグ等のクラブが参戦する一発勝負のトーナメント方式のカップ戦。エジプト・プレミアリーグ勢はラウンド32より参戦する。
◇エジプト・スーパーカップ(Egyptian Super Cup/كأس السوبر المصري)
エジプト・プレミアリーグとエジプト・カップの優勝チーム同士が闘う一発勝負の大会。エジプト・プレミアリーグの開幕直前に開催する。

◆平均入場者数
不明

◆チーム名
アルアハリSC(Al-Ahly SC/النادي الأهلي)
セラミカ・クレオパトラFC(Ceramica Cleopatra FC/نادي سيراميكا كليوباترا)
イースタン・カンパニーSC(Eastern Company SC/إيسترن كومباني)
ENPPI SC(ENPPI SC/نادي إنبي)
フューチャーFC(Future FC/نادي فيوتشر)
ハズル・エル・マハラSC(Ghazl El Mahalla SC/نادي غزل المحلة)
エル・ゴウナFC(El Gouna FC/نادي الجونة)
イスマイリーSC(Ismaily SC/النادي الإسماعيلي)
アルイティハド・アレクサンドリア・クラブ(Al-Ittihad Alexandria Club/نادي الاتحاد السكندري)
アルマスリSC(Al-Masry SC/النادي المصري)
ミスル・レル・マッカサSC(Misr Lel Makkasa SC/نادي مصر المقاصة)
アルモカウルーン・アルアラブSC(Al-Mokawloon Al-Arab SC/نادي المقاولون العرب)
ナショナル・バンク・オブ・エジプトSC(National Bank of Egypt SC/نادي البنك الأهلي المصري)
ファルコFC(Pharco FC/نادي فاركو)
ピラミッズFC(Pyramids FC/نادي بيراميدز)
スムーハSC(Smouha SC/نادي سموحة)
タラエア・エル・ガイシュSC(Tala’ea El Gaish SC/نادي طلائع الجيش)
ザマレクSC(Zamalek SC/نادي الزمالك)

◆最近の概要
新型コロナウイルスはあの忌まわしい出来事からようやく立ち直ろうとしていたエジプトのサッカー界に携わる全ての人達の苦痛を長引かせた。
86,000人収容のボルグ・エル・アラブ・スタジアム(現在は主にアルマスリSCがホームスタジアムとして使用)や75,000人収容のカイロ国際スタジアム(ザマレクSCのホームスタジアムであり、2009年には12万人が入った事がある)等の中規模、大規模なスタジアムがずらりと並ぶエジプト・プレミアリーグはアラブ文化圏でもアフリカ大陸でも屈指の動員力を誇る活気あふれるリーグだった。
その全てが2012年で変わってしまった。
2012年2月1日にアルマスリSC対アルアハリSC戦で起きたポートサイドスタジアム暴動で、当時のアルマスリSCのホームスタジアムだったポートサイドスタジアムで74人が死亡し500人以上が負傷するという何とも痛ましい事件が起きてしまった。この虐殺事件は「サッカー史上最悪の事件」として発生から10年近く経つ今日でもエジプトサッカー界に暗い影を落としている。
「皆殺しにしてやろうぜ!」という横断幕を掲げられたこの試合では、キックオフと同時にペットボトルや石、打ち上げ花火等がホームのアルマスリSCサポーターが陣取る場所にいた人達により投げ入れられた。この行為を警備員が止めようとしなかったどころか、警備員を挑発する輩まで現れた。そんな荒れた雰囲気の中で試合は進められ、最終的に3-1でアルマスルSCが勝利した。だが試合終了と同時にアル・マスリSCのサポーターがピッチに乱入しアル・アハリSCの選手やサポーターを襲撃した。この襲撃で負傷した選手がいたと言う。それどころか難を逃れようとした一部の観客が競技場出口に殺到した。あろうことか出口は警備員によって鍵をかけられていた。当然逃げられない観客は出られない出口で潰されて圧死してしまった。アル・マスリSCのサポーターズグループの誤った正義による暴走と、警備員の怠慢が招いた虐殺事件だった。
この未曾有の惨劇はもちろん方々で大きな衝撃を与えた。この事件がキッカケでアルアハリSCの選手3人が引退し、監督のマヌエル・ジョゼは契約解除を申請した。ポートサイドの市長や治安当局幹部らは停職処分を受け、エジプトサッカー協会の理事は更迭された。この2011-2012年シーズンのエジプト・プレミアリーグは再開する事はなく、結局打ち切られた。アルマスリSCはエジプト・セカンド・ディビジョンへの強制降格処分とポートサイドスタジアムの3年間利用禁止処分を下された。当時アルモカウルーン・アルアラブSCの活きの良い若手選手だったモハメド・サラーはこのポートサイドスタジアム暴動がキッカケでエジプトを離れた。以来欧州を渡り歩いた末にリヴァプールFCを代表するストライカーにまで成長した。その間サラーはエジプト代表選手として以外は一度もエジプトでプレーしていない。あんな事件さえ無かったならば、エジプト人は世界的名選手の姿をもう少し長く生で観られただろう。
アル・マスリSCのサポーターズグループが凶悪犯を雇ったとも、この虐殺は組織化されたものとも、普段からゴール裏にいるサポーターではなく外部から紛れた集団による暴行事件とも言われている。この事件に関与した一部のフーリガン21人に死刑判決が下されたが、これに対し暴動が起きて37人が死亡した。この結果、政府はポートサイド等に非常事態宣言を出した。
これほどの破壊的な影響をもたらした大会を簡単に元通りに再開できるはずがなかった。翌2012-2013年シーズンからは全試合が無観客での開催を強いられた。アルマスリSCはホーム扱いの試合でも色んなスタジアムを転々としていた。ようやく観客を入れられる様になったのは、事件発生から実に6年以上も経過した2018-2019年シーズンになってからの事だった。それだっていきなり「全試合で観客数上限撤廃」となるはずもなく、一部の試合で少しずつ上限を増やしていく方策を採った様である。
エジプトサッカー界が復興に向けてようやく歩き始めた時に襲ったのが新型コロナウイルスだった。2月中旬に国内最初の発症者を発見した2019-2020年シーズンのエジプト・プレミアリーグでは3月上旬に無観客に戻して大会を続けようとしたが、感染が急拡大した為数度の中断を強いられた。なんとか全日程の消化には成功したものの、2019年9月下旬に始まった国内リーグが幕を下ろしたのは1年以上経った2020年10月下旬のことだった。ちなみにエジプト・カップの方は本戦が始まったのが2019年12月上旬で、決勝が行われたのが2020年12月上旬だった。つまり平年より2、3ヶ月スケジュールが遅くなってしまった。翌2020-2021年シーズンの国内1部リーグの開幕は12月中旬にずれ込み、閉幕するのに8月下旬まで掛かった。エントリー期限までに間に合わないため、2021-2022年シーズンのCAFチャンピオンズリーグ等への参戦チームは2020-2021年シーズンのエジプト・プレミアリーグの第29節時点での戦績で決定された。エジプト・カップは2月中旬という大幅に遅い時期に本戦が開始されたが、準々決勝で中断・延期している。ただしこちらはコロナ禍の為ではなく、エジプト代表の対戦準備の為である。
エジプト・プレミアリーグに加盟しているクラブの半数以上がナイル川沿いの首都カイロとその近郊のピラミッドで有名なギザに本拠地を構えている。他のクラブの大半は地中海沿岸にホームスタジアムが集まっている。つまりスタジアムの分布が極端に偏っている。何故なら他の地域は砂漠だからだ。エジプトのクラブチームには企業名もしくはそれを連想させるチーム名が多い。例えばファルコFCのチーム名は製薬会社の名前「ファルコ・コーポレーション」から来ている。そんな中「クレオパトラ」「ピラミッド」の様な古代文明を感じさせる名前をチーム名に採り入れている辺りがなんともエジプトらしい。暴動事件から10年近く経った現在でも安全上の理由により中立地で開催する試合が存在する。例えばアル・マスリSCはポートサイドスタジアムの再建に向けて取り壊し中のため、本拠地から265km(東京〜名古屋間の距離)離れたアレクサンドリアにある86,000人収容のボルグ・エル・アラブ・スタジアムをホームスタジアムにしている。
エジプト・プレミアリーグでプレーする外国人選手はガーナ人、ナイジェリア人、チュニジア人、モロッコ人といったアフリカ人でほぼほぼ占められていて、他大陸からはわずかにパレスチナ人、コロンビア人が参戦しているのみとなる。
アルアハリSCは辛い時期でも強豪であり続けたが、2020-2021年シーズンのエジプト・プレミアリーグで優勝したのはザマレクSCだった。これによりアルアハリSCの国内リーグの連覇の数は5で止まった。同時期に開催していたCAFチャンピオンズリーグではザマレクSCはグループステージで敗退したが、アルアハリSCは優勝を果たした。これにより2012年のトラウマとも闘ってきたアルアハリSCは2022年頭にUAEで開催するクラブワールドカップにアフリカ王者として参戦する。そしてザマレクSCも国内リーグ準優勝チームであるアルアハリSCも当然の様に2021-2022年シーズンのCAFチャンピオンズリーグでは予選を突破している。
サッカーは皆が幸せになるために有るのであり、一部の輩が勝手を通すために有るのではないと信じている。

◆最終更新日時
2021/12/2

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