戻るべき場所に戻るまであと1つ!
天皇杯準決勝の浦和レッズvs鹿島アントラーズ戦に現地参戦してきた。
気づいた人もいるだろう。
「浦和レッズvs鹿島アントラーズ」と表記すれば、ホーム扱いになるのは左側のチームの浦和レッズの方。
「なぜレッズのホーム扱いなのに、場所がカシマサッカースタジアムなのか?」って?
これが日本のカップ戦のルールである。
「日本サッカー協会の仕様だ」としか言いようがない。
他の国のカップ戦なら、大抵「こういう場合はどちらのホームで行うか」を大会規定に明記してあるものなのに。
カシマサッカースタジアムは、実に堂々としたスタジアムだ。
はるか彼方からでも、この屋根は目立つ。
スタジアムの道路を1つ挟むと、鹿島アントラーズの創設者にして現テクニカルディレクターのジーコの銅像がある。
彼は鹿島アントラーズの基礎を作った。
ここのサポーターの中には、「Spirit of Zico」の弾幕を掲げる人もいる。
寄り道もそこそこに、急ぎ足で入場門をくぐった。
カシマスタジアムのスタジアムグルメでは、もつ煮が美味しいと評判になっていた。
ここでは、スタジアムの中でも火を使って調理できる。
腹が減っては戦が出来ないので、購入してみた。
食べてみた。
確かに美味い!
寒さが気になる時は、これで体が温まる。
もつ煮は鹿島アントラーズの集客の大きな武器である。
鹿島アントラーズのスタッフは、レッズサポーターにももつ煮を売ってくれるのか!
考えてみれば当然なのか。
「ホーム」のサポーターなのだから。
さて、俺が行くべきゴール裏に行こうとしても、行くまでの道筋の途中に妙なフェンスがある。
係員にきいたところ、「一旦入場門を出て再度別の門から入らなければいけない」と言う。
どおりで妙にもつ煮が美味いと思った。
もつ煮なんか食ってる場合じゃなかった。
急いで入場門まで言って別のスタッフにチケットを見せたところ「このチケットでは再入場ができません」と言う。
え?
ここまで来て、試合を観られないのか?
俺は「ホーム」のサポーターなのに?
その係員が続けた。
「フェンスの所まで言って、近くの係員にチケットを見せて事情を話して下さい」と。
その通りにしたら、無事にゴール裏への道を通してくれた。
ゴール裏に到着。
カシマスタジアムはサッカー専用スタジアム。
総合競技場のように陸上トラックが視界を妨げない。
観客席の最前列がピッチの高さに近い。
臨場感あふれるスタジアムだ。
サッカーはやはり専用スタジアムでやるに限る。
さて「ホーム」の浦和レッズの選手がなぜか白のユニフォームを着用。
Jリーグを5位で終えてしまったレッズは、鹿島アントラーズと違って天皇杯で優勝しないとACLに出られない。
レッズにとって、この試合は後のない大事な大事な大一番だ。
大事な試合でしかコールされないWe are Redsコールを試合前に叫んだ。
試合が始まったら、どちらかといえば鹿島のペースになっていた。
レッズの「ホーム」の試合ではあったが、敵の隙を狙う展開になっていた。
それでも中々敵は隙を作らない。
西川からのパントキックは、ほぼほぼ鹿島の選手がつかんでいた。
そんな中、レッズの貴重なコーナーキックのチャンスを迎えた。
身長182cmのマウリシオのチャントが鹿島の夜空にこだました。
そのマウリシオが、頭でゴールに押し込んだ。
貴重な貴重な先制点だ!
その後も鹿島優勢の試合展開は変わらない。
リードこそこちらが保っているものの、「アウェー」チームにここまで球を持たれるなんて。
ハーフタイムになって後半を迎えた時、サポーターが中央に移動し肩を組んだ。
この状態で飛び跳ねながらコールする「歌え浦和を愛するなら」のチャントも、大一番限定だ。
それだけこの試合は、レッズにとって大事だ。
ACLの挑戦権を既に確保していてクラブワールドカップが迫っているはずの鹿島の選手のプレーが荒くなっていく。
レッズの交代枠いっぱいの3人の交代の理由が、3人とも負傷交代だ。
いくらなんでも、これはねえだろ!
ACLでさえ、3人とも負傷で交代する試合は見かけない。
それなのに鹿島とやるとこうなるなんて!
これで「絶対に鹿島には勝たなくちゃいけない」という気持ちが強くなった。
これ以上「アウェー」の奴らに「ホーム」で好き勝手にさせてたまるか!
1つしかないボール目がけて、必死の展開が続く。
あと10分。あと5分。守ってくれ。
そして試合終了。
再びWe are Redsコールが鹿島の空にこだました。
1-0。1点差での勝利。
西川が久々のクリーンシートで試合を締めた。
クリーンシートの試合なのに、「ホーム」なのに大型ビジョンには閉まるシャッターの動画と共に「Nice shot out!!」のテロップが付く文化シャッターの広告がない。
「ホーム」の試合なのに。
スタジアムを後にし、車で移動した。
その道中が大渋滞。
平日の夜なのに、大渋滞。
無理もない。
鹿島は海と湖と川で囲まれている。
つまり大きな道路の数が極端に少ない。
当然、試合の日の大渋滞は避けられない。
いつもと違う場所で「ホーム」の試合を開催すると、いつもと勝手の違うことが起こる。
まだレッズは準決勝で勝っただけ。
決勝で何かを成し遂げたわけじゃない。
まだレッズは何も手をしていない。
ベガルタ仙台を倒し、戻るべきアジアの舞台に戻ろう!
あと1つだ。
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