サッカー選手にもヘッドギアが必要な場合がある

元チェコ代表にしてアーセナルのGKであるペトル・ツェフが今シーズン限りの現役引退を表明した。

36歳の彼が先発を外れたのはここ数ヶ月であり、昨シーズンまでは基本的にほぼ全試合で出場していた。

「あんなシュートを止めるなんて、チェフでも無理」

そんな風に、彼は世界最高のGKに例えられる事が多い存在だった。

彼のトレードマークといえば、ヘッドギア。

彼はチェルシーでプレーしていた24歳の時に、接触プレーで頭蓋骨陥没の重傷を負った。

手術を施しても猛烈な頭痛に苦しんだ。

復帰には1年以上要するとも言われた。

ただし奇跡的な回復力で、2ヶ月後のプレミアリーグに復帰した。

その時から彼はサッカーをする時は、必ずヘッドギアを装着している。

大人になってからの骨折は大なり小なり後遺症が残る。
可動部位の骨が折れた場合は骨が少し短くなるから、治癒した部位を動かす時に影響が出る。

ツェフの場合も、後遺症が残っている筈だ。

関節の無い頭蓋骨の場合は、おそらく負傷部位の骨密度に影響が出るだろう。
強度が元に戻っていないなどの理由で、これまでインプレー時にはヘッドギアを必ず着けてきた。

ツェフがサッカーをする以上、装着は義務。

外せば保証は何もない。

怪我の克服や闘病の為に器具を装着してプレーした有名なサッカー選手としては、他にエドガー・ダービッツ(元オランダ代表/アヤックス、ユベントスなどでプレー歴あり)がいる。
彼は緑内障の発症が原因でゴーグルを装着してプレーした。

さて、ツェフが着けてきたヘッドギアは、ラグビー用のもの。

サッカー選手は普通そんな物を着けない。
何故ならサッカーはラグビーほど接触プレーが激しくないからだ。

もしプレミアリーグが、当時の所属チームであるチェルシーが、プレミアリーグでのライバルクラブであるアーセナルやマンチェスター・ユナイテッドなどがラグビー文化を受け入れていなければ、ツェフは24歳の若さでスパイクを脱がなければいけなかった。


もしラグビーの様な激しい接触プレーが付き物の競技が存在していなければ、やはりツェフは絶頂期に現役引退しなければならなかっただろう。

「サッカー選手はサッカーの事だけやれば良い」

こういう考えには、俺は「No!」を突き付ける。

他の競技のトレーニングをサッカー選手のトレーニングに導入してもいい。

例えば野球のキャッチャーフライの練習をサッカーの練習メニューに加えると、ロングボールを受けるトレーニングになる。
剣道には体当たりを仕掛けて面を叩き込む局面が有るので、剣道の練習でも工夫次第で接触プレーでの体の入れ方のトレーニングになる。
GKがボクシングジムに行って、トレーナーが動かすミットをめがけてパンチを打つ練習をすればパンチングの練習になる(漫画「キャプテン翼」にはこの練習風景を描いたシーンがある)。

異文化の導入は選手を育てる。

そして時として異文化の導入は選手を救う。

ツェフ自身、少年時代はアイスホッケーの選手だった。

そして実は、ツェフはドラムも叩く。

サッカーでも音楽でも、最後尾から全体を見渡せるポジションが性に合っているのだろうか。

ツェフの幸せな生活が続く様に願う。

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