パワハラとは組織の覚醒剤だ

チョウ・キジェが10月8日付で湘南ベルマーレの監督を退任した。

彼は湘南の選手やスタッフにパワハラを繰り返していた。

その事でJリーグは調査結果を発表した。

一連のパワハラでスタッフが出勤できなくなったり、選手が移籍せざるを得なくなったりした事例があるという。

処分の内容というと、チョウに対しては

◆譴責
◆公式試合5試合の出場停止

湘南に対しては

◆譴責
◆制裁金200万円

浦和レッズサポーターの俺の立場からして、Jリーグからのこの処分が甘いという気持ちは当然ある。
槙野智章の審判批判の発言(1試合出場停止)や一部のレッズサポーターによる差別的横断幕(無観客試合)など、過去に浦和レッズが受けた制裁に比べて片手落ちだとも思う。

ただ一方で「ようやくパワハラに厳しい目を向ける社会が日本にも現れた」とも思っている。

一昔前まではヴィッセル神戸在籍時の元監督の川勝良一や中日ドラゴンズ在籍時の元監督の星野仙一の様に、暴言どころか暴力も辞さない指導者が幅を利かせていた。

その頃から考えれば、随分環境が良くなったと思う。

他の国のスポーツクラブで監督が選手を殴ろうものなら、途端に選手が監督を殴り返す。
指導者失格とみなされ、監督は職を辞めなければならなくなる。
暴言や暴力を指導者が続けていられる日本の状況が異様なのだ。

日本では兵庫県神戸市の東須磨小学校の様に教師が教師をパワハラしたりイジメたり事例すらある。

この手の事件で残念なのは、加害者の氏名を公表しない事だ。

メディアが加害者の名前を明かさない事で、加害者の人権を守っている。
京アニ事件では遺族の猛反発が有りながらも被害者の公表に踏み切ったというのに!

日本の社会は加害者に優しく、被害者に厳しい。

大勢が少数を攻撃する。それがイジメだ。

大勢、つまり大多数が加害者の立場になる。

「あなたにも悪い所があるからだろ」

イジメの被害者が学校に泣き付いた時に言われる定番のセリフである。
「加害者を罰しない」という代表的な意思表示だ。

こんなんだから加害者は「何でもアリ」になる。

「軍隊式教育もアリ」だから体罰や運動会の超高層ピラミッドがまかり通る。
「擁護でもアリ」だからごく普通に、ナチュラルにジャイアニズムを発揮する。
「自分勝手もアリ」だから自分たちが認められている事をイジメのターゲットには認めないダブルスタンダードが当たり前になる。

そして加害者の数は多い。

加害者の立場にしかなった事のない者に、被害者の気持ちなど分からない。

「分かる必要などない」
この世界観の中で今までずっと生きてきたのだから、被害者の気持ちなど分かりようがない。

「悲しみを乗り越えて」

Jリーグの発表直後の湘南ベルマーレ会長の眞壁潔のこの弁は、「俺たちは被害者だ」の意味にしか見えない。
眞壁は完全に事件の初動対応に失敗している。

その後、湘南ベルマーレの首脳陣はチョウに監督職を慰留しようとした。
2次対応まで完全に失敗だ。

トラブルの初期対応、特に初動対応の失敗は取り返しがつかない。
こうなった場合、事件前のように幅広い人たちに愛されるには、気が遠くなる位長い時間がかかる。

なぜこんな頓珍漢な対応をしてしまうのか?

湘南ベルマーレの首脳陣に、いや取り巻きも含めて加害者しかいないからだ。
そうでなければこんな馬鹿な事にはならない。

被害者の気持ちなど、これっぽっちも考えていない。
自分たちの有事での一挙手一投足が一般人からの信用を失っている事に気づかない。

哀れな集団だ。

湘南ベルマーレの大半のサポーターの反応も残念すぎる。

ツイッターを見る限り、チョウを擁護するものが目立つ。

クラブ名が現在の湘南ベルマーレになってから、日本一を獲ったタイトルは1つだけ。
この1つが、チョウ率いるチームが2018年に獲得したルヴァンカップだった。

クラブやサポーターにとって、チョウはクラブにタイトルをもたらした数少ない人間だ。
チョウが練り上げた90分間走り抜くタフなサッカーは「湘南スタイル」と呼ばれた。

「功績を持つ者をけなしたくない」という気持ちは分かる。
だがここは「悪い事は悪い事」と考えないと。

多くの湘南サポーターも残念ながら、被害者の存在を忘れている。

チョウ擁護の話を一般人にすれば、どうなるか?

「関わり合いになってはいけない暴力的な人種だ」と距離を置く。

湘南サポーターが認めても、他の人たちは「イタい連中」と一括りにして見る。

その結果、チョウを擁護する湘南サポーターは一般社会から孤立する。
だから彼ら彼女らは極めて狭い集団の中でしか生きられなくなる。

過去にタイトルをもたらしていようが、パワハラの問題とは関係ない。
問題点を暴力や暴言で解決すれば全てが偽りの物になってしまう。

だからチョウは湘南を出て行かなければならなくなった。
梅崎司も「信じているものが薄れている」と言っている。

過去に湘南ベルマーレが獲得してきたタイトルも「パワハラで多くの人たちを追いつめてきたからだろ」と批判の材料になる。

放置すればやがて「Jリーグはパワハラ養成所」とメディアに書き立てられる。

一般人の認識もそうなる。
サポーターがスタジアムに行きたくても行けなくなってしまう。

最悪の場合、Jリーグの消滅に繋がってしまう。

だからパワハラを絶対に認めてはいけない。

過去にどんなに素晴らしい結果を残そうと、パワハラを常態化させる輩を「指導者」とは俺は認めない。

事件が公になった直後に.武富孝介は浦和レッズに復帰した。
彼のこの行為は正解だと思う。

彼の受け入れに関しては人道的要因も当然ある。
事件対応で混沌とした状態で練習に専念できるとは、俺も思えない。

レッズ復帰直後に発覚した彼の疲労骨折に至る経緯も気になる。
事と次第によっては、疲労骨折の治療費と浦和にいる半年分の人件費を湘南ベルマーレに請求すべきだ。

これもパワハラの代償の一例だ。
やった行為に関しては、きちんと代償を払わせるべきだ。

パワハラとは組織の覚醒剤だ。

覚醒剤にのめり込んだり擁護したりする輩がいる。
そんな輩をどんな風に扱うか、あなたならご存知だろう?

「メンタル面で早急な復帰が困難」

これはチョウが監督を退いた直接的な理由だ。
ただ今の湘南の選手の心理状態をも言い表しているように思えてならない。

チョウが活動自粛を始めたのが8月13日。
その前後から湘南は勝利から見放されている。
直近の2試合である9月29日、10月6日の公式戦では0-6、0-5と惨敗している。

全く闘える状態にない。
これもパワハラの代償の一例だ。

覚醒剤で得た幸せなど、偽りのものだ。

たとえ遠回りに見えてもいい。
パワハラに頼らずに結果を出す様に行動しよう。

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