スペインのサッカーリーグのまとめ
スペインのサッカーリーグについてまとめてみました。
◆公式サイト
https://www.laliga.com/laliga-santander
◆連盟
欧州サッカー連盟(UEFA)
◆1部リーグ名称
ラ・リーガ(La Liga/La Liga)
◆所属チーム数
20
◆試合形式
リーグ戦(1ステージ制/ホーム&アウェー2回戦総当たり)
※試合数38
◆開催期間
8月中旬~5月下旬
◆移籍期間
2021-2022年シーズンは7/1〜8/31と1/3〜1/31
◆順位決定方法
勝ち点→直接対決での勝ち点→直接対決での得失点差→得失点差→総得点→フェアプレーポイント
※直接対決戦績は当該チーム同士の試合を全て消化した場合に考慮される
◆チャンピオンズリーグ枠
4(ラ・リーガ上位4チームがグループステージに参戦)
※ラ・リーガ5位のチームおよびコパ・デル・レイ優勝チームはヨーロッパリーグのグループステージに参戦
※ラ・リーガ6位のチームはヨーロッパカンファレンスリーグのプレーオフラウンドに参戦
◆2部リーグ(ラ・リーガ2/La Liga 2/Segunda División de España)
22チームが所属。ホーム&アウェー2回戦総当たり。
◆昇降格枠
3(ラ・リーガの18〜20位が自動降格。ラ・リーガ2の1、2位が自動昇格。昇格枠の最後の1枠は3〜6位のチームが行う昇格プレーオフの勝者)
※昇格プレーオフでは3位vs6位、4位vs5位のカードになり、それぞれの勝者同士の勝者が昇格する。全てホーム&アウェーで闘い、順位の高い方が第2戦のホームになる。延長戦も含めてアウェーゴールルールが適用される。延長で両者ともに同じゴールが生まれた場合は、アウェーチームが勝ち抜ける。延長でゴールが生まれなかった場合は、順位の高いチームが勝ち抜ける。
◆それ以外の大会
◇コパ・デル・レイ(Copa del Rey/Copa del Rey)
ラ・リーガから5部リーグ相当のクラブチームまで参加するトーナメント方式の大会。基本的に一発勝負だが、準決勝などはホーム&アウェーで闘う場合あり。ラ・リーガ勢は基本的に1回戦から参戦(一部のチームがより上位のラウンドから参戦する場合あり)。ほとんどのラウンドで下部リーグのホームスタジアムで対戦する。2020-2021年シーズンは11月中旬から4月中旬まで開催した。
◇スーペルコパ・デ・エスパーニャ(Supercopa de Espana/Supercopa de España)
ラ・リーガとコパ・デル・レイの上位の4チームが対戦する大会。
◆平均入場者数
不明
◆チーム名
デポルティーボ・アラベス(Deportivo Alaves/Deportivo Alavés)
アスレティック・ビルバオ(Athletic Bilbao/Athletic Club)
アトレティコ・マドリード(Atletico Madrid/Club Atlético de Madrid)
FCバルセロナ(FC Barcelona/Fútbol Club Barcelona)
カディスCF(Cadiz CF/Cádiz Club de Fútbol)
セルタ・デ・ビーゴ(RC Celta de Vigo/Real Club Celta de Vigo)
エルチェCF(Elche CF/Elche Club de Fútbol)
RCDエスパニョール(RCD Espanyol/Real Club Deportivo Español)
ヘタフェCF(Getafe CF/Getafe Club de Fútbol)
グラナダCF(Granada CF/Granada Club de Fútbol)
レバンテUD(Levante UD/Levante Unión Deportiva)
RCDマヨルカ(RCD Mallorca/Real Club Deportivo Mallorca)
CAオサスナ(CA Osasuna/Club Atlético Osasuna)
ラージョ・バジェカーノ(Rayo Vallecano/Rayo Vallecano de Madrid)
レアル・ベディス(Real Betis/Real Betis Balompié)
レアル・マドリードCF(Real Madrid CF/Real Madrid Club de Fútbol)
レアル・ソシエダ(Real Sociedad/Real Sociedad de Fútbol)
セビージャFC(Sevilla FC/Sevilla Fútbol Club)
バレンシアCF(Valencia CF/Valencia Club de Fútbol)
ビジャレアルCF(Villarreal CF/Villarreal Club de Fútbol)
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◆最近の概要
新型コロナウイルスは世界屈指のサッカー大国にも試練をもたらした。
2019-2020年シーズンのラ・リーガはコロナ禍の影響で3月12日から7月11日まで中断した。シーズン終盤に4ヶ月間中断した事で、残りの試合は超過密日程となり7月19日にシーズンが閉幕し、翌2020-2021年シーズンの開幕は9月中旬にずれ込んだ。EUのコロナ対策のプロトコルが整備されてきた事もあり、現在の2021-2022年シーズンのラ・リーガでは「条件を満たした人がマスク着用の上で」という新しい基準の縛りはあるが、ボールの動向に合わせて歓声を上げたり指笛を鳴らしたりといったかつての喧騒がスタジアムに戻ってきている。ちなみに現在ラ・リーガをスタジアムで観戦するには「デジタル版のワクチン接種証明書(接種を終えてから14日間以上経過したもの)」「スペインに到着するまでの48時間以内に実施した新型コロナウイルスの迅速抗原検査の結果が陰性であることの証明書」「スペインに到着するまでの72時間以内に実施した新型コロナウイルスの核酸増幅検査の結果が陰性であることの証明書」「新型コロナウウイルスの治癒の証明書(核酸増幅検査で陽性が証明されてから11日後から180日後まで。12歳未満の人は適用されない場合あり)」のいずれか1つが必要になる。この様な取り組みでスタジアムの客席を満員近く埋める事が可能になっている。
通常ならスーパーカップと言えば国内リーグの王者とカップ戦の王者がシーズン直前に一戦まみえるものだが(Jリーグ王者と天皇杯王者が闘う日本のゼロックススーパーカップがそうである様に)、スーペルコパ・デ・エスパーニャは2019-2020年シーズンより大会方式を大胆に変更した。スペインサッカー連盟が採用した大会方式は「ラ・リーガの上位3チームとコパ・デル・レイの優勝チームの合計4チームがシーズンのど真ん中にサウジアラビアのジッダにあるキング・アブドゥッラー・スポーツシティでトーナメント方式で闘う」というものだった。基本的に女性がスタジアムでサッカー観戦する行為が認められていないイスラムの戒律が非常に厳格な国で、この様な大会をシーズン中にわざわざ行うこの選択は、主に女性の人権面で批判を招いた。結局スペインサッカー連盟の会長ルイス・ルビアレスの交渉により、スタジアム内の男性のいるエリアでの女性の観戦が認められた。ちなみに2017年と2019年にサウジアラビアで開催されたACL決勝第1戦のアルヒラルSFC対浦和レッズ戦では女性の浦和レッズサポーターの観客席での観戦が認められたが、これも浦和レッズや日本サッカー協会の関係各所への熱心な交渉の賜物であり、あくまで例外的な措置に過ぎない。翌2020-2021年シーズンのスーパーカップの開催地はスペインに戻っている。
2020-2021年シーズンのスーペルコパ・デ・エスパーニャの出場権を争う2019-2020年シーズンのコパ・デル・レイの決勝は本来2020年4月18日に行う予定だったが、コロナ禍のため「2021年」4月3日に延期になった。この影響で2020-2021のスーペルコパ・デ・エスパーニャはコパ・デル・レイの決勝進出チームとラ・リーガの優勝チーム、準優勝チームに変わった。
1試合当たりの平均観客動員数は2018-2019年シーズンでは26,933人を記録している。コロナ禍の影響を受けていたとはいえ2019-2020年シーズンでは12,186人ものサポーターがスタジアムを訪れている。つまりラ・リーガには大型のスタジアムが多く、これらの大箱での公式戦の開催に耐えられるだけの動員力を備えている。中でも驚異的なのがFCバルセロナのホームスタジアムである99,354人収容可能なカンプ・ノウ、レアル・マドリードCFのホームスタジアムである81,044人収容可能なエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウである。この2つのクラブの直接対決は「エル・クラシコ」と呼ばれ、全世界を代表するダービーとして数々の語り継がれる名勝負を生み出してきた。なおラ・リーガ所属クラブに関しては首都マドリードのクラブ以外は全て海沿いにスタジアムが存在する。
バスクに縁の深い選手しか採用しないアスレティック・ビルバオの様な例外はあるが、基本的にラ・リーガのクラブのチーム構成は多国籍軍である。ただし外国人選手の国籍に関しては偏りが見られる。スペイン語が公用語であるせいかアルゼンチン人等の中南米の選手が多く、アジア人やアフリカ人等の選手がこのリーグでプレーするのは大変な狭き門となっている。現在ラ・リーガでプレーしている日本人男性選手はレアル・マドリードCFからRCDマヨルカにレンタル移籍中の久保建英1人のみである。たとえ外国人枠が適用されないEU圏内の選手であっても、メガクラブでは各国の代表級の選手が多数在籍して凌ぎを削っている。
2020-2021年シーズンではディエゴ・シメオネが監督をしルイス・スアレス擁するアトレティコ・マドリードがラ・リーガ優勝を果たした。FCバルセロナとレアル・マドリードCFの「2強」以外からタイトル獲得クラブが出る事は大会の活性化につながるが、同時にそれは「2強」の凋落をも意味している。特にFCバルセロナのそれは著しい。2016-2017年シーズンまでリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの「MSN」が揃い踏みして欧州を席巻していた。これらの豪華な攻撃陣をクラブに保持し続ける事が財政面で影響がない筈がなかった。アタッカーが1人ずつ抜け、それに呼応するかのように徐々に苦戦を強いられてきた。結局2020-2021年シーズンにラ・リーガ得点王となる30ゴールを挙げて契約延長が成立していたにもかかわらず、財政問題でリオネル・メッシまでパリ・サンジェルマンFCに移籍した。さらに人種差別的言動が引き金になりレンタル移籍の形でアントワーヌ・グリーズマンがFCバルセロナを離脱し、アトレティコ・マドリードに復帰する事になった。「MSN」が1人もいなくなりかなりの戦力ダウンを余儀なくされた2021-2022年シーズンの今、FCバルセロナはUEFAチャンピオンズリーグのグループステージ第1戦で早速ホームでレヴァンドフスキやノイアーを擁するFCバイエルン・ミュンヘンに0-3で敗れるなど、非常に苦しい局面に立たされている。
2020-2021年シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでレアル・マドリードCFが準決勝に進出したが、他の3チーム(FCバルセロナ、セビージャFC、アトレティコ・マドリード)はラウンド16で敗退した。国際大会でもFCバルセロナは宿敵の後塵を拝してしまっている。なお2021-2022年シーズンの同大会にはレアル・マドリードCF、FCバルセロナ、セビージャFC、アトレティコ・マドリード、ビジャレアルCFがグループステージから参戦する。なおビジャレアルCFは2020-2021年シーズンのヨーロッパリーグの優勝チームとしての参戦となる。
2021年の夏のオフシーズンは欧州スーパーリーグ構想の震源地となってしまった。レアル・マドリードCFの会長のペレスが仕掛け人となり、その仕掛けにユヴェントスFCとFCバルセロナが協力する形態になったUEFAから完全に独立した新大会のこの構想は、アトレティコ・マドリードを含む創設メンバー12クラブ中9クラブが撤退した事により、発表からわずか48時間で空中分解した。欧州スーパーリーグ構想は参加クラブがUEFAチャンピオンズリーグやラ・リーガに参戦しづらくするだけでなくこれらの大会の価値を著しく落とす行為でもあり、中小クラブでサッカーに関わる人達がサッカーをやめなければならなくなる事態に繋がりかねない。それ故にこの構想は欧州で猛反発を招き、FIFAもUEFAもサポーターも他のクラブの選手も激しい拒否反応を示した。現在欧州スーパーリーグ構想は事実上の休眠状態になっている。
サッカーはごくごく一部の人だけの為にあるのではない。サッカーは皆が幸せになる為にある。
◆最終更新日時
2021/9/23
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