優勝トロフィーを掲げる者が持っている要素

チームメイトの前で優勝トロフィーを掲げるスポーツ選手の姿は印象的だ。
スポーツに打ち込んだことのある人の多くが「一度はみんなの前で優勝を祝いたい」と願ったことがあると思う。

自己啓発的な文章になってしまうが、先に読み進めてほしい。

トロフィーを掲げる人達がほぼ共通して持っている要素が3つある。

◆チームが優勝したこと
◆その者の優勝への貢献が大きいこと
◆同僚のみんなから「アイツに掲げてもらいたい」と思われるほど、同僚のために尽くしてきたこと

この3つを順次説明していく。

まず最初の「チームが優勝したこと」について。

元も子もない要素ではある。
「3つのうちの1つがそれ?」というツッコミが来そうでもある。

そもそも所属チームが優勝しないとトロフィーを掲げられない。

どんなに試合でエース級の活躍をしてもだ。
どんなに身を粉にして闘ってもだ。

チームが結果を出すのが大前提だ。

2番目の「優勝への貢献が大きいこと」について。

これも当たり前の要素である。

チームが優勝したからといって、所属チームの選手全員がトロフィーをチームメイトの前で高々と挙げられる訳じゃない。

先発どころかリザーブにも入れない。
負傷した訳でもないのに。
そんな者にトロフィーを掲げてほしいとは誰も思わない。

いくらチームが優勝しても、ちょっとしか試合に出ていなくて優勝への貢献の小さい者がトロフィーを掲げるのは難しい。

3番目の「同僚のために尽くしてきたこと」について。

1人はみんなのために。
みんなのために陰日向なく動くからこそ「アイツはチームに必要だ」と信頼される。
あまりにもワガママだったり自分の事しか頭になかったりする者に「トロフィーを触ってほしい」とは誰も思わない。

これは団体競技だけでなく、個人競技でも言える。
監督やコーチ、医療スタッフや事務スタッフ等が力を尽くしてきたからこそ、選手は結果を出せる。
同僚や裏方への感謝を忘れた者は、良い結果を出せない。

これらの3つの要素は必要条件であるが、十分条件ではない。

つまりこの3つの要素を全部満たしていても表彰式で純正のトロフィーを掲げられない場合がある。

いろんな例が考えられる。
代表例がリーグ戦形式の大会で逆転優勝を果たした場合だ。

サッカーのJリーグでは、他会場の結果を知った上で「○点差で勝てば優勝できる。だから優勝も降格も懸かっていない今日の対戦相手の諸君、協力ヨロシク!」となるのを防ぐために、最終節は全試合同時キックオフになる。

優勝戦線が大混戦になる場合も多々ある。

優勝したことを示す純正のシャーレは1つしかない。
その純正のシャーレをチェアマンが最も勝ち点の高い「優勝候補本命」のチームの試合に持って行った上で、試合が始まる。

ここでもし「本命」とは別の会場で試合している「対抗」や「大穴」のチームが大逆転優勝を果たしたらどうなるか?

「対抗」や「大穴」がいる現場には、純正のシャーレは無い。

サポーターが見守る中チームメイトの前で選手が掲げるのは、純正より小さい「模造品」のシャーレになる。

当然あとから「純正品」が優勝クラブに届く。
改めてそれを掲げる選手もいる。

ただそれは「サポーターに見守られてチームメイトの前で掲げる」とは言えない。
それでも優勝の価値が落ちる訳では決してないが。

以上のように3つの要素に当てはまっていてもチームメイトの前でトロフィーを掲げられない場合がある。

裏を返せば、トロフィーをチームメイトの前で掲げた者は大体この3つの要素を持っている。

つまりこの3つの要素のどれか1つでも欠けた者がトロフィーを皆の前で掲げる事はできない。

さて、ここから本題に入る。

浦和レッズには「森脇芸」というのがある。

レッズがなんらかのタイトルを獲った時、当然功労者が次々とトロフィーを掲げ、そのタイミングでチームメイトが一斉に両腕を上げて優勝を祝福する。

森脇良太という選手も同僚からトロフィーを上げる様に促され、チームメイトの前でトロフィーを掲げる。
その掲げる彼に対してチームメイトが誰1人反応しない。
で、スカされた森脇がズッコケる。

これが浦和のイジリ芸「森脇芸」だ。

森脇本人がこのブログに目を通しているとは思えないので書く。

森脇は優勝する度に、みんなからトロフィーを掲げるように勧められる。

これは凄い事だ。
たとえイジリ芸だとしてもだ。

優勝したという、チームとしての凄さだけではない。

森脇は選手としても個人能力が高い。
特にトラップの技術の高さはチーム内で1、2を争うほどだ。

ミシャ(ミハイル・ペトロビッチ/現北海道コンサドーレ札幌監督)がレッズの監督だった頃、対峙する相手FWのスタミナと精神力を削るために、自陣ゴール前でワザと際どいパスを連発する姿に衝撃を受けた。

1つトラップを間違えば、失点を意味する。
ハイリスクハイリターンなプレーだ。
「日本人選手であんな事をする奴がいるのか」とビックリしてしまった。

あんなのは「止める」「蹴る」のレベルが相当高い次元にないと不可能だ。

彼はDFにもかかわらず印象的なゴールを何度も決めてきた。
下手なFWより得点力がある。

また森脇は非常に秀抜なムードメーカーでもある。

レッズがタイトルを逃したばかりの時、沈みがちな練習場の雰囲気を自分の声で盛り上げていた。
チームメイトがゴールを決めた時にピッチに立っていれば、自分の調子の良し悪しに関係なく必ず得点者の元に駆け付けていた。
サポーターに対しても、彼はファンサービスを決して疎かにしなかった。

彼は三枚目を演じることを恐れなかった。

「集え浦和ピーポー」
「パイナップル」

メディアの舞台でチームメイトが緊張している雰囲気を、これらの言葉で和ませることのできる貴重な人材だった。

おちゃらけてひょうきんなキャラクターが独り歩きしすぎて、凄さの部分が隠れてしまっている。

そんな彼が、今年2019年をもって浦和から去る。

一部報道によると、彼のもとには複数のクラブから興味を示されていると言う。
行く先々で彼は重宝されるだろう。

森脇には自分が納得いくまで自分のプレーを追求してほしい。

◆こちらの記事もオススメ
大物達が引退してもサッカーは続く
サッカーの街と言われ続けるために
日本のプロサッカーリーグのまとめ

Follow me!