悪夢から這い上がるためには悪夢から目を背けるな

惨敗だった。

俺が座った南側のゴール裏では、試合中にスタジアムを去る人が続出した。

一度ボールがアルヒラルの選手に渡ってしまったら、中々ボールを奪い返せない。
奪えても、前線にボールを届けられない。

スコアが0-2になった。
一気に回りの観客席がガラガラになった。

ここから逆転優勝するには、あと4点必要だ。
ほぼ180分もの間無得点だったチームが、残り1、2分でどうやって4点獲るのか?

左にいるアルヒラルサポーターの耳障りな声援がよく響く。
2年前にはロクに聞こえなかった声が。

そのままタイムアップの笛が鳴ってしまった。

俺の席の列に座っているのは俺1人だけ。
前方の席も丸々ガラガラ。
ピッチがとってもよく見える。

それでも選手はベストを尽くした。
あれ以上を今のレッズの選手に求めるなんて、俺には出来ない。

過密日程のなか満身創痍で闘った選手に対して、何もねぎらわずに埼スタを去るわけにはいかない。
だから他の誰が帰っても、俺は途中で帰れなかった。

アルヒラルは2年前と異なるチームだ。

個人技術が極めて高い。
選手はピッチにボールが1個しかない事を最大限に利用したサッカーをしていた。

あそこまで技術の高い相手だと、ホームアドバンテージとサポーターの盛り上げだけでは差を埋められない。

アルヒラルに関わる人達は皆、ベストを尽くしてきたに違いない。

補強担当は大物外国人を的確に加入させ、更に日本勢の情報獲得も視野に入れ現役Jリーガーを引き抜いた。

日程に余裕を持ってACL決勝に臨めるように、フロントが頑張ってサウジアラビアプロフェッショナルリーグに働き掛けていたであろう事も想像に難くない。

浦和に関わる人達は皆、ベストを尽くしたか?

外国人の補強は、ポルトガルリーグのクラブの幹部1人におんぶに抱っこじゃなかったか?

過密日程とは言うが、そういう日程にしたJリーグや日本サッカー協会にフロントは何か要望や提案を出したか?

ラファの代役が代役になっていない。
負傷で苦しむ柏木に替わる司令塔が育っていない。

興梠はJリーグで今年ここまで12ゴールを挙げている。

それじゃ、レッズで興梠の次にJリーグでゴールを挙げたのは誰?

3ゴールを挙げた長澤だ。

33歳の興梠以外にゴールを沢山挙げる選手がいないから、Jリーグで1試合平均1ゴールを切る低得点のチームになったんだ。
まもなくJリーグが終わろうとしているのに、J2降格が視野に入ってしまっているチームになったんだ。

レッズはJ1で13位のチームに過ぎない。
そもそもそんなチームはアジア王者を目指せるポジションにいない。
180分間アルヒラルとサッカーしても、ただ点差を3点に広げられるだけなのが今のレッズの実力だ。

浦和レッズも2年前と異なるチームだ。

チームの高齢化が著しい。
チームは歳を2才取っただけだ。

アルヒラルは2年前より強くなった。
レッズは2年前より弱くなった。

アルヒラルは色々変わった。
2年前に敗れた事で、敵地でもトラップが乱れない様に、アウェーゴールを奪えるようにトレーニングした。

アルヒラルサポーターも変わった。
2年前にSNSでの人種差別的投稿でラファを発奮させて痛い目を見たアルヒラルサポーターは、今回はその手の投稿が少なめだった。

2年前のままだったら、アルヒラルサポーターはクソッタレでしかなかった。
今の彼らに対してそういう感情を俺は持ち合わせていない。

アルヒラルは勝利に対して純粋で貪欲だった。
タイトル獲得への最短距離を走っていた。

レッズはどうか?

2年前に奪えたアウェーゴールが奪えなくなっている。
大舞台で興梠が沈黙すると誰も点獲れない。

レッズは勝利に対して純粋で貪欲と言えるのか?

ゼネラルマネージャーの中村と社長の淵田は今年初めに「JリーグとACLの二冠を獲る」と言った。

ハッタリをかますなとは言わない。

ただし一旦ハッタリをかました以上、全身全霊で辻褄を合わせようとしなければ単なる嘘つきになる。

彼らは辻褄を合わせようとしたか?

監督が3年連続で途中交代した。
ACL決勝までフロントの顔触れはあまり変わらなかった。

2年前にアジアを獲ったチームをJリーグで残留争いをするチームにしてしまったのは誰?

33歳の興梠が35歳、37歳になれば、今と同じ数のゴールを挙げられるのか?

その時に彼を脅かす選手がいなければ、どうなるのか?

レッズはミシャの遺産を騙し騙し使っていただけだ。
そしてとうとう騙しきれなくなり、Jリーグでも中々勝てないクラブになってしまった。

そういう集団には改革が必要だ。

改革しようとすれば当然かなりの痛みを伴う。
それを避けたままでは、勝てるチームにはならない。

レッズはサッカーの同好会ではない。
結果を残さないと契約を打ち切られる選手で構成されるクラブだ。

選手もその厳しさは認識している筈だ。
ACL決勝でコテンパンにやっつけられた事で、悔し涙を流した選手も多いに違いない。

その悔しさを忘れるな。
目の前でアルヒラルの選手たちにガッツポーズをされた事を忘れるな。

悔しさこそが成長の原動力になる。
大きな成功を収める者は、悔しさから逃げない。
「必ずリベンジしてやる」と闘志を燃やし、結果に繋げる。

アルヒラルもそうだったはず。
2年前に目の前でACLトロフィーを掲げられた事で「いつかきっと!」と心に炎を灯したはずだ。
悪夢から目を背けずに這い上がってきたからこそ、今の姿がある。

ACL決勝での事を忘れるな。
悪夢から目を背けるな。
サポーターの誰と誰が目を背けても、選手は目を背けるな。

悪夢を乗り越えろ。

乗り越えられるまで時間は掛かると思う。

ただ俺も表彰台で狂喜乱舞するアルヒラルの選手たちの姿を目に焼き付けた。
いつかこの悪夢から這い上がるために。

またアジアを目指せるチームになろう。

這い上がれ!

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