ウルトラの問題行動はクラブの力になっているのか?

サッカー絡みのトラブルの報道を見る度に思う。

ウルトラの問題行動はクラブの力になっているのか?

試合で負けた時の選手への暴言。
対戦相手のサポーターグループ同士の武力衝突。
ライバルクラブの選手バスへの襲撃。
フロントへのチケットの無料配布の要求。
そうして手にしたタダ券の高額転売。
ライバルクラブのスタジアム周辺にあるライバルクラブの旗や像へのイタズラ。
対戦相手の選手への人種差別的メッセージの投下。

こういうのが、本当にクラブの力になっているのか?

これは結果で判断すべきだ。
それも定性的なふわっとした表現ではなく、できる限り具体的な数字を用いた定量的な表現で。

乱暴な例えなのは百も承知だ。
俺は敢えてこの例えを使う。

サッカーどころとして有名なイングランドとイタリアの2つの国内リーグ。

ただその雰囲気はかなり違う。

イングランドではフーリガンはスタジアムに入れない。
イタリアではフーリガンがスタジアムでモノを言う。

イングランドではヘイゼルの悲劇やヒルズボロの悲劇が立て続けに起きた。
これらの事件を受けてフーリガンのスタジアムからの排除、全席個席化がイングランドプレミアリーグで義務付けられた。

やがてプレミアリーグでは全ての座席が指定席になった。
ゴール裏が指定席になる事は、ウルトラが統率取れた応援ができなくなる事だった。
つまり、ウルトラがウルトラでいられなくなる事を意味していた。

イタリアリーグセリエAにも全席指定席化の波は来た。
だがセリエAのゴール裏では実質的に自由席。
ウルトラがウルトラでいられた。

それどころか一部ではセリエAのウルトラはクラブの幹部と癒着してチャンピオンズリーグのチケットを無料で融通させる事がしばしば有るという。

イングランドプレミアリーグでは、フーリガンの排除に成功した。
イタリアのセリエAでは、フーリガンの排除に失敗した。

サッカー絡みのトラブルが少ないプレミアリーグ。
この手のトラブルに事欠かないセリエA。

例えが乱暴だが、この2つを比べればウルトラの問題行動がクラブの力になるかが分かる。

では具体的な結果で示そう。

まず戦績面、つまり国際大会での結果はどうか?

◆2018-2019シーズンの欧州国際大会欧州国際大会の決勝に進出したクラブの数
プレミアリーグ勢: 4
セリエA勢: 0

UEFAチャンピオンズリーグの決勝のカードはトッテナムvsリバプール。
ヨーロッパリーグの決勝のカードはチェルシーvsアーセナル。

4クラブともイングランドのクラブだ。
セリエA勢は決勝どころか準決勝にも顔を出していない。
準々決勝に各1クラブずつ(ユベントスがチャンピオンズリーグに、ナポリがヨーロッパリーグに)出場するのが関の山だ。

戦績面に関しては、ウルトラの問題行動はクラブの力になっていない。

それでは経済面、つまり観客動員数ではどうか?

◆2018-2019シーズンのプレミアリーグの平均入場者数
38182人

◆2018-2019シーズンのセリエAの平均入場者数
24931人

経済面でもウルトラの問題行動はクラブの力につながっていない。

それどころかクラブを弱体化させている。

クラブ関係者に余計な手間を強いているのだから、当然だ。

セリエAはつい最近は怖すぎて一般人がスタジアムに近寄れないリーグだった。
そんな環境のサッカーが栄える道理はない。

ここまでを踏まえた上でサッカーを愛する人は、特に浦和レッズサポーターは以下の文章を読んでほしい。

9月14日になでしこリーグが行われた。
INAC神戸レオネッサvs浦和レッズレディースが実施されたカシマサッカースタジアムの脇にあるジーコの記念像に一部のレッズレディースサポーターが登り、レッズのレプリカやタオルマフラーを掲げていた。

これを受けて浦和レッズはジーコや鹿島アントラーズサポーターに向けて「不快な思いを抱かせてしまったことを深くお詫び申し上げます」という声明を発表した。

鹿島はレディースチームを持たないクラブである。
つまり件の輩たちは女子チームだけでなく、男子チームである浦和レッズのサポーターでもあるに違いない。

この行為について、レッズサポーターでは色んな意見がある。

大きく分けると、この2つに集約される。

「迷惑行為」
「これは文化」

レッズサポーターの中では賛否に分かれた形になった。

ジーコは過去、日本代表の監督をしていた時期がある。
もしジーコ像に着せたのが日本代表のレプリカやタオルマフラーなら、確かに文化になるだろう。

あるいはもしジーコが過去に一度でも浦和レッズで選手としてプレーするなり監督として素晴らしい結果を残したりしたことがあるならば、「ジーコ像を浦和グッズで染めるのは文化だ」という言い分も成り立つ。

どちらにしても過去の業績をリスペクトする行為だからだ。

今回の場合は、文化という文脈で行われたとは到底思えない。

過去にはジーコ像を幽霊の姿にコスプレさせた輩までいた。
いつの日か、レッズ戦の日はジーコ像の周りを柵で囲むようになった。

レッズ以外のクラブ、特に鹿島のサポーターは、当然文化だとは思っていない。

「あれは文化だ」とレッズサポーターが言うならば、大勢の鹿島サポーターの前でも同じ事ができるはずだ。

更に書けば、「あれは文化だ」と主張するならば、埼玉スタジアム2002で鹿島と闘う際、浦和駅前のロータリーにあるレディアやうなこちゃんの銅像に鹿島のマフラーを掲げられたらどう答えるつもりか?

鹿島サポーターに「これも文化だ」と言われれば、受け入れなければならなくなる。

レディア像に鹿島のレプリカやタオルマフラーを着せられれば、レッズサポーターは良い気がするか?

少なくともレッズの幹部はそう思っていない。
だからこそ真っ先に謝罪した。

「いつまで言ってんだ」とさっさと幕引きを謀るレッズサポーターもいる。
だがやった側は忘れても、やられた側は忘れないものだ。

今回の件で、鹿島サポーターが「どんな手を使っても浦和を倒してやる!」と意気込むのは目に見えている。
おそらく鹿島サポーターは選手生命を懸けてでもレッズを倒すように、鹿島の選手にプレッシャーを掛けるだろう。

一部のレッズのウルトラのこの手の行為も、やはりレッズに不利益しかもたらしていない。

スタジアムの中での煽りまで否定する気はない。
ただレッズにとって不利益にしかならない行為を認める気にも俺はなれない。

愛するクラブの脚を引っ張る行為は慎もう。

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