キプロスのサッカーリーグのまとめ
キプロスのサッカーリーグについてまとめてみました。
◆公式サイト
https://www.cfa.com.cy
◆連盟
欧州サッカー連盟(UEFA)
◆1部リーグ名称
キプロス・ファーストディビジョン(Cypriot First Division/Α΄ κατηγορία ποδοσφαίρου ανδρών Κύπρου/Kıbrıs Birinci Ligi)
◆所属チーム数
12
◆試合形式
スプリット制。ホーム&アウェー方式の2回戦総当たり戦のリーグ戦のレギュラーシーズンを実施。フェーズ1終了後に上位6チームが参戦するチャンピオンシップラウンド、下位6チームの降格ラウンドに分け、2回戦総当たり戦のリーグ戦を行う。
※試合数32
◆開催期間
8月中旬~5月
◆移籍期間
2021-2022年シーズンは6/9〜8/31と1/1〜1/31
◆順位決定方法
勝ち点→直接対決での勝ち点→直接対決での得失点差→直接対決での総得点→直接対決でのアウェーゴール数(該当チームが2チームしかない場合に考慮)→得失点差→総得点→プレーオフ(レギュラーシーズン終了後にどちらのラウンドに行くかを決める場合や降格チームを決める場合にのみ実施)
◆チャンピオンズリーグ枠
0.25(キプロス・ファーストディビジョン優勝チーム、準優勝チームは予選2回戦に参戦)
※キプロス・カップ優勝チームはヨーロッパリーグの予選3回戦に参戦
※キプロス・ファーストディビジョン3位のチームと4位のチームはヨーロッパカンファレンスリーグの予選2回戦に参戦
◆2部リーグ(キプロス・セカンドディビジョン/Cypriot Second Division/Β΄ κατηγορία ποδοσφαίρου ανδρών Κύπρου/Kıbrıs Cumhuriyeti İkinci Ligi)
16チームが所属。ホーム&アウェー2回戦総当たり。
◆昇降格枠
2(キプロス・ファーストディビジョン11位、12位のチームが自動降格。キプロス・セカンドディビジョン1位、2位のチームが自動昇格)
◆それ以外の大会
◇キプロス・カップ(Cypriot Cup/Κύπελλο Κύπρου/Kipello Kipru)
主にキプロス・ファーストディビジョンとキプロス・セカンドディビジョンのチームが参加するトーナメント方式の大会。2回戦から準決勝までホーム&アウェー方式で、1回戦と決勝は一発勝負で実施。9月下旬から開催。
◇キプロス・スーパーカップ(Cypriot Super Cup/Super Cup/Super Cup)
キプロス・ファーストディビジョンとキプロス・カップの優勝チーム同士が闘う一発勝負の大会。キプロス・ファーストディビジョンの開幕直前に開催。
◆平均入場者数
不明
◆チーム名
AEKラルナカ(AEK Larnaca FC/ΑΕΚ Λάρνακας/AEK)
AELリマソール(AEL Limassol/ΑΕΛ Λεμεσού/AEL)
アノルトシス・ファマグスタ(Anorthosis Famagusta FC/Ανόρθωση Αμμοχώστου/Anorthosis Ammohostu)
APOELニコシア(APOEL FC/ΑΠΟΕΛ/APOEL)
アポロン・リマソール(Apollon Limassol FC/Απόλλων Λεμεσού/Apollon Lemesu)
アリス・リマソール(Aris Limassol FC/Άρης Λεμεσού/Aris Lemesu)
ドクサ・カトコピアスFC(Doxa Katokopias FC/Δόξα Κατωκοπιάς/Doksa THOİ Katokopias)
エスニコス・アフナFC(Ethnikos Achna FC/Εθνικός Άχνας/AS Ethnikos Ahnas)
オリンピアコス・ニコシア(Olympiakos Nicosia/Ολυμπιακός Λευκωσίας/Olimpiakos Lefkosias)
オモニア・ニコシア(AC Omonia/Ομόνοια Λευκωσίας/AS Omonia)
PAEEK(PAEEK/Ποδοσφαιρική Αθλητική Ένωση Επαρχίας Κερύνειας/PAEEK)
パフォスFC(Pafos FC/Πάφος FC/Baf)
◆最近の概要
世界中を揺るがす新型コロナウイルスは地中海の島国にも届いていた。
2019-2020年シーズンのキプロス・ファーストディビジョンはチャンピオンシップラウンドや降格ラウンドを1試合した3月11日の時点でコロナ禍のために中断し、そのまま5月15日をもって打ち切りが決まった。優勝チームも降格チームも発生しないという決断が下ったので、通常なら12チームである1部リーグの構成チーム数が2020-2021年シーズンに限り14チームに増えた。同様にキプロス・カップも準々決勝終了時点で打ち切りになった。当然ながら2020年シーズンのキプロス・スーパーカップは開催されなかった。
キプロス(正式名称はキプロス共和国)は元々はギリシャ系住民とトルコ系住民が同居する国だったが、この状況が1974年を境に一変した。1960年のイギリスからの独立後もギリシャ併合派、トルコ併合派の力が働いていたが、1974年にギリシャ併合強硬派によるクーデターが勃発し、これに対抗する形でトルコ軍が軍事介入してキプロスの北部を占領し、キプロス連邦トルコ共和国(通称北キプロス)を建国した。これに触発される形で住民が民族的な理由で襲撃や虐殺する事件が相次いだ。北キプロスに住んでいたギリシャ系住民は難を避けるために南キプロスに逃げ込み、南キプロスに住んでいたトルコ系住民はギリシャ系住民からの報復を恐れて北キプロスに移動した。こうして1つの国でありながらトルコ系住民の北キプロスとギリシャ系住民の南キプロスという2つの事実上の分断国家が産まれた。なお北キプロスを国家として承認したのはトルコのみであり、国際的な承認を得られていない。南北の境界線には多数の地雷が埋まっているグリーンラインが敷かれ、国連キプロス平和維持軍が駐留・監視している。現在も南北間で緊張状態にあり、男性は18歳で徴兵される。これとは別に元イギリス領という経緯からイギリスが実効支配しているイギリス主権基地領域が存在し、そこにはイギリスの軍事施設が置かれている。
この様な「国家」レベルの強い軍事的緊張は当然ながらサッカー界にも甚大な影響をもたらす。国際的に孤立し財政的に困窮している北キプロスにプロサッカークラブが根付く事は難しく、キプロス・ファーストディビジョンには北キプロスに存在するクラブはない(エスニコス・アフナFCの所在地が正確には北キプロスにあるが、前述のイギリス主権基地領域に隣接していてトルコの影響よりイギリスの影響が強いと思われる)。南北キプロスの陸路での往来は検問所を通る事になるので、必然的に実質上の「南キプロスリーグ」となる。ただし北キプロスにもサッカークラブは存在している。これらのクラブはFIFAに加盟できない国や地域が加盟するCONIFA(独立サッカー連盟)の傘下のKTFF(キプロストルキッシュサッカー協会)が作ったKTFFスーパーリーグでプレーしている。キプロス・ファーストディビジョンのクラブチームとしてはキプロスという国としての首都ニコシアに5つのクラブが固まって存在しているが、この中にはドクサ・カトコピアスFCの様に1974年のトルコ軍のキプロス侵攻を機にクラブハウスを移動した所もある。南北キプロスを合わせてもさいたま市ほどの人口しかいない小国なので、スタジアムも中型や小型のもので占められる。キプロス・ファーストディビジョンのクラブのホームスタジアムの中で収容人数が最大なのは22,859人入れられるGSPスタジアムであり、APOELニコシア、オリンピアコス・ニコシア、オモニア・ニコシアの3つのクラブがホームスタジアムとして利用している。
島国の中の「分断国家」ゆえ、選手はもちろん監督や主将さえもキプロス人は少ない。少々アフリカ人が多めであり日本人選手は存在しないものの、EU圏外の選手の国籍は多岐に渡っている。そしてキプロス人以外のEU圏内の選手、特に西洋人が非常に多い。ギリシャ人がいるクラブはいくつか有ってもトルコ人がいるクラブはない。
2020-2021年シーズンの優勝チームはオモニア・ニコシアである。それまでAPOELニコシアが国内のタイトルを席巻していたが、このシーズンでは降格ラウンドのグループに入る程の不調に陥ってしまい、2021-2022年シーズンの現時点でも下位に甘んじてしまっている。ここ近年はAPOELニコシアも含めキプロス勢がUEFAチャンピオンズリーグ本戦にまで辿り着けない厳しい状況が続いている。
鉛玉をサッカーボールに持ち替える人が1人でも増える様に願っている。
◆最終更新日時
2021/11/9
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