レバノンのサッカーリーグのまとめ

レバノンのサッカーリーグについてまとめてみました。

◆公式サイト
https://the-lfa.com

◆連盟
アジアサッカー連盟(AFC)

◆1部リーグ名称
レバノン・プレミアリーグ(Lebanese Premier League/الدوري اللبناني الممتاز)

◆所属チーム数
12

◆試合形式
スプリット制。ホーム&アウェー方式の1回戦総当たり戦のリーグ戦のファーストステージを実施。レギュラーシーズン終了後に上位6チーム、下位6チームの2グループに分け、1回戦総当たり戦のリーグ戦のセカンドステージを行う。
※試合数16

◆開催期間
9月中旬〜

◆移籍期間
2021-2022年シーズンは5/5〜7/23と12/5〜1/4

◆順位決定方法
勝ち点→直接対決での勝ち点→直接対決での得失点差→得失点差→総得点→抽選

◆ACL枠
0.5(レバノン・プレミアリーグの優勝チームがプレーオフラウンドもしくはAFCカップのグループステージに参戦)
※レバノン・プレミアリーグの準優勝チームとレバノンFAカップの優勝チームがAFCカップのグループステージに参戦
※ただしレバノン・プレミアリーグの優勝チームがACLプレーオフラウンドに参戦できない場合はレバノン・プレミアリーグの準優勝チームはAFCカップに参戦できない

◆2部リーグ(レバノン・セカンド・ディヴィジョン/Lebanese Second Division/الدوري اللبناني الدرجة الثانية)
12チームが所属。NIFLプレミアシップと同様のスプリット制。

◆昇降格枠
2(レバノン・プレミアリーグの11位、12位のチームとレバノン・セカンド・ディヴィジョンの1位、2位のチームが自動昇降格)

◆それ以外の大会
◇レバノンFAカップ(Lebanese FA Cup/كأس لبنان)
レバノン・プレミアリーグとレバノン・セカンド・ディヴィジョンの一部の16チームが参加する一発勝負のトーナメント方式の大会。2020-2021年シーズンは4月下旬から5月中旬まで実施された。
◇レバノン・エリート・カップ(Lebanese Elite Cup/كأس النخبة اللبناني)
レバノン・プレミアリーグの上位6チームが参加する大会。2組に分かれて1回戦総当たり方式でのグループステージを闘い、4チームが一発勝負でのノックアウトステージに進出。2021年シーズンは7月中旬から7月下旬にかけて実施された。
◇レバノン・チャレンジ・カップ(Lebanese Challenge Cup/كأس التحدي اللبناني)
レバノン・プレミアリーグの7〜10位のチームとレバノン・セカンド・ディヴィジョンの1位と2位のチームが参加する大会。大会方式はレバノン・エリート・カップと同じ。2021年シーズンは7月中旬から8月上旬にかけて実施された。
◇レバノン・スーパーカップ(Lebanese Super Cup/كأس السوبر اللبناني)
レバノン・プレミアリーグとレバノンFAカップの優勝チーム同士が対戦する一発勝負の大会。

◆平均入場者数
0人(2020-2021年シーズン)

◆チーム名
ACスポルティング(AC Sporting/نادي سبورتينغ بيروت)
アルアヘドFC(Al-Ahed FC/نادي العهد)
アハー・アリ・アレイFC(Akhaa Ahli Aley FC/نادي الإخاء الأهلي عاليه)
アルアンサール・ベイルートFC(Al-Ansar FC/نادي الأنصار)
ブルジュFC(Bourj FC/نادي البرج)
ネジメSC(Nejmeh SC/نادي النجمة)
サファー・ベイルートSC(Safa SC/نادي الصفاء)
サジェッセSC(Sagesse SC/نادي الحكمة لكرة القدم)
シャバーブ・エル・ブルジュSC(Shabab El Bourj SC/نادي شباب البرج الرياضي)
シャバーブ・アルサヘルFC(Shabab Al-Sahel FC/شباب الساحل)
タダモン・スールSC(Tadamon Sour SC/التضامن صور)
ACトリポリ(AC Tripoli/نادي طرابلس)

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◆最近の概要
世界中を騒がせている新型コロナウイルスは中東のこの国にも襲ったが、そこで暮らしている人達にとってそれどころではないだろう。
サッカーの大会がコロナ禍で見舞われたのは世界中のほとんどのサッカー界と変わりはないが、コロナ禍と無関係の要因が多すぎるのでまずはレバノンの歴史について簡単に説明しなければいけない。第二次世界大戦後のレバノンは観光業が充実し、首都ベイルートは「中東のパリ」と呼ばれるほどの栄華を誇っていた。だがその後の周辺国の軍隊が絡む凄惨な内戦が長引き、テロが繰り返されてきた事で、ベイルートは見る影もない廃墟と化した。その過程でイスラエルの戦火から逃れたパレスチナ人が難民としてキャンプに住み着いたり、紛争などを逃れる為にレバノン人が世界中に離散したり、イスラエルやシリアに一時期は国の一部を実効支配されていたり、ヒズボラと言われるイスラム過激派が台頭したりしてきた。こうして威信の落ちた政府要職や公式機関は名目的権力装置と化し、「ザイーム」と呼ばれる有力者の派閥が内政や外交を実質的に仕切っていた。これらの慢性的な派閥政治は2人に1人が失業する程の深刻な経済停滞といつまでも上下水道や電気が敷かれないインフラ不足、そして散漫な支出による膨大な対外債務を生み出した。こうして国民が貧困に喘いでいる最中に政府がガソリン税、煙草税、アプリ通話税を設置しようとした事がキッカケで市民の怒りが爆発し2019年10月17日に革命が勃発した。いわゆる「2019-2021年レバノン抗議運動」である。そこに2020年初頭にコロナ禍が追い討ちをかける形で更に失業者が増え、さらに2020年3月にデフォルトを引き起こし、レバノン金融危機という形となって国中が大混乱に陥った。2年間の抗議運動の結果首相は辞任したが、今度は資金難で広範囲が停電するほどの深刻な経済難のために2021年10月に政府は預金封鎖を実行に移した。つまり主に経済面で現在のレバノンの大多数の国民は阿鼻叫喚の状態にある。レバノンはアジアとヨーロッパとアフリカに挟まれた交通の要所であり、中東の国でありながら砂漠がなく自然環境には恵まれている。こうした特徴が良からぬ勢力に狙われ、どうしても紛争の舞台になったり財産を根こそぎ奪われてかえって国民が貧困に喘いだりしてしまうのだ。
これらの基礎的事情を否が応でも受けているのが現在のレバノンのサッカー界である。9月中旬に開幕した2019-2020年シーズンのレバノン・プレミアリーグは、10月中旬には既に公式戦が開催されなくなっていた。この時点での中断の原因はコロナ禍ではない。市民革命が勃発したばかりの大混乱の中でサッカーどころではないのは容易に想像つく。2020年に年が変わって新型コロナウイルスがやってきた1月下旬の段階で、レバノン・プレミアリーグもレバノンFAカップもレバノン金融危機とようやく訪れたコロナ禍のため無期限の延期とそれまでに行われた公式戦の取り消しがなされた。両大会は5月下旬に正式に打ち切られた。国内リーグは1〜3試合しか実施されないまま、カップ戦はラウンド32だけが終わった段階での打ち切りであり、当然ながらこのシーズンは優勝チームも降格チームも生まれなかった。なお2020年7月下旬から行う予定だったレバノン・エリート・カップとレバノン・チャレンジ・カップはコロナ対策と8月4日に起きたベイルート港爆発事故が原因で数度の延期の末中止になった。
レバノン・プレミアリーグに加盟している12クラブ中9クラブが首都ベイルートのスタジアムで活動している。これらのクラブ全てに公式戦を行えるスタジアムがある訳ではなく、トレーニング専用のスタジアムしか持たないクラブが多い。公式戦対応のスタジアムの中で最も多くの人を入れられるのは22,000人収容できるトリポリ・ミュニシパル・スタジアム(ACトリポリのホームスタジアム)であり、他はほぼ収容人員1万人未満の小型のスタジアムだ。岐阜県ぐらいの広さしかない国土にサッカーリーグが3部まである事を考えれば、こうしたスタジアム事情は当然であろう。
プレーした時間数に応じたU-22の選手の登録義務など、若手を中心としたリーグ運営をしている。レバノン・プレミアリーグの際立った特徴が外国人選手の登録制限である。このリーグではパレスチナ人以外の外国人選手を登録できない。もちろん金融危機による財政難が原因である。アルアヘドFCにはシリア人選手とボスニアヘルツェゴビナ人選手がいるが、彼らには国内の大会への出場は許されておらず国際大会、つまりAFCカップにのみ出場できる。パレスチナ難民をベイルートで受け入れているが、経済的に困窮したレバノンは難民を受け入れるだけで精一杯であり、難民にインフラを整えるだけの力は残っていない。それに加えてこれまで難民は数々の紛争のたびに命を狙われてきた。現在彼らは路地裏に蜘蛛の巣の様に張り巡らされた電線から盗電した電力で生活せざるを得ず、電線に触れた者が感電死する痛ましい事故が頻発している。こうした壮絶な日常を送っているにもかかわらず彼らは故郷に帰れず市民権も持てないので、他国に移住する事も帰化する事もできない。リーグが資金難にもかかわらずパレスチナ人選手にのみ外国人選手としての門戸を開いていて、1部リーグの3分の1のチームにパレスチナ人選手が在籍しているのは、こうした事情を受けてのものだろう。
いくらリーグ側が大会をやる気でいても、コロナ禍対応を緩和させる対応が出来るのは政府だけだ。だから現在でもレバノン・プレミアリーグではスタジアムにサポーターを入れられず、無観客開催が続いている。こうした状況では試合数が多いほどクラブの財政を直撃してしまう。かつては2回戦総当たり方式の単純な1ステージ制を敷いていて22試合だった少ない年間試合数が、スプリット制に変えた事で16試合にまで削られた。この短いリーグ戦期間の合間にカップ戦を3つ拵えて大会スポンサー収入を増やす事でどうにかやり繰りしてきた。こうした困難を乗り越えてアルアンサール・ベイルートFCが2冠を達成した。
辛さを知る人達は強い。レバノンでサッカーに関わる人達の未来が明るい事を願っている。

◆最終更新日時
2021/10/21

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