天皇杯と皇后杯の賞金の格差を放置してはいけない理由

天皇杯の優勝賞金は1億5千万円。
皇后杯の優勝賞金は3百万円。

両方の賞金の比率は、なんと50:1。

この話題についての俺のツイートが賛否両論(というより否々両論?)を集めた。
俺へのリプライの中には「これ、性差別だろ」と思わずにいられない物もあった。

この話題に触れる前に、まず触れるべき事がある。

2012年のロンドンオリンピックに向けた合宿のためにパリに向かった飛行機の座席が、男子五輪代表はビジネスクラス、女子五輪代表はエコノミークラスだった事で外国メディアから批判を招いていた。

この事が世界的なニュースになるという事は、逆に言えば他の国では男子も女子も同じクラスの座席に座っているという事だ。

女子のサッカーの注目度が芳しくないのは、日本に限った話ではない。

女子のサッカーリーグが存在しない国も多い。
女子サッカの普及に頭を悩ませているのは、世界共通の現象だ。

市場の原理に基づくなら「稼いでいる男子が稼いでいない女子より良い席に座って当然」となる。

なぜ代表チームのこの行為が世界中から批判を招いたか?

代表チームは国のサッカー協会が集めた選手で成り立っている。

サッカー協会は収益より理念を優先させるべき立場だからだ。

男女の性別に関係なく、サッカー選手として機会を与えて公平に評価すべき場所だからだ。

そういう理念がまず最初に来なければいけない。

日本サッカー協会は公益財団法人であるのだし。

「稼ぐのは男だから」
「女は稼げないから」

こういうのをサッカーリーグで評価対象にするならともかく、国のサッカー協会では評価対象にすべきではない。

前年2011年の女子ワールドカップでは優勝という結果まで出した。
それなのに女性というだけでエコノミークラス。

だから世界中から性差別という批判を招いた。

これらを踏まえた上で、天皇杯と皇后杯の賞金格差問題に触れる。

両大会とも日本サッカー協会が主管の大会だ。
Jリーグもなでしこリーグも関係ない。

50倍も賞金の格差が有るのはおかしい。

こちらもJFAがセッティングしている大会である以上、普段のリーグ戦での収益性より理念を先に出すべきだ。

当然、両大会の賞金は同額にすべきだ。

「お金はどこから出すのか」という問題は協会の中で融通して解決すべき事だ。

これがルヴァンカップとなでしこリーグカップの賞金の格差が50倍という事なら、話はわかる。

この2つの大会は、Jリーグかなでしこリーグが主管する大会だからだ。

Jリーグやなでしこリーグは収益性を前面に押し出して良い場所だ。
リーグカップの大会では市場の原理に基づいて賞金額を決めるべきだ。

なでしこリーグカップの賞金が低いのは、なでしこリーグの収益性が低いから。
悔しければなでしこリーグの職員が色々と販促や営業を掛けて結果を出すべきだ。

天皇杯や皇后杯の場合は違う。

まず男女の機会や待遇の平等を保障しないと。

そもそも決勝の告知ポスターが会場の内部にしかないというのは、日本サッカー協会に女子サッカーを広める意図がゼロという事になる。

その姿勢で普段から仕事していれば、女子サッカーに歪みが生まれるのは当然だ。

そうは言ってもいきなり賞金を今までの50倍にするのも非現実的だ。
ドラスティックも甚だしい。
周りの人たちが付いていけなくなるだろう。

まずは賞金格差を10:1にする。
次は3:1にする。

段階的に格差を縮めていくのが、現実的な落としどころになるだろう。

こんな投稿も見かけた。

「そんな事言っても、協会は赤字だろ」
「皇后杯の賞金はどこから出すのか? 無い袖は振れない」

振る袖ならある。

2017年の日本サッカー協会の決算書である正味財産増減計算書内訳表がJFA公式サイトの中で公開されている。

通常業務で得た収益である「経常収益計」の項目には「19,379,492,970」と記載されている。

200億円近くも収益が出ているのに、わずか1億円台の金が融通できないのか?

そもそもこの決算書には人件費の項目がない。

おそらく職員への報酬は給与という形ではなく、事業費の中に丸めているのだろう。

職員を多く抱える組織の場合、このやり方には問題がある。

給与という形で報酬が出ていないという事は、給与明細が無い事になるからだ。
仮に明細が有っても、それは給与の明細ではない。

トラブルのもとになりかねない。

そこまで人件費を明示しない理由は何か?

収益がいっぱい有っても、それ以上に費用がかかれば赤字になる。

費用の中には、普通なら人件費として明示する部分も含まれている。

「会長や重役に多くの人件費がかかっている」と考えるのは自然な事だ。
現在の日本サッカー協会の会長は田嶋幸三。

「おい田嶋!」
「いくら貰ってんだ?」
「貰いすぎじゃねえのか?」

あまりこういう結論に導くのは俺は好きではないが、結局こういう結論になってしまう。

やはり日本サッカー協会のトップの考え方に問題がある。

日本サッカー協会は収益性より、まず理念だ。

これは天皇杯元日開催問題でもそう。

収益性を考えるなら、大多数の人達が仕事休みの元日に決勝を開催するのがベストだ。

だがその決勝で優勝したクラブは、ACLやゼロックス杯参加の為にオフが極端に短くなる。
満足にプレー出来ずに次のシーズンを闘わなければならなくなる。
しかも十分に休んでいるACLのライバルチームを相手にしなければならなくなる。

そんな状況でも、結果が出なければ監督はクビになる。
選手は契約を切られる。

「優勝チームを壊すのが協会の理念か?」

そういうことになる。

だから俺は天皇杯決勝の元日開催にも反対している。

理念なき組織は、知恵ある悪魔を産むだけだ。

「同一労働・同一賃金」
これがグローバルスタンダードになっている。

サッカーの大会で例えるなら「同一レベル・同一報酬」になるだろうか。

残念ながら、他の国でも男女のカップ戦の賞金の格差が無いとは言い難い現実がある。

俺がこの件で発信してきた事は、所詮理想論で片付けられるのかもしれない。
だが本来なら尊重されるべき理想論だ。

世界的にmetooムーブメントが起きたばかりだ。
残念ながら日本では、この流れから完全に取り残されている。

女性も誇りを持って活躍できる社会になるように願う。

※本ブログの広告からの収益金の1%を多発性硬化症や視神経脊髄炎の患者の支援団体であるMSキャビンに寄付いたします。

◆こちらの記事もオススメ
人種差別はやっぱり卑怯で卑劣な行為だ
人の挑戦を笑うな
日本のプロサッカーリーグのまとめ

Follow me!