2018年のJリーグを終えて(その2)

すこし間が空いたが、今年のJリーグの総括の続き。
今回はJ1の4〜6位のクラブについて特集する。

◆北海道コンサドーレ札幌

Jリーグ:4位(勝ち点55/15勝10分け9敗/48得点48失点)
天皇杯:4回戦敗退(ジュビロ磐田に4-2で敗戦)
ルヴァンカップ:グループステージ敗退(グループ最下位/勝ち点3/1勝0分け5敗/4得点14失点)

監督就任1年目で4位とは立派である。

「新監督で結果が出るまで時間が必要」という意見だったり、何試合闘っても同じ敗因で負け続けたりする監督だったりがチラホラ有る。
だがコンサドーレ札幌には、そういう甘えが一切ない。

浦和レッズ時代に二人三脚で共にしてきた杉浦大輔が、札幌でも通訳兼コーチとして監督のミシャに協力している。
ミシャはさぞかし仕事しやすいだろう。

そのせいか、ミシャの色がさっそく出ている。

Jリーグでは得点数も失点数も、Jリーグ平均(45.17点)を上回る48点。

そして上位にいるのに得点数も失点数も同じ。
僅差で勝つ試合が多く、たまに負ける試合で大敗しているからだ。

そしてカップ戦でのもろさも、レッズ時代と変わらない。

ミシャは頑固者だ。

攻撃時に5人が攻め上がるのは相変わらず。
守備練習をしている様に見えないのも相変わらず。

彼は今、それで結果を出している。

コンサドーレ札幌には、タイトル獲得を義務付けられるレッズほど重圧はキツくない。
ミシャはこういうクラブの方が伸び伸びと仕事できるのだろう。

ミシャのサッカーはかなり独特だ。
それでもレッズ時代では研究されて、最後に勝てなくなった。

同じ戦術のサッカーを札幌でしようとしても、浦和と札幌では選手が違う。
だから浦和式のミシャのサッカーには対応できても、札幌式のミシャのサッカーには対応できていなかった。

ただしこれから来年、再来年になるにつれて、対戦相手も研究する。

「2018年のようにはいかない。なぜ?」と苦悩して眠れない夜を過ごす時が来るだろう。

その時、プランBを用意出来るか?

出来なければミシャは札幌を去るしかなくなる。
それは彼の永遠の課題である。

チーム編成で注目すべき点として、タイ人が在籍している事が挙げられる。

今期はタイを含む9ヶ国のどれかの国籍を持つ選手はJリーグ提携国枠の選手としての扱いになるので、外国人枠の選手としてみなされない。

コンサドーレ札幌ではタイのメッシ・チャナティップが今年9得点挙げている。
この辺のパイプの太さも心強いところ。

そしてレッズから旅行中の駒井善成の活躍も大きい。
人間的にも素晴らしい彼は、札幌のサポーターからも深く愛されている。

但し駒井はあくまで旅をしているだけである。
終われば家に帰るから旅行なのである。

Jリーグには良い選手は色んなクラブにいる。
特定のクラブからだけ選手を調達してクラブをコンサレッズにしない様に切に切に願う。
忠成もまだまだレッズで活躍して貰わないといけない浦和の漢である。

槙野が違うボールを蹴った「バイシクル事件」を機に、都倉との抗争が勃発した。
末永く仲良く喧嘩する様に願う。

◆浦和レッズ

Jリーグ:5位(勝ち点51/14勝9分け11敗/51得点39失点)
天皇杯:優勝(ベガルタ仙台に1-0で勝利)
ルヴァンカップ:プレーオフステージ敗退(ヴァンフォーレ甲府に2試合合計3-2で敗戦)

いるべき場所に戻るために費やされた1年だった。

今年レッズはACLに出場していない。

去年、唯一タイトルを獲れる可能性が残っていたACLに集中していた。
その結果、国内大会が犠牲になり今年のACL挑戦権を失ってしまったのだ。

格上相手との闘いでは、堀孝史は強かった。
この闘いは格上がゴロゴロいるACL向きだった。

だがJリーグなどの国内大会では、一転してボールを持つ側に回る。
ボールを持ったからには、次にどうするかをあらかじめ決めておかなければならない。

その言葉を用いたルール作りが、堀は弱かった。

こうして4月2日、今年のJリーグで0勝2分け3敗の17位という戦績で契約を解除されてしまった。
ACL最優秀監督が半年もしない内に浦和を去るニュースは、海外メディアでも驚きを伴って配信された。

堀はこういう残念な形で浦和を去る事になってしまった。

だが彼は2011年の時も、去年も緊急就任という形でレッズの危機を救ってきた。
彼はA級戦犯でもあったが、功労者でもあった。
どうか堀が元気で暮らしている様に願っている。

そしてレッズの強化部の要職に就いていた大槻毅をトップチームの暫定監督に抜擢する。

この大槻が逸材だった。

オールバックに背広姿という「そっち系」の面々を思わせる彼の眼光鋭い視線は、試合の定義を抗争に変えた。
勝ち方を忘れていたチームは、「コケてんじゃねえよ」と言う彼のおかげでカチコミも厭わない闘う集団に変わった。
味方の得点を喜ぶ若い衆に「早くピッチに戻れ」と言わんばかりに背広を振り乱して選手を押し戻すアウトレイジな行動は、レッズサポーターの心を鷲掴みにした。

「勝っていても負けていても同点でも、どんなに苦しい状態でも戦いなさい、走りなさい。そうすれば、この埼玉スタジアムは絶対に我々の味方になってくれる。そういう姿勢を見せずして、応援してもらおうと思うのは間違っている」

4月15日のJリーグ第8節清水エスパルス戦を前にしたマッチデープログラムの中での、伝説の言葉だ。

暫定監督、いや組長としての最後の試合である、あのミシャの叔父貴がいる北海道コンサドーレ札幌との試合は「アウトレイジ最終章」と呼ばれた。
叔父貴との最後の抗争という激しい舞台の流れの中で、先程のコンサドーレ札幌の項で触れた「バイシクル事件」が起こった。

4勝2分け0敗。無敗で彼は組長としての怒涛の日々を過ごした。
指揮したのがわずか6試合なのに「組長」と言えば誰の事かが通じるほど強烈な印象を残した。
こうして跡目をオリヴェイラが相続し、浦和レッズにサッカーの日々が訪れた。

もし組長がいなければ、レッズは今どうなっていたか?
「あくまで大槻は暫定監督であり、次はこういう者を監督に選ぶ」というビジョンがフロントに無ければ、どうなっていたか?

おそらく絶望感に包まれたままJ2に降格していたのではないか?

「フロントの舵取りもプロサッカークラブでは非常に大事だ」と実感した。

さて、オリヴェイラは鹿島アントラーズの監督として数々のタイトルを獲ってきた。

彼は短期決戦で強い堀や組長と違い、長期政権でこそ真価を発揮するタイプ。
中断期間を迎えるまでは、苦戦を強いられた。

この期間をサポーターが静かに見守っていたのが大きかった。

一時期降格圏内に落ちていたクラブは、シーズンが終わったら5位になっていた。
天皇杯のタイトルも奪っていた。
今までを考えれば、上出来も結果だ。

ただ「終わり良ければ全てよし」と済ますわけにもいかない。

西川のパントキックのボールは、数年前ならレッズの選手が受け取るのが常だった。
これが今では、相手の選手に獲られる場面が増えている。
ハイボールの競り合いで負けている。

おそらく選手の蓄積された負傷によるものだろう。

ACLでこれをやれば、命取りだ。
今はただ体を休めて、少しでも怪我を治すようにしてほしい。

◆FC東京

Jリーグ:6位(勝ち点50/14勝8分け12敗/39得点34失点)
天皇杯:4回戦敗退(モンテディオ山形にPK戦の末敗退)
ルヴァンカップ:グループステージ敗退(グループ最下位/勝ち点4/1勝1分け4敗/5得点10失点)

安定の中位力を発揮している。

優勝争いからも残留争いからも遠い。
このポジションはかつて名古屋グランパスのものだった。
それが今では、完全にFC東京の居場所と化している。

東京が政治経済の中心だからなのか?
それとも名古屋が名古屋グランパス「エイト」とあまり呼ばれなくなったからなのか?

そんなFC東京は特定のクラブからにだけ選手の補強が偏る事もなく、抗争の日々に明け暮れる事もなく、中位力を発揮して平穏な日々を送ってきた。

チャン・ヒョンスが社会奉仕活動での不手際で韓国代表を永久追放されたり久保建英が横浜F・マリノスに期限付き移籍をしたりなどのニュースは有ったが、基本的に波風の少ない1年だった。

FC東京への周りからの評判は良い。
今年初めに新監督として就任した長谷川健太が契約を更新した事にも、それは現れている。

そんなFC東京のサッカーは、守りが堅い。
なにしろ1試合の平均失点が1.00点。
1点でも獲れば、負けは無くなる。

そういう相手から最終節で3点も奪ったレッズは、自信を持って良いだろう。

さて、このチームの大黒柱はディエゴ・オリヴェイラ。
彼はチームの全得点の3分の1をもたらしている。
柏レイソルから期限付き移籍をしていた立場だったが、先日に完全移籍を果たした。

ただしFC東京にも課題はある。

今のFC東京は2点獲れば勝てるチームだ。
その2点目が中々獲れない。
決定力に溢れるストライカーを中々獲得できず、攻撃力に支障を来たしている。

今年、味の素スタジアムで入場者数が4万人を超えたのは1試合しかない。

その1試合は8月5日のヴィッセル神戸戦。
言うまでもなくイニエスタ目当てでチケットを買った人が多かったから(結局その試合はイニエスタは出場せず)である。

自分のチーム目当てに来場するサポーターが少なすぎる。
首都にあるチームなのに、5万人近く集められるスタジアムで空席が目立つのは寂しすぎる。

イニエスタや多摩川クラシコのように対戦相手におんぶにだっこしてばかりいるのではなく、自分達目当てでサッカーを観てくれる様に一般人にもう少し営業すればどうだろうか?

入場料収入が増えれば、良い選手をもっと獲得できる。
そうすれば攻撃力不足の問題は解決する。

他の国では、首都のクラブは大体強い。
どこよりも人口が多いという事は、それだけ多くの人をサポーターにできる事になるからだ。

FC東京は首都のクラブとしての威厳を発揮してほしい。



※本ブログの広告からの収益金の1%を多発性硬化症や視神経脊髄炎の患者の支援団体であるMSキャビンに寄付いたします。

◆こちらの記事もオススメ
天皇杯決勝に参戦しに埼スタに行ってきた
2018年のJリーグを終えて(その1)
日本のプロサッカーリーグのまとめ

Follow me!