1人のせいにするのではなく敗因をちゃんと分析しよう
これがこの試合唯一のゴールとなり、降格圏に沈むジュビロ磐田に敗れた。
93分、自陣深くに残っていた青木のバックパスをロドリゲスにかっさらわれて、浦和レッズは失点。
この試合結果を受けて、レッズの順位は6位から9位へと転落した。
俺としても非常に残念な敗戦だ。
さて一部メディアがまるで青木をA級戦犯の様に書き立てている。
この記事に対して怒っているレッズサポーターの書き込みを何度か見かけた。
この敗戦について、青木に責任が有るのか?
ツイッターを見た限り、ほとんどのレッズサポーターの答えは「No」だ。
俺の答えは「Yes」。
ただし「この敗戦について、青木だけに責任があるのか?」という問いなら、俺も当然「No」だ。
最初の問いに「No」と答えた人たちの理由を探ってみた。
「青木はファインプレーを沢山している」
「1つのプレーで全てを否定したくない」
「青木に余計なプレッシャーを掛けたくない」
この気持ちは、俺にも痛いほど分かる。
俺だって、DAZNを通して試合を最初から最後まで観た。
1つ1つの意見自体は、100%同意する。
ただそれだけで終わらせると、何も次に繋がらない。
最後にミスした。
負けた。
かわいそう。
そしてそのまま次の試合を迎える。
どうなるか?
やっぱりミスした。
負けた。
かわいそう。
負けにつながった原因を分析する。
それを踏まえて、同じミスを繰り返さないように対応策を明確にする。
悪い流れを断ち切るためには、これが大事ではないのか?
原因を分析するからには、どうしてもミスと向き合わなければいけない。
ミスから目を背けていては、同じ様にミスして同じ様に負け続けるだけだ。
青木にとっては非常に辛い作業だろう。
だがPDCAサイクルを回すことは、結果を出すために絶対に欠かせないプロセスだ。
敗戦について、青木に責任があるのか?
敗戦について、青木だけに責任があるのか?
確かに93分にパスミスをしたのは青木だ。
それならその時逆襲に備えられるポジショニングをしていなかった槙野にも敗戦の責任がある。
この試合、「ボールを奪われた時の対応がやや散漫だ」と前半から感じていた。
最後の最後で、磐田の選手にそこを突かれた。
「悪い形でボールを奪われるな」
「ネガティヴトラジションの時に気を付けろ」
こういう声掛けを怠った周りの選手にも、敗戦の責任がある。
この辺の出来事が目の前で起きていたのに、適切な声掛けが不足していたGKの西川にも責任がある。
この試合には沢山のミスが有った。
93分のミスはその中の1つに過ぎない。
それ以上でもそれ以下でもない。
レッズの決定機でミスした山中にも責任がある。
シュートを決められなかった興梠にも責任がある。
ゴールの予感を感じさせられなかった武藤にも責任がある。
ドリブラーなのにドリブルしなかった汰木にも責任がある。
ドリブル困難な状況で彼にパスしたパサーにも責任がある。
この試合でのキャプテンは興梠だ。
運動量の多い選手とはいえ、彼はFW。
本来なら最前線にいるべき選手だ。
興梠の声が届かない守備陣は、誰がリーダーシップを取るのか?
その辺の約束事を曖昧にした監督のオリヴェイラにも責任がある。
試合後の武藤の言葉通り「勝ったときはみんなの勝ち」であり、「負けたときはみんなの負け」だ。
青木もレッズの一員だ。
だから当然、青木にも責任がある。
そこを押さえずに「青木に責任はない」とサポーターは言う。
これは俺には「青木はレッズの一員ではない」と言っているようなモンだ。
むしろ青木に失礼な感じを受ける。
ただし敗因が青木1人の責任ではもちろんない。
青木はA級戦犯ではない。
さて、選手は選手で敗因をきちんと分析していたようだ。
今年、レッズはホームであまり勝てていない。
5万人以上が目の前で、俺たちの勝利を待ち望んでいる。
埼スタで勝たなくちゃ。
それなのに後半になっても0-0。
焦り気味で意識が前がかり。
バックパスに対して、みんなが任せ気味。
そんな中で、起こるべきして起きた結果だとも言える。
集中力の欠如も、敗戦の一因だ。
この試合の4日後には、ACLのブリーラム・ユナイテッド戦が控えている。
レッズは今、グループステージ突破圏外のグループ3位にいる。
ここで負ければ、大会からの敗退は事実上ほぼ決まりだ。
現地では連日のように最高気温が40℃近くまで上がっているという。
ここまで暑いと、それだけで集中力が削がれる。
しかも湿度は50%前後。
温度自体が高いせいも有って、選手は相当蒸し暑さに苦しめられるはずだ。
そして試合会場の「サンダーキャッスル」ことチャーン・アリーナはサッカー専用スタジアムだ。
しかも観客席からピッチまでの距離がけっこう近い。
当然、サポーターの声が選手に響く。
真夏に柏の日立台でサッカーをやるようなモンだ。
選手にとって、集中力が乱れる要素がそろっている。
こういう環境で、普段からブリーラムの選手は闘っている。
当然、ブリーラムの選手はこの環境を最大限に利用する。
ACLの対戦相手が集中力を乱されて苦しむのは、ブリーラムにはバレている。
ブリーラムは相手の虚を突くサッカーをするはずだ。
例えば
プレーが途絶えたときにクイックリスタートを仕掛けるだろう。
高温多湿の酸素の薄い状況では、ショートカウンターのチャンスを今か今かと待ち構えているだろう。
少しでも気の抜けた顔をしていれば、ミドルシュートを撃ってくるだろう。
つまりブリーラム戦では、磐田戦の何倍も集中力が大事になる。
集中力を出来るだけ切らしてはいけない。
万が一切らしてしまっても、それを敵に絶対に悟られてはいけない。
そういうことを確認できただけでも、選手が敗因を分析した価値はある。
なにしろあの暑さでは、日本を発つ時点でブリーラム戦対策はほぼ終わっている。
同じミスを繰り返すな。
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