アウェーへの観戦を続けるために
一般的なJリーグサポーターがアウェーに行くのは年2試合らしい。
では、アウェーに行かないファンは「熱心なサポーター」とは言わないのか?
そんな事はない。
アウェーに行った事がない人もいる。
年に5試合も6試合も行っている人もいる。
俺自身はというと、年によってバラつきがある。
全く行けない年もあれば、年に6試合ぐらい行っちゃう年もある。
今年は、残念ながらまだアウェー観戦は果たせていない。
監督が組長に変わった。
そろそろアウェーにカチコミしに行きたいな。
アウェーに行くサポーターの立場には、色んなパターンがある。
ホームスタジアムのすぐ近くに住んでいて、やりくり算段を尽くしてアウェーに乗り込める様にする人もいる。
事情があってホームスタジアムから遠く離れた所で暮らしていて、住んでいる所の近くで試合する時に行く人もいる。
いずれの場合も、頻繁にアウェーに乗り込むファンが「熱心なサポーター」なのは間違いない。
冒頭にも書いたが、アウェーに行けないというだけで「熱心なサポーターでない」とは言わない。
サポーターがアウェーに行くために必要なのは金と時間と協力者だ。
愛するクラブのために自分の人生を全部捧げている人にとっては、この条件は難なくクリアしているだろう。
だがそうでない大抵の人には、人生の節目を迎える度にこの壁にぶち当たることになる。
「愛するクラブに自分の人生を100%捧げる」なんて芸当は、普通の人にはできない。
こんな事を考えもしなかった学生のサポーターが、学校を卒業して就職したとする。
まず金の問題に直面する。
政府が働き方改革を唱えたところで、殆どの会社の給与体系は年功序列。
新入社員が満足に給与をもらえるケースは稀だ。
正社員になれず契約社員やアルバイトとして薄給を強いられる場合もある。
20代の社会人の手取りは十数万円が相場ではなかろうか。
アパートに住んでいる人は、ここから家賃や水道光熱費で十数万円持っていかれる。
食費や洋服代だってかかる。
「ここから遠征費を捻出するのは無理ゲーじゃね?」となる。
この状況をなんとかしようと、会社の上司に交渉したとする。
そして年齢を重ねて少しは給料が上がり、金の問題がなんとかなったとする。
すると今度は時間の問題にぶち当たる。
出世すると、どうしても残業や休日出勤が増えてくる。
当然、スタジアムに行く時間が取れなくなる。
上司との交渉が実り、アパートの家賃の半額を会社に持ってもらえたとする。
会社に自宅の家賃を払ってもらうという事は、会社の都合での転勤を受け入れなければならなくなるという事だ。
スタジアムから離れた所に転勤を命じられれば、もうサッカー観戦どころではなくなってしまう。
「海外に転勤」というパターンも普通にある。
金の問題が片付いた。
時間の問題も片付いた。
彼氏彼女が出来る人もいる。
結婚して家庭を持つ人もいる。
さあやっと熱心なサポーターらしく、熱心にアウェーに行ける!
こういう熱心なサポーターでありたい人たちに、残念ながら協力者の問題が立ちはだかる。
恋人と趣味が同じ場合は稀だ。
恋人に「スタジアムに行きたくない」と言われると、サッカー観戦へのハードルがぐっと上がってしまう。
いわゆる「恋人ブロック」「嫁ブロック」に遭うというヤツだ。
恋人が自分の趣味に協力してくれる場合でも、病気や事故で介護のために家から離れられなくなる場合もある。
子供が生まれたばかりなら、こちらもスタジアムに行くのは至難の業になる。
「子供ブロック」を無視して1人だけスタジアムに行けば、その親はパートナーから人間扱いされなくなる。
自分も伴侶も子供も五体満足でも、親が五体満足でなくなる場合もある。
パートナーが介護に明け暮れている状況で自分だけスタジアムに行けば、家庭崩壊に直結する。
家庭を持つ世代は「親ブロック」が身近な世代でもある。
ターミネーターの様にこれらの障害を無視して突破してスタジアムに行く。
こんな真似が、普通の人間に出来るか?
少なくとも、俺にはできない。
だからスタジアムに行けるサポーターは今を大事にしないといけない。
クラブの経営陣は熱心なサポーターだけでなく、一見さんのファンも取り込む施作を打たないといけない。
学生のサポーターの人たちは、ここまで読んでもピンと来ないのが普通だろう。
「俺だけは例外だ」
「俺はこうはならない」
「こんなのを理由にするのは言い訳だ」
こうタカをくくって今を過ごす人が多いだろう。
学生時代の俺自身もそうだった。
社会人の先輩の過酷な生活を、他人事として聞いていた。
だが学生でなくなれば、殆どの人は遠慮なく社会のカタにはめられる。
金、時間、協力者の壁に悩まされる日々が続く。
これが原因でアウェーに行けない人を「サポーターじゃねえ」と俺は断定できないし、すべきじゃない。
色々と立場があり、今の俺はアウェーどころかホームさえも現地観戦が頻繁にできない立場だ。
もちろん行けるようにするための手は尽くしている。
気軽にカチコミに、じゃなくてアウェーに観戦したいなあ。
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