杉本健勇の副業についてまじめに考える(後編)

前編より続く

【健勇はどうすれば良かったか】

杉本健勇はvibes.を今ではなく、シーズンオフの来年1月半ばにスタートすべきだった。

どうしてもシーズン中に始めたければ、何本かゴールを決めてJリーグ優勝が視野に入る状態にした時にやるべきだった。

レッズには副業をしている選手が何人かいる。

武藤雄樹は回転寿司チェーン「がってん寿司」とタイアップ企画をしている。
宇賀神友弥はフットサル場「UGAJIN Esforço Place」を経営し、サッカースクール「Esforço Football School」を開設している。
槙野智章は整髪料「HALTEN」を扱う社長業を始めた。
興梠慎三の親族はテイクアウト鶏肉屋「ローストチキンコオロギ」の浦和店を開き、興梠自身が広告塔になっている。

武藤や槙野などの副業が成功したのは、ピッチで結果が出ている時期に始めたからだ(ただし興梠のローストチキンコオロギについては純粋な意味での「選手が始めた副業」とは言えないが)。

本来なら選手の立場を利用するビジネスをするなら、選手として結果を出してから始めるべきだ。

満足に試合も出られていない名ばかりJリーガーやなでしこリーガーなら話は別だ。

彼ら彼女らは生活のために、そして家族を養うために副業をしなければいけない。

たとえば千葉県鴨川市のなでしこリーグに所属するオルカ鴨川には、亀田総合病院で働いているなでしこリーガーがいる。

亀田総合病院の正面玄関に「本日は○○選手が出勤しています」と表示しているだろうか?

そう表示していない状況を「選手の立場を利用するビジネス」とは言わない。

健勇の場合は違う。
vibes.のホームページに本人の写真とともに「自分がアスリートであること」を明示している。

この立場で、本業で結果が出てない状態で「副業もヨロシク」と言われても、サポーターは誰も相手にしないだろう。

本来ならゴールを挙げて結果が出た時にvibesを立ち上げるのが一番良かった。

ただこのビジネスモデルだと、色々と人手が必要になる。

この事業は、そもそもReviveというスポーツビジネスを手掛ける会社が健勇とクリエイティブパートナー契約を交わして進めているもの。

Revive代表の前田眞郷は、大親友の健勇と色々と打ち合わせが必要になる。
前田にだって部下が色々いるだろう。
オフラインミーティングを開催するとなれば、そのための人手も別に必要になる。

その状態で「ゴールを挙げたからさあビジネススタート」とは、中々なりづらい。

だから健勇の場合はオフシーズンに始めるべきだったのだ。

ただし健勇ももしかしたら同様に考えていたのかもしれない。

前田に「今だよ今」と言われ、Reviveの社員の事情も考慮し、健勇は渋々彼の要求を飲んだのかもしれない。

だとすれば、サポーターからの批判を招いた責任は健勇にある。

厳しい書き方になるが、もしそうだとすれば健勇は引退後に個人事業主として生きていくのは止めるべきだ。

vibes.のビジネスモデルでは、あくまで情報を発信するのは健勇だ。

関連会社に「今」と言われても、今じゃない明確な理由があるならば必ず説得しなければいけない。

「今」と言われて「今じゃないだろ」と思っても従う。

これは一見関連会社の便宜を図っているように見えて、実は総崩れを招いている。

健勇が批判されれば売上が落ちる。
当然Reviveにもダメージが行く。

この件で健勇が妥協することは、優しさにはならない。

この程度の舵取りも出来ないようでは、個人事業主として生きていく資格はない。
自分を看板にして生きていくのは、並大抵のことではない。

【健勇はどうすれば良いか】

いまさら過去には戻れない。
できることをやるしかない。

ピッチではとにかくゴールという結果を出すこと。

vibes.と契約する客には誠意を持って対応すること。

副業とはいえある程度の質を保つのは前提条件だ。
月額2,980円を客から頂くなら、その分の価値を客に提供する義務が健勇にはある。

そうは言っても、事業を立ち上げるのは簡単ではない。

起業1回目で成功するほうがむしろ珍しい。
事業が成功するためには、普通は方針転換と数え切れないほどの改良を重ねることになる。

「何が何でもこのビジネスで成功しないと」と思いつめないことだ。

「このビジネスが向いてるか」なんて、やってみないと分からない。

失敗したら「このビジネスは向いてない」「このやり方ではこういう理由でまずいから、別のやり方でいこう」という知識を得られたと思えばいい。

失敗した事業をたたむのは、恥ずかしいことではない。
事業が失敗していると分かっていて、それでもめくらめっぽうに突っ込む方が、破滅の原因になる。

失敗したら成功するまで改善すれば良いだけの話だ。

そもそも前編で述べたように、ファンクラブ形式のビジネスはアスリートにとって王道だ。
オンラインサロン形式のクローズドなタイプの空間で展開するビジネスモデルは、今後他のアスリートが追従する可能性もある。
その時、健勇はオンラインサロンを開いたアスリートの先駆者という立場に立つことになる。

一度そういう立場を確立すれば、その後の仕事がやりやすくなる。
「オンラインサロンといえば健勇」というブランドイメージが付くからだ。

だからこそ、健勇のvibes.の成功を願う。

もちろん健勇には、その前にやるべき事がある。

俺も「金取る前に点取れ」と言わせてもらう。
ゴールも決めずにサイドビジネスを始めれば、熱狂的なレッズサポーターから怒りを買うのは当然だ。

だからといって、vibes.のチャレンジや健勇の人間性を否定するつもりはない。

「事業にはタイミングが重要だ」
「選手としてサイドビジネスを手掛けるなら、選手としての結果がないと」

今回の件でこの学びを得られればそれで良い。
この学びを健勇が今後の人生に活かしてくれる事を願う。

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