J2の試合がJ1に影響することがある

J1の残留争いで今、J2の町田ゼルビアに熱い視線が注がれている。

J1の次の試合、第33節があるのは11月24日。
その1週間前の17日のJ2最終節での結果次第で、残留争いをしているJ1のチームの立場が激変する。

「なぜJ2の町田の試合でJ1のチームの運命が変わるんだ?」

そういう指摘は、もっともだ。

数学用語に「独立」という概念がある。
あるグループでの試行が他のグループでの結果に影響を及ぼさない時、「この2つのグループは独立である」と表現する。

ここでは自分のリーグのチームが絡む試合の結果が他のリーグの順位に影響を及ぼさない時、「この2つのリーグは独立である」とする。

独立でないスポーツの典型例が、日本のプロ野球だ。

プロ野球には交流戦がある。
交流戦でパリーグの楽天イーグルスが読売ジャイアンツを下した事で、セリーグの阪神タイガースの順位が4位から3位に変わる事がある。

パリーグが絡む試合の結果がセリーグの順位に影響を及ぼしている。
だからセリーグとパリーグは独立ではない。

因みに「独立ではないからけしからん」という意味ではない。
俺はそんな方式を採る大会が有っても良いと思う。

さて、JリーグのJ1とJ2は独立だろうか?

J2の1位の松本山雅と2位の大分トリニータが負けて3位の町田ゼルビアが勝っても、J1の17位の柏レイソルが14位になる訳ではない。
J2の7位の大宮アルディージャが負けても、残念ながら6位の浦和レッズが1位になる訳ではない。

J2での試合の結果はJ1の順位に影響を及ぼさない。
だからJ1とJ2は独立である。

ただしJ2での試合の結果がJ1のチームの立場に影響を及ぼすことがある。

現在J1の17位と18位がJ2に自動降格し、J2の1位と2位がJ1に自動昇格するルールになっている。

J1の16位とJ2の3〜6位の5チームは、J1参入プレーオフに進出する。

そこで最終的に勝ち上がった1チームがJ1に所属する。
そうでない4チームは来期はJ2の所属になる。

J1参入プレーオフは1発勝負のトーナメント戦。
リーグ戦での戦績上位のクラブの本拠地で行い、90分終了時点で引き分けなら戦績上位のクラブが勝ち抜けるものとする。
これがJ1参入プレーオフの大前提だ。

まずJ2の3位vs6位、4位vs5位のチーム同士で1回戦を行う。
その勝者同士で2回戦を行う。
その勝者とJ1の16位のチームで決定戦を行う。

これがJ1参入プレーオフの実施方式だ。

ちなみにこの方式を採れるのは、J2の1位から6位の全てのクラブがJ1ライセンスを持っている場合だ。

J1ライセンスを持っているチームは、J1昇格にふさわしい戦績を出せばJ1に昇格できる。

町田ゼルビアがJ1昇格争いで勝ち続け、現在3位につけている。
最終節次第では、2位以上に滑り込む可能性もある。

この町田ゼルビアはJ1ライセンスを持っていない。

この事がJ1残留争いの話をややこしいものにさせている。

現在のJ1とJ2の順位表は以下の通り。

◆J1順位表(下位3チームのみ)
16. 名古屋 37
17. 柏 33
18. 長崎 29

◆J2順位表(上位6チームのみ)
1. 山雅 76
2. 大分 75
3. 町田 75
4. 横浜FC 73
5. ヴェルディ 70
6. 福岡 69

この順位のまま最終節が終わった場合を考えよう。

J1の17位柏レイソルと18位V・ファーレン長崎がJ2に自動降格。
J2の1位松本山雅と2位の大分トリニータがJ1に自動昇格。

自動昇降格については影響なし。

3位の町田ゼルビアはJ1ライセンスを持たないため、J1参入プレーオフに出場できない。
5チームではなく4チームでJ1参入プレーオフを実施することになる。

この場合、J2の下位2チームだけで1回戦を行う。
その勝者とJ2の最上位のチームで2回戦を行う。
その勝者とJ1の16位のチームで決定戦を行う。

つまりこの場合は、1回戦のカードはJ2の5位東京ヴェルディvsJ2の6位アビスパ福岡。
その勝者とJ2の4位横浜FCで2回戦を行う。
その勝者とJ1の16位名古屋グランパスで決定戦を行う段取りになる。

町田ゼルビアが4位になった場合も、考え方は同様だ。

さて、17日に松本山雅と町田ゼルビアが勝ち、大分トリニータが引き分けると2位と3位が入れ替わる。

つまりJ1ライセンスのない町田ゼルビアが土壇場で2位に浮上すれば、どうなるか?

J1ライセンスを持たないチームが自動昇格枠に入ってもJ1参入プレーオフに入るJ2のチームの順位は変わらない。
つまりJ1参入プレーオフの1回戦のカードは影響なし。

大分トリニータ[J2の3位]vsアビスパ福岡[J2の6位]
横浜FC[J2の4位]vs東京ヴェルディ[J2の5位]

この勝者同士が2回戦で闘うことも影響なし。

ここでJ1参入プレーオフの話は一旦脇に置く。

J1ライセンスのない町田ゼルビアが自動昇格枠に入ったことで、自動昇格枠が2から1に減る。

J1への自動昇格枠とJ2への自動降格枠は同じ。

つまり自動降格枠が1つ減る。

18位のV・ファーレン長崎だけが自動降格する。
17位の柏レイソルがJ1参入プレーオフ決定戦に回る。
16位の名古屋グランパスはJ1残留が決まる。

町田ゼルビアが1位で今年のJ2を終えても、結果は同じ。

町田ゼルビアが2位に滑り込んだ所で、それだけでは柏レイソルの順位も名古屋グランパスの順位も変わらない。
だがそれで17位の柏レイソルは無条件降格からプレーオフ回りの立場に変わる。
16位の名古屋グランパスはプレーオフに出なくても済む。

J2での試合の結果がJ1のチームの立場に影響を及ぼしている。

残留争いに巻き込まれているクラブのサポーターは、町田ゼルビアを必死に応援しているのではないか?

特に柏レイソルの場合は、戦略面にも影響する。

J1は残り2試合。
勝ち点は勝っても3しか増えない。
引き分けても1しか増えない。

17位の柏レイソルが18位に転落するとは、正直考えにくい。
16位に浮上するとも考えにくい。

17位のまま今シーズンが終わる可能性が高い。

そこで17日に町田ゼルビアが2位に浮上したという「朗報」を耳にしたら、チームはどういう行動を採るか?

自動降格枠が18位のみになった事で、17位のままシーズンを終えても「待った無しの降格」から「ワンチャンあるで」の立場に変わる。

柏レイソルは監督が加藤からアカデミー上がりでコーチ兼任だった岩瀬に変わったばかり。

他のクラブは、岩瀬がこのチームで、この選手でどんなサッカーをするのかを知らない。

J1に遮二無二残留するならば、この立場を最大限活かすだろう。

J1の残り2試合は、控え選手で臨む。
完全ターンオーバーを敷いた所で、長崎が勝たなければ順位が落ちることはない。

練習ももちろん完全非公開。
徹底的に情報を隠し、主力選手を温存する。

そしてJ1参入プレーオフ決定戦で、満を持して主力選手をぶち込む。

ここまでやれば、さすがに柏レイソルはJ1に残留できるのではないか?

ただ、これを実行するには町田ゼルビアが2位以上でシーズンを終えるのが大前提。

最終節でもいつものように松本山雅も大分トリニータも勝てば、町田ゼルビアは3位以下で終えることになる。
そうなれば、柏レイソルのプランは御破算だ。
残り2試合を主力選手で玉砕覚悟で闘うしかなくなる。

※厳密には大分トリニータが勝っても町田ゼルビアが大差で勝てば町田ゼルビアが2位に浮上するのは可能だが、大分トリニータは町田ゼルビアより得失点差で7点上回っていて、両方が勝っている状況で順位をひっくり返すには「八百長だろ?」と言われるレベルの大量点が町田ゼルビアには必須であり、現実的ではない。

J2の試合結果が、J1のチームの闘い方にまで影響を及ぼすなんて!

大変なことになったモンだ。



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