ナンバーツーになるということ

終わったばかりの天皇杯で、優勝したヴィッセル神戸の選手が優勝記念Tシャツを身にまとって喜びを爆発させている。

優勝記念Tシャツを着てはしゃぐ姿を見る度に、感じることがある。

優勝記念Tシャツを用意していたのは優勝チームだけではない。

最後まで優勝を争っていたチームも、あらかじめ優勝Tシャツを用意して試合に臨んでいる。

そして優勝を果たせなかったチームの優勝記念Tシャツは、一切陽の目を見ることなくお蔵入りになる。

直近のサッカー選手が闘った大会だけでも、そういうクラブが数多く生まれている。

天皇杯決勝では、鹿島アントラーズは神戸に敗れた。
Jリーグでは、優勝争いするチーム同士の直接対決となった最終節でFC東京は横浜F・マリノスに敗れた。
ルヴァン・カップ決勝では、北海道コンサドーレ札幌は川崎フロンターレに敗れた。
ACL決勝では浦和レッズはアルヒラルに敗れた。
皇后杯決勝では浦和レッズレディースは日テレベレーザに敗れた。

ここに挙げた敗れたクラブ全てが、優勝記念Tシャツを用意していたに違いない。

Tシャツ作成や手配に携わった人たちにとって、時が経っても「手間暇かけてTシャツを作ったのに」というのは心の傷としてずっと引っかかる。

何十枚もとなると、端金では作れない。

金だってかかっている。

優勝したクラブの人たちは、こういう思いをしなくて済む。

優勝記念Tシャツをあらかじめ用意しておくという事は、優勝できなかった時にそれらを捨てなければならなくなるという「リスク」を背負う行為でもある。

ナンバーワンとナンバーツーとでは見える世界が違う。

ナンバーワンだからこそ相手にする人は多い。

「天皇杯で記憶に残ったチームは?」と一般人に訊いて「鹿島」と答える人はどれだけいるか?
チーム名を挙げた人の大多数は鹿島ではなく神戸ではないか?

同様にJリーグやルヴァン・カップ、ACL、皇后杯について同じ事を訊いて一般人がFC東京、札幌、レッズ、レッズレディースと答えるだろうか?
サッカーに明るい人でも普通はマリノス、川崎、アルヒラル、ベレーザと答えるのではないか。

ナンバーワンは一般人に覚えてもらえても、ナンバーツーは一般人の記憶に残らない。

そういう意味で、ナンバーツーはビリと同じだ。
だから多くのアスリートはナンバーワンを目指す。

俺は天皇杯の決勝を、実は神戸のスポーツバーで観た。
関西方面で別の所用があったので、そういう段取りになった。

神戸のレプリカ姿のサポーター。
イニエスタの看板。
神戸のスポーツクラブとのコラボレーションのポスター。

店内はもちろん、店の外にも神戸愛を感じる姿を結構見かける。

サッカー愛がある人は、自分の贔屓のクラブのサポーターだけではない。
クラブの数だけ、クラブへのサッカー愛がある。

これまで神戸は優勝未経験だった。

イニエスタなどの大型外国人の補強を繰り返しながらもそれまで中々結果が伴わず、「単なる金満クラブ」と揶揄された。

そんなクラブが優勝した。
店内の神戸サポーターの人たちの喜びようは、もちろん凄かった。

節目の日に阪神淡路大震災で苦しんだクラブにとって、優勝がもたらす力は果てしなく大きい。

「良い選手を年棒で評価したクラブが結果を出す」という三木谷の方法論を証明したことになる。
もう「金出しても結果が出ない」と言われることはない。

だからこそナンバーツーに終わってしまっても、将来再びナンバーワンを獲れる立場に立った時に、それらの準備をするのに萎縮しないでほしい。

どうか優勝記念Tシャツにまつわる「リスク」を怖れないでほしい。

「またか」という引っかかりは振りほどいてほしい。

喜びをサポーターと共有するための予算をケチらないでほしい。

諦めてしまったら、そこで試合終了だ。
諦めてしまったら、クラブだけでなくクラブの成功を信じてきた人たちまで敗者にしてしまう。

諦めなければ敗者ではない。
ナンバーワンになるまで諦めなければ、勝者になる。
クラブの成功を信じてきた人たちも勝者になる。

ナンバーワンになることを諦めるな!

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