スコットランドのサッカーリーグのまとめ
スコットランドのサッカーリーグについてまとめてみました。
◆公式サイト
https://spfl.co.uk
◆連盟
欧州サッカー連盟(UEFA)
◆1部リーグ名称
スコティッシュ・プレミアシップ(Scottish Premiership)
◆所属チーム数
12
◆試合形式
スプリット制。ホーム&アウェー方式の3回戦総当たり戦のリーグ戦のファーストステージを実施。レギュラーシーズン終了後に上位6チーム、下位6チームの2グループに分け、1回戦総当たり戦のリーグ戦のセカンドステージを行う。
※試合数38
◆開催期間
7月下旬〜5月
◆移籍期間
2021-2022年シーズンは6/9〜8/31と1/1〜1/31
◆順位決定方法
勝ち点→勝利数→得失点差→総得点→直接対決での勝ち点→直接対決での得失点差→プレーオフ(優勝や国際大会出場枠、セカンドステージでの所属グループが掛かった場合に実施)
◆チャンピオンズリーグ枠
0.625(スコティッシュ・プレミアシップ優勝チームがプレーオフラウンドに、準優勝チームが予選2回戦に参戦)
※スコティッシュカップ優勝チームはヨーロッパリーグプレーオフラウンドに参戦
※スコティッシュ・プレミアシップ3位、4位のチームはヨーロッパカンファレンスリーグのそれぞれ予選3回戦、予選2回戦に参戦
◆2部リーグ(スコティッシュ・チャンピオンシップ/Scottish Championship)
10チームが所属。1ステージ制。ホーム&アウェー3回戦総当たり方式のリーグ戦を実施。
◆昇降格枠
1.5±0.5(スコティッシュ・プレミアシップの12位のチームとスコティッシュ・チャンピオンシップの1位のチームが自動昇降格。スコティッシュ・プレミアシップの11位のチームとスコティッシュ・チャンピオンシップの2〜4位のチームが昇降格プレーオフに参戦。スコティッシュ・チャンピオンシップの3位のチームと4位のチームの勝者が2位の勝者と闘い、その勝者がスコティッシュ・プレミアシップの11位のチームと闘う。この試合の勝者も来期スコティッシュ・チャンピオンシップの所属チームとなる。ここまでの試合は全てホーム&アウェー制で実施)
◆それ以外の大会
◇スコティッシュカップ(Scottish Cup)
スコティッシュ・プレミアシップ他4部相当までのリーグ所属全チーム等が参加する一発勝負のトーナメントの大会。スコティッシュ・プレミアシップ勢は4回戦(ラウンド32)から参戦。9月中旬から5月下旬にかけて実施。
◇スコティッシュリーグカップ(Scottish League Cup)
スコティッシュ・プレミアシップ他4部相当までのリーグ所属全44チームが参加する大会。まず40チームが8グループに分かれてホームorアウェー制のリーグ戦でのグループステージを闘い、各グループ1位のチームと各グループ2位の戦績上位4チームの計12チームがノックアウトステージに進出。国際大会に参戦している4チームもノックアウトステージから参戦する。ノックアウトステージは全て1発勝負。7月上旬から12月中旬にかけて実施。
◆平均入場者数
不明
◆チーム名
アバディーンFC(Aberdeen F.C.)
セルティックFC(Celtic F.C.)
ダンディーFC(Dundee F.C.)
ダンディー・ユナイテッドFC(Dundee United F.C.)
ハート・オブ・ミドロシアンFC(Heart of Midlothian F.C.)
ハイバーニアンFC(Hibernian F.C.)
リヴィングストンFC(Livingston F.C.)
マザーウェルFC(Motherwell F.C.)
レンジャーズFC(Rangers F.C.)
ロス・カウンティFC(Ross County F.C.)
セント・ジョンストンFC(St Johnstone F.C.)
セント・ミレンFC(St Mirren F.C.)
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◆最近の概要
世界中を混乱に陥れた新型コロナウイルスは英国の北の地にも災いをもたらした。
2019-2020年シーズンではファーストステージが佳境に入る5月中旬にスコティッシュ・プレミアシップが中断し、わずか5日後にリーグの打ち切りが決まった。これによりセルティックの9連覇とハート・オブ・ミドロシアンFCの降格が確定した。本来あるべき8試合が未実施のままの降格に納得できないハート・オブ・ミドロシアンFCは法廷闘争に出ようとしたが、後に取り下げている。
2020-2021年シーズンでは開幕戦にアバディーンFCの選手8人が試合後にパブに行き、うち2人からコロナウイルス陽性反応が出た。そのパブで発生したコロナウイルスが都市のロックダウンに結びついた。その後セルティックFCのボリ・ボリンゴリ=ムボンボが公式戦でベンチ入りした。この時彼はスペインから帰国したばかりで、2週間隔離期間中である事を周りに知らせていなかった。これらの行為はコロナ対策プロトコールに違反していて、なおかつ公式戦の延期も招いた。その結果いわゆる「アバディーン8」には3試合出場停止、ムボンボには5試合出場停止が課せられた。
スコットランドはゴルフ発祥の地であるが、最大の都市グラスゴーではセルティックFCとレンジャーズFCの両サポーターのスポーツ界を超えた激しいライバル関係がある事で世界的に知られている。宗教や移民を背景とした両者の睨み合いは試合の無い日は街中では緑色と青色の服装を避けるほど熱を帯びたものであり、この両クラブでスコットランドのサッカーのタイトルをほぼ独占してきた。2020-2021年シーズンの両クラブの対戦である「オールドファームダービー」はレンジャーズFCの3勝1分け0敗である。このシーズンではレンジャーズFCは「ダービー」のみならずスコティッシュ・プレミアシップの全ての試合で無敗を貫き、準優勝クラブであるセルティックFCと勝ち点25差もの圧倒的大差を付けて優勝し、セルティックFCの連覇を9で止めた。特筆すべきはレンジャーズFCの全38試合中13失点という驚異的な守備力である。これは17年間プレーしたリヴァプールFCでもイングランド代表でも主将だったジェラードを2018-2019年シーズンに監督に招聘した事も影響していると見ていいだろう。ただし国際大会の舞台では2021-2022年シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの予選では両クラブとも初戦敗退し、ヨーロッパリーグに闘いの場を移している。国内リーグでは263分間で1点しか失わないチームであっても、欧州の舞台は熾烈である。
覇権の奪還を目論むセルティックFCは横浜F・マリノスからポステコグルーを監督として呼び寄せ、ヴィッセル神戸から古橋亨梧が完全移籍した。彼はこの中村俊輔の古巣で加入直後から活躍し、一部のレンジャーズサポーターから人種差別的チャントの標的になった。なおこの行為を働いたサポーターズグループは「永久追放」の処分が下った模様で、スコットランドの国内リーグは熱いながらもルールやモラルも重視する面が窺える。選手の国籍はこれらの「2強」を中心に多国籍軍になっているクラブが多数存在するが、アジア人選手の数は少ない。
箱型のサッカー専用スタジアムが多いのもスコットランドのサッカー界の特徴である。それもスコティッシュ・プレミアシップ所属クラブの場合は大半のスタジアムの収容人数が1万人以上である。その中でも人数が最大なのはセルティックFCのホームスタジアムのセルティック・パークである。60,506人という収容人数は埼玉スタジアム2002に匹敵する数字であり、埼スタより観客席からピッチまでの距離が近く最前列の客席がピッチレベルとあまり変わらないセルティック・パークで闘うアウェーチームの選手はどれほどやりにくいだろうか。
2019-2020年シーズンでは1試合当たり15,316人だった観客動員数だが、このレベルに戻りつつあると見て良いだろう。現2021-2022年シーズンの8月29日に行われたオールドファームダービーでは、収容人数51,082人のアイブロックス・スタジアムになんと49,402人が詰めかけた。マスクもせずに至る所で「密」を作っている状況であり「英国ではコロナは終わりつつある」と見ていいだろう。
「コロナへの対応が適切ならこれだけ熱く素晴らしい世界が待っている」という事を、世界中のサッカーファンに示してほしい。
◆最終更新日時
2021/9/8
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