杉本健勇の副業についてまじめに考える(前編)

浦和レッズの杉本健勇が会員制のSNSである「vibes.」をスタートさせた。

https://twitter.com/varenti41/status/1168826476851974144

この行為が、健勇にとってかなりの逆風になっている。

「金取る前に点取れ」
「YOUは何しに浦和へ?」
「チームより自分優先か?」
「タレントか?」
「金蔓探す目的で浦和入ったなら、出て行け」
「健勇に月2,980円も払う金が有れば、レッズに投資する」
「料金が高すぎる。DAZNより高い」

レッズのコアサポーターを中心に、評判は最悪だ。

健勇がこの副業を始めることについて、そしてスポーツ選手の副業についても述べる。

【健勇のビジネスの炎上の原因】

炎上の原因は次の2点に集約される。
単純明快だ。

◆タイミングが悪すぎる。
◆選手の立場を使うビジネスをするのに、選手としての結果を残していない。

浦和レッズは現在の25節終了時点で、勝ち点31の11位。

入れ替え戦圏内の16位のサガン鳥栖まで勝ち点差がわずか4しかない。
J2降格が視野に入ってしまっている。

今年ここまで健勇が挙げたゴールは、古巣セレッソ大阪相手にPKの1点のみ。

個人としてもチームとしても絶不調。

健勇は昨シーズンのオフに鳴り物入りのストライカーとして、レッズに加入してきた。
健勇がもっとゴールを挙げてさえいれば、レッズは残留争いではなく優勝争いしていたはずだ。

「会員制のSNSを作って、ファンとの絆を深めたい」という気持ちは分かる。

ただそれは、今やる事か?

健勇はレッズサポーターの神経を思いっきり逆撫でしている。

俺だって「金取る前に点取れ」と思う。
「結果も残さずに、金はもらうのか?」と今は思っている。

浦和での戦績がチンチクリンな状態で「レッズの杉本健勇です。vibes.をよろしくお願いします」なんて100年早い。
顔を洗って出直して来い。

以上!

で済ませれば何も繋がらない。
この件について、もう少し述べることにする。

プロのアスリートが現役生活を並行させて、副業を始める。

これ自体は悪くない。

アスリートの引退後の生活は、大体厳しい。
現役時代からセカンドキャリアに向けて動くのは大切だ。

ただ結果の出てないこのタイミングでセカンドキャリアに向けて動くのは、サポーターの心象が悪すぎる。

浦和レッズは埼玉スタジアム2002の北側ゴール裏で迫力ある応援を繰り広げるコアサポーターの情熱が高いことで知られている。

北のコアサポーターは誰も健勇に金を払わないだろう。
サポーター同士でネガティブキャンペーンを張っている絵面が容易に目に浮かぶ。
こうなったら、事業を採算ベースにまで持っていくのはとてつもなく難しくなる。

事業を始めるには、タイミングが重要だ。

早くても遅くてもダメ。
どんなに良い内容でもタイミングが悪いと逆効果になる。

健勇のvibes.は、その典型例だ。
真冬の大雪の日にかき氷屋の屋台を開く様なものだ。

【健勇のビジネスの内容や特徴】

vibes.は、オンラインサロン型のファンクラブである。

オンラインサロンとは月額制のウェブ上で繰り広げられる会員制のコミュニティーである。
オンラインサロン自体は潮流に乗っているビジネス形態だ。

ファンクラブも個人のファンを固定化する上で王道と言える。

オンラインサロンを主催している主な例を挙げる。

◆ 西野亮廣エンタメ研究所
オーナーは西野亮廣
月額費は1,000円

◆ 堀江貴文イノベーション大学校
オーナーは堀江貴文
月額費は10,800円

◆ 箕輪編集室
オーナーは箕輪康介
月額費は5,940円

◆ スキルシェアサロン
オーナーはイケダハヤト、はあちゅう、小原聖誉
月額費は3,000円

vibes.は月額2,980円。

vibes.の価格は確かに安くはない。
ただ他のオンラインサロンと比べると、それ程極端に高額でもない。

価格を付ける行為には、冷やかしを遠ざける意味がある。

海沿いの駐車場の管理人が、駐車場が荒れるのを嫌い駐車代を有料にするのと同じ理屈だ。

さて、肝心のサービスの内容は

◆グループチャットでアスリートと会話
◆LIVE配信や日々の投稿を閲覧
◆オフラインミーティングに参加(不定期・別料金)
◆アスリートと1対1のビデオ通話(不定期・別料金)

不特定多数が見られるツイッターだと、車1台買っただけでも炎上のタネになる。

「ネット当たり屋」が近寄れないクローズドなコミュニティでアスリートと直接コミュニケーションを取れる様にする。

スポーツビジネスとしてこれを捉えた場合、サポーターが言うほどこの行為は悪くない。
オンラインサロンを解説して顧客から金を貰う行為そのものは、十分に合理的だ。
「画期的なビジネスモデルだ」とさえ思う。

さてサッカーのコアサポーター相手にサッカー関連の商品を売るのは、実は極めて難しい。
売る側がクラブ公式ショップの人や元サポーターズグループが開設した店の人なら話は別だが。
この事は、俺自身が拙著「ACL参戦記2017」でよく分かった(無理にとは決して言うつもりがないですが、気が向いたら買って頂ければ幸いです)。

サポーターは、特にゴール裏に通いつめるコアサポーターはチームオフィシャルでないサッカー関連の商材を有料で買う事については強く抵抗する。

コアサポーターには金がないからだ。

決してコアサポーターを馬鹿にする意図はない。

色々稼いで、無駄な出費を色々切り詰めるからこそ、長い間コアサポーターでいられる。
コアサポーターで金が有る方がむしろ不自然だ。

そんな生活を日々送っていれば、金の話にはどうしても敏感になる。
サポーターの気質によっては、すぐにSNSでネガティブな噂を立てられてネガティブキャンペーンを張られてしまう。

先程のかき氷屋の例えで言えば、通行人だけでなくテキ屋からも目の敵にされている状態だ。

ただし観客席はゴール裏だけではない。

スタジアムにはバックスタンド席もホームスタンド席もある。
妻や子供を誘って試合を楽しむ人たちや、サッカーや選手に興味を持って初めてスタジアムに訪れたニワカもいる。

ゴール裏に熱心に通いつめる様なコアサポーターは、普通は特定の選手ではなくそのチームを応援している。

なぜなら、選手には移籍がつきものだからだ。

健勇はおそらく埼スタのゴール裏北に通い詰めるようなコアサポーターをvibes.でのメインターゲットとしていない。

「ニワカ」が多分vibes.でのメインターゲットだろう。

甘いマスクで知られる健勇には女性ファンが多いと思う。
vibes.には恐らく女性の会員が多くなるのではないか。

「チームではなく自分個人に付いて来るファンを増やしたい」

健勇がそう考えても当然だ。

コアサポーターをメインターゲットにしても、集客に相当苦戦するはずだ。
その方法だとレッズサポーターにしか売れなくなってしまう。

スポーツに最も金を落とすのはニワカだ。

引退後の生活も視野にアスリートがビジネスを展開する場合、ニワカを重視するのは正しい。

神経を逆撫でされると、価格でもサービスでも何でもかんでも批判的に感じてしまうもの。
タイミングさえ良かったならば、価格面について「高い」と思われることは有ったかもしれないが、炎上まではしなかっただろう。
タイミングさえ良ければ受け入れられていた可能性は高い。

※後編に続く

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