スタジアムに行けるのはやっぱり当たり前じゃない

お金ややる気や才覚だけでは、どうにもならない事がある。

学生は、基本的にお金を払って何かをする立場だ。

自分自身が金を払っていなくても、学校で使う金は親が払っている。

金を払って学校にいっている以上、学校をサボってもある程度は大目に見てもらえる。

どうしても観たいサッカーの試合がある。
そんな時、学生の中には当たり前のように学校を休み、バイトを休んでスタジアムに通う人もいるはずだ。

学校をサボっても、大目に見てくれる。
バイトをサボってクビになってしまったら、新しいバイト先を探せばいい。

「やる気さえ有ればスタジアムに行ける」
「才覚さえ有ればどうとでもなる」

「だからスタジアムに行かないサポーターはサポーターじゃない」
「スタジアムにも来ないニワカは黙ってろ」

当然のようにこういう考えも持った者が出てくる。

アウェーのACLになると、そういうのが顕著に出てくる。

アウェーのACLの現地観戦での出費は、他の試合での出費と桁が違う。
他の試合なら「しょうがねえな」と大目に見ていた教師が「バカモン!」と叱り出すかもしれない。
怪我や病気を持った者が外国に観戦しに行くなら、それらの悪化も覚悟しなければならないだろう。

「犠牲も払う気のない奴が、何言ってんだ」
「才覚や知恵をひねりだして異国の地にたどり着いた俺を、恵まれた立場だと?」

学生サポーターの中には、こういう考えに陥った者もいる。

アウェーのACLに行く行為には、大きな犠牲が伴う。
それは俺は2年前に、嫌と言うほど分かってる。

アウェーのACLに行くのは、決して簡単な事ではない。
行ける人は色々やりくり算段を尽くして、なんとかアウェーのACLに現地観戦する権利を手に入れた。

それでも敢えて書く。

アウェーのACLに行ける人は、恵まれた立場にいる。

アウェーのACLに行く行為に大きな犠牲が伴うのは大前提だ。

犠牲を払う事すら許されない立場の人達が、山ほどいる。

社会人は、基本的にお金をもらって何かをする立場だ。

当然、学生とは厳しさの桁が違う。

学生なら学校をサボっても大目に見てもらえる。

社会人が会社をサボったら即座に懲戒解雇に遭う。
当然、再就職にも支障をきたす。

社会人の中には、出世して会社の舵をとる重要な立場に就いた人もいる。
結婚して子供が産まれた人もいる。
自分が重い病気にかかる場合もある。
自分が病気にならなくても家族が倒れて、常時介護が必要になる場合もある。

重要な会議をサボってサッカー観戦しにACLに行った事が発覚すれば、その人は信用を失う。
一生涯もう2度と信頼されなくなる。
たとえ会社を変わっても、1度ついた悪い噂はどこまでも付いて回る。

子供が産まれたばかりの時に、育児を妻に押し付けて自分1人「ACL観戦!」なんてやってれば、離婚の原因になる。
産後の恨みは一生続く。
離婚して新たなパートナーを探そうにも、相手はいろんなネットワークを駆使して「しょうもない理由で別れたのでは?」と調べてくる。

インフルエンザのような流行性の病気は、どんなに気をつけても完全に防ぎきれるものではない。
インフルエンザを隠して現地に強行観戦すれば、他のサポーターの迷惑になる。
スタジアムに行く以前に、まず空港で引っかかるだろう。

老人ホームの利用は数年待ちが当たり前。
ショートステイに家族を預けようにも、その家族が拒んだらどうしようもない。
かと言って身内が病人を預けられる状態でない人ばかりだというのに、無理矢理サッカー観戦のために何日も家を空ければどうなるか?
常時介護が必要だったその家族は死に絶え、身内からは介護放棄と尊属殺人で訴えられてしまう。

やる気や才覚や知恵だけではどうしようもない事がある。

当たり前だと思っていた事は、当たり前じゃない。

失ってみて初めて、「今まで恵まれた立場にいたんだ」と気づく。

犠牲を払える立場にいるのは、とても幸せな事だ。
犠牲を払えることが許されない事は、社会人になればいくらでも出てくる。

スタジアムに行けるのはやっぱり当たり前じゃない。

浦和レッズのサポーターズグループの元コールリーダーは、ある活字媒体にこんな言葉を残していた。

「アウェーのACLは誰でも行けるモンじゃない」

社会人になれば立場が変わる。
色々と事情が出てくる。

それでもそれまでと同じ様に現地観戦を続けるのは、普通は非常に難しい。

そんな人に「サポーターならアウェーのACLにも行って当然」と言えるだろうか?

彼は「言えない」と語っていた。
俺だって言えない。

アウェーのACLには行けない人が山ほどいる。
行ける人が行けばいい。

異国のスタジアムに現地観戦できる人は、できない人にも想いを馳せてできない人の分まで声を出すほうがいい。

もちろんそれだけでチームが勝てるほど、ACLは甘くない。

ただ外国人の敵サポーターに囲まれた状況で微かでも自分のサポーターからの声が聞こえれば、選手は奮起するものだ。

「自分だけが」
「俺が苦労して応援してやってる」

こういう考えのサポーターが幅を利かす状況に陥ったら、チームは負ける。

チームを勝たせるために今、何をすべきか?

現地にいるサポーターには、それを念頭に置いて行動してほしい。

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