浦和レッズは文化だ(後編)

前編より続く

なぜレッズの社長はここまで実行力に欠けているのか?
サラリーマン社長だとなぜ大胆な施作を打ち出せないのか?

これらについて答えるには、まず日本の大企業サラリーマンの文化を説明する必要がある。
三菱は日本の大企業だからだ。

バブル期に大企業に就職したサラリーマンは、20代のうちは薄給に耐えながらひたすら長時間労働に没頭する。
大企業では大抵年齢別に賃金テーブルが決まっているので、役職のない若手が高級取りにはなれない。
30代で役職に就けるケースは稀だ。

40代でようやく管理職になれる。
役職に就くことで、ようやく高級取りになれる。
子供に金のかかる時期に金を稼ぐことができる。

たとえ部下がいなかったり、名ばかりの役職だったりしていても構わない。
役職を付ける事自体に意味がある。
大企業には訳の分からない役職が乱発していた。

バブル期ではこうして大企業が従業員の生活を守っていた。
これがこれまでの日本のサラリーマンの文化だった。

この文化だと、何も結果を出さなくても会社に居座ってさえいれば、ある年齢になれば自動的に給料が上がる。

そんな会社が新しい技術に貪欲にはなれない。
業績は当然どんどん悪化する。

その結果、大抵の大企業が事実上45歳定年制にして終身雇用制を廃止した。

会社で人材を育てる体力がなくなった。
新卒採用から即戦力目当ての中途採用に切り替えざるを得なくなった。

給与テーブルも年功序列ではなくなりつつある。

これが大抵の大企業の現状だ。

三菱も日本の大企業だ。
だが「大抵の」大企業ではない。

これは三菱の歴史が関係している。

立花は1982年4月に三菱重工業株式会社に入社した。
それから短期間の関連会社への出向を経て、2013年4月から三菱重工業のグローバル戦略本部国内法人営業室の室長に、2016年4月には同社のマーケティング&イノベーション本部グループマーケティング2部の部長に就任している。

だから立花が長年仕事していた三菱重工業の歴史を簡単に説明する。

明治時代に岩崎弥太郎という男がいた。

彼は自分が買い占めていた藩札を、まだ立ち上げたばかりの明治政府に買い取らせて莫大な富を得ていた。
この行動の元になっていたのは、時の政府高官から得た情報だった。

要するに彼は政府と密接な関係にある商人、つまり政商だった。

その時に得た富を元手にして1870年代に海運と商事の事業を展開するために設立したのが、三菱重工業の大元の会社である郵便汽船三菱会社だった。

この会社は「外国の汽船会社を航路から追い出したい」という思惑を持った明治政府の保護を受けていた。

その後富国強兵策に乗った形で軍需面を中心に急激に成長を遂げた。

社名を三菱重工業に改名したのが1934年。
それからは日本の軍拡路線に足並み揃える形で兵器産業に注力し、絶大な力と富を手中に収めた。

1945年の終戦でGHQにより財閥が解体され、1950年に過度経済力集中排除法の適用により3社に分割されても、結局は1964年に三菱重工業として再統合した。

三菱重工業は機械を造る会社として経営してきた。
船舶、産業機械、エネルギー関連機器などのどちらかと言えばtoB向けの機械の製造で知られている。
川崎重工、IHIと共に三大重工業の1つである。

同時に軍需産業でも国内でトップの納入実績があるとされている。
現在でも潜水艦、戦車、ミサイルなどを造っている。

つまり三菱重工業は政府高官とつながりを密にしながら経営してきた会社である。
創業時と終戦直後を除き、軍需産業が重要な位置を占めている(ちなみに三菱系のもう1つのスポンサーである三菱自動車工業は、1970年に三菱重工から分社した会社だ)。

これが何を意味するか?

機械を造る仕事にも色々ある。

冷蔵庫を造る会社なら、一般人が顧客になる。
電車を造る会社なら、鉄道会社が顧客になる。
エレベーターを造る会社なら、ビルのオーナーが顧客になる。

兵器を造る会社なら、国が顧客になる。

冷蔵庫の会社が潰れたら、一般人は近くのコンビニから冷凍食材を買えばいい。
電車の会社が潰れたら、車やバスを使えばいい。
エレベーターの会社が潰れたら、エスカレーターや階段で行けばいい。

これらの産業は「潰れたら潰れたで仕方ない」で済ませられる。
生活が不便になるだろうが、無ければ死ぬほどのものではない。

兵器の会社が潰れたら、国はどうなるか?

あっという間に周辺国に占領されるか、言いなりになるかになってしまう。
国そのものが無くなってしまう。

だから国は絶対に軍需産業を潰せない。

万が一経営危機に直面すれば、公的資金を惜しみなく流して救済するはずだ。

これは三菱重工業側からすれば「どんなに業績が悪くなっても国が助けてくれる」事を意味する。

問題点が有っても黙っていれば、時期が来れば給料が上がる。
他で同じ事をやれば経営危機になるような状況でも、ウチではOKだ。
下手に口出し上に睨まれて会社に居られなくなるのが一番マズい。

そういう状況で「何もしないのが正義」という文化にならない方がおかしい。

だからこれまでの三菱系のサラリーマン社長は、社長らしいことをしてこなかった。
だから「他のクラブなら身を乗り出して興味を示す提案でも、レッズのフロントは踏ん反りかえって耳を貸さない」と揶揄されるようになる。

それでも俺は三菱重工業や三菱自動車工業のあり方を全否定したいわけではない。

これらの会社が浦和レッズの母体を生み出してくれた事については感謝している。
スポンサーとしてサポートし続けてくれた事にも感謝している。

ただレッズは勝負の掟の中で生きている。
それが浦和レッズの文化の1つだ。

悪い結果が続けば降格などの酷い結末を迎え、多くの主力選手の生活がスケールダウンする。
そういう掟の中で闘っている。

レッズに「何もしないのが正義」の文化を持ち込まないでほしい。

今年初めに「ACLとJリーグの2冠を獲る」と宣言した。

立花が獲得した新戦力は機能したか?

機能したのは興梠、槙野、西川といった元からいた選手だ。

新戦力が機能しないから攻撃は興梠頼りになり、深刻な得点力不足に陥った。
守備への負担が増し西川は脚の指を剥離骨折し、それでもゴールマウスに立たなければならなくなっていた。

これらが残留争いから抜け出すのに最終節まで掛かってしまった原因だ。

つまりレッズの戦績低迷の最も大きな責任は立花などのフロント陣にある。

ハッタリをかますのはいい。

ハッタリを現実にするために全力で辻妻を合わせたか?

辻褄を合わせようともせずに、平然とハッタリで終わらせる。
そんな奴は嘘つきでしかない。

だから信頼が壊れる。

ほとんどのレッズサポーターは立花を浦和の人間だと認めていない。

一度壊れた信頼を取り戻すのは、ゼロから信頼を築き上げる事よりはるかに大変だ。

今すぐフロント陣に外部の血を入れるべきだ。

それ無くして、この苦境からの脱却はあり得ない。
「新しい力で立ち直る」とは、そういう事じゃねえのか?

浦和レッズは文化だ。

いや、この状況でも「何もしないのが正義」としか考えらんねえノータリンな奴にも分かるように書いてやろうか?

うらわれっずはぶんかだ。

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